<第8話>外国人力士なぜ多い 2013/7/15

外国人力士の増加と活躍は近年、目を見張るばかりです。曙、武蔵丸、朝青龍、白鵬、日馬富士と外国人横綱が続々と誕生していますし、開催中の名古屋場所の番付を見ても、幕内力士の約3分の1が外国出身力士です。

このような状況の背景には、やはり新弟子不足があります。日本国内だけではなかなかいい弟子が集まらない。それに加えて、「促成栽培」的なニーズもありますね。たたきあげて、コツコツ指導しながら育てるというよりも、早く関取が欲しい。

関取がいれば部屋が潤いますし、注目を集め、部屋のステイタスも上がる。ですから、師匠としては少しでも早く、ひとりでも多く関取が欲しいわけです。昨今の日本の大学の相撲部出身者がどんどん入門するのはそうした事情が背景にあります。

さらには日本だけでなく、外国から体の大きな新人を連れてくるのも手っ取り早い。子どもと大人が相撲を取れば、だいたい大人が勝つでしょう?だから、入門させればある程度のところまで昇進しますよ。

昭和47年名古屋場所、外国人初の優勝を飾り、当時高砂親方夫人から祝福を受けた高見山

外国人初の関取になった高見山をハワイから連れてきたのは、戦後の横綱第1号だった前田山さん。彼は社交的な人で、ハワイにも巡業へ行き、そこで高見山との縁ができたそうです。高見山の活躍によって、「ハワイに有望な人材がいるぞ」ということになり、小錦や曙、武蔵丸の入門につながっていくわけです。

白鵬、日馬富士の両横綱をはじめ、活躍がめざましいモンゴル勢はというと、モンゴルのテレビで大相撲の映像が見られるようになったことが影響しています。モンゴル相撲に親しんでいた人たちが日本の相撲を見て、周囲のすすめもあり、入門を志したという、モンゴル側からのアプローチでした。

最初は8人やってきたのですが、脱走したりして、残ったのが旭鷲山と旭天山、そして今も頑張っている旭天鵬の3人です。

平成24年夏場所、史上最年長となる37歳8カ月での初優勝を果たした旭天鵬(共同)

大相撲ファンの中には、外国人力士の活躍を好ましく思っていない人もいます。日本人力士だけで興行したらどうかなどという声もありますが、現状では難しいでしょう。外国人力士を預かる以上は、日本語教育や日本の文化としての大相撲をしっかりと伝え、大相撲の力士としてふさわしいように育てていく必要があると思います。

外国人力士の中にも、心技体が充実し、抑制の美学も心得た白鵬のような人物もいます。入門以来、私は彼の人となりを見ていますが、立派だと思っていますよ。日本人、外国人という国籍を超え、一体となって大相撲の発展に努めていって欲しいですね。

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プロフィール

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日本福祉大客員教授、元NHKアナウンサー・相撲ジャーナリスト

1930年、北九州市生まれ。早大卒業後、53年NHK入局。初任地は名古屋局で、自身初の大相撲実況は54年2月に金山体育館で行われた大相撲名古屋場所(当時は準本場所)。

NHK在職中は名古屋、福岡、大阪、東京と大相撲の本場所開催地の放送局に在籍。81年、大関貴ノ花引退の放送で思わず絶句。“泣きの杉山、泣かせの杉山”と異名をとる。相撲以外でも東京、メキシコ五輪をはじめプロ野球など各種のスポーツ実況を担当。

現在は日本福祉大生涯学習センター名誉センター長、客員教授。名古屋・栄の中日文化センター講座「大相撲の魅力を語る」で講師を務める。深い知識と豊富な経験を基に、講座で興味津々の話題を紹介してくれる。

著書に「大相撲この名勝負」「土俵の鬼三代」「兄弟横綱−若貴の心・技・体」「土俵のチンギス・ハーン 白鵬」「土俵の真実」などがある。

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