リニア・鉄道館に行こう(17)  0系から100系への進化でサービス向上 2014/6/30

先頭形状が丸っこい0系(右)から、100系(左)ではシャープになる

東海道新幹線50年の歴史のうち、当初の21年間は走っているのが0系だけでした。もちろん、その間に12両編成が16両編成になり、窓が小さくなり、食堂車が連結され、リクライニングシートが採用される…といった変化はありました。

しかし、あくまでこれらは0系の改良でした。ですから、いまだに東海道新幹線といえば0系を思い浮かべられる方も多いと思います。

この0系の流れを変えたのが100系でした。国鉄の分割民営化が国会で議論されている頃に、新幹線車両の新たな可能性を模索する車両として、国鉄技術陣が0系と同等の製造費で時代に則した車両を開発したのです。

初の新型車でありながらも製造費が抑えられたのは、国鉄の大赤字が大問題となり、分割民営化が検討されていたからでした。

新幹線開業から21年目となる1985(昭和60)年10月1日に、100系は営業運転をはじめました。JR発足まで1年半に迫っているときでした。その先頭形状はシャープで、前部標識灯も切れ長な目のようになり、各部が丸っこい印象の0系とは大きく異なるものとなりました。

リニア・鉄道館では、この両形式が並んで展示されていますので、上の写真のとおり、その違いを間近に比較することができます。

0系と比べると、100系は車体が一回り大きく見えますが、運転席の位置を見てもそれは明らかです。最前部の客室扉とその前にある乗務員扉は、0系と100系でほぼ同じ大きさと位置です。ところが、客室扉の最上部は0系だと運転席窓の中ほどに位置しているのに対して、100系では運転席窓の下辺より下にあります。

待望の回転リクライニングシートとなった100系普通車の座席

100系は、車内も大きく変わりました。その際たるものが、海側の3列席も進行方向に向き、リクライニングができるようになったことです。

リニア・鉄道館に行こう(16) 0系で知る接客設備の変遷」にて記したように、0系では3列席を回転させると前後の座席にあたってしまうため、集団離反式の固定座席配置にすることでリクライニング機構を採用しました。しかし、進行方向と逆に向いて座ることになる乗客からは、とても不評でした。

そこで、100系はシート間隔を広げることで3列席を回転させることができるようにしました。前後の座席間隔(シートピッチ)を、0系の98cmから6cm増の104cmとしたのです。

この拡大により、足元が拡大したほか、廊下側の人が着席したままで窓際の人が通路に出られるようにもなりました。この仕様の変化は大いに評判となりました。

当時、筆者はサラリーマン勤めでしたが、当時の上司は大柄なうえにやたらとステータスにこだわっていたにもかかわらず、100系であればグリーン車でなくても良いと言ったことを覚えています。

ちなみに、このシートピッチ104cmは最新のN700Aまで、そのまま引き継がれています。

100系の最大の特徴は、中間に2階建て車両が連結されていること

100系の最大の特徴は、編成の中間に2階建て車両を連結していることでしょう。空気抵抗を重視する高速鉄道としては、世界で初となる2階建て車の登場でした。100系登場時、鉄道趣味をもたない人は車両を“100系”等という習慣がなく、「新しい、2階建ての新幹線」といった言い方をしていました。

ちなみに、一般の方が形式名で車両を語るようになったのは、JR西日本が開発した500系以降と思われます。いまでは、ニュースでも“N700A登場”というように報道していますので、隔世の感がありますね。

さて、この2階建て車両を採用したことで、編成内容が変わりました。当時の0系16両編成は、普通車12両、グリーン車2両、普通車とビュフェ車の合造車1両、食堂車1両という組成でした。

それが国鉄時代に産まれた100系16両X編成は、普通車13両、グリーン車2両、食堂車1両となったのです。ビュッフェをなくしたことで、シートピッチを拡大したことで減った座席定員を確保しています。

また、グリーン車のうち1両と食堂車が2階建て車両となり、グリーン車の1階には新幹線初の個室が登場、食堂車は1階が厨房、2階が食堂となりました。

なお、0系は全車両がモーター付きの電動車でしたが、100系では2階建て車両を含む4両がモーターのない附随車となりました。その仕様を利用して、JR移行後にJR西日本は2階建て車両を4両にしたV編成、通称“グランドひかり”も登場させました。

一方、JR東海はビジネス利用が多い半面、東京〜新大阪間という3時間以内の利用者が大多数であることから、食堂車を廃止します。この結果、2階が2両ともグリーン席となり、平屋のグリーン車とあわせてグリーン車が3両という、今に続く編成内容となりました。さらに、食堂・ビュフェに代わるカフェテリアを1階に配してG編成としました。

100系は、登場から1年強経った1986(昭和61)年11月1日のダイヤ改正で、最高時速を210キロから220キロに引き上げます。この結果、東京〜新大阪間が初めて3時間を切る2時間56分、最終「ひかり」は2時間52分となりました。

ちなみに、このダイヤ改正が国鉄最後の全国一斉ダイヤ改正でした。その翌春にはJRが発足することになります。

まさに、新たな時代の新幹線サービスを模索する時代であり、100系はその先駆車であったことが感じられますよね。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年間のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを立ち上げて代表取締役に就任。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退したため、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、多数のCD-ROMやDVDタイトルの企画制作にも関わる。監修した「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)が話題となってTV番組タモリ倶楽部に出演したこともある。

最新著書は「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)。

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