個性派・こだわり派 味噌カツの名店 2014/11/30

押しも押されもせぬ名古屋名物、味噌カツ。名古屋メシの肝である豆味噌の魅力と個性を堪能できるという点で、味噌煮込みうどんと並ぶ名古屋メシ東西横綱の一角を担います。

名古屋でトンカツを出す店ならほぼもれなく食べられるほどポピュラーで、大体どの店でも味噌かソースを選べます。あくまで筆者の印象ですが、名古屋人の6割以上は味噌を選択するんじゃないでしょうか?

知名度では「矢場とん」がダントツで、地下街、百貨店、空港、さらに東京にも店舗を構え、先ごろにはついにタイにまで進出。味噌カツを全国区、さらにはグローバルフードにまで押し上げんとするけん引車であることは万人が認めるところです。

しかし、では矢場とん以外はどこがお薦めなの?と聞かれると、多くの人が迷うところではないでしょうか。美味しい店が思い当たらない、というワケではなく、どこででも食べられるため、そのうちどの店をチョイスすべきなのか悩んでしまうのです。

そこで、筆者がお薦めする個性、特色のある味噌カツの名店をご紹介します。

「とん八」の味噌とんかつ定食1350円

「とん八」はかつて「矢場とん」と人気を二分した「とんき」(現在は閉店)の味を受け継ぎ、かつ独自の工夫を加えた店。何といっても驚くのが味噌ダレの存在感。カツが見えないほどた〜っぷりととろみのあるタレがかかっています。

見た目はいかにも辛そうですが、これが意外や非常に甘く、にもかかわらず決してしつこくありません。岡崎の八丁味噌と名古屋産の豆味噌をブレンドし、ザラメを加えて煮込むことおよそ4時間。アクや渋みが抜けて、まろやかな甘みが凝縮されているのです。

パン粉は甘みのある食パンを取り寄せてお店で挽く自家製。肉は柔らかくてあっさりした飛騨・美濃けんとん(健康豚)を使用。素材にこだわり、手間ひま惜しまずかけています。

味噌が堂々たる主役を張る、インパクトはあるのに優しい味わいの味噌カツです。

庶民的な食堂風の店構え。場所は鶴舞公園駅より徒歩7分。

□とん八
名古屋市中区千代田3−17−15、052−331−1053、11時〜14時30分・17時〜21時、日休

「広小路キッチンマツヤ」では、老舗本格洋食店らしく王道の味噌カツを食べられます。

こちらの味噌ダレは「とん八」とは対照的にさらりとしたタイプ。先代がフレンチ出身のため、ソース作りのノウハウを応用して仕込んでいるそうです。これを上からかけるのではなく、カツをどぼんとつけてまんべんなく衣にしみ込ませます。

「広小路キッチンマツヤ」の特選ロース味噌かつ1512円。定食は1922円。

衣は非常に薄く、まさに肉が“衣”をまとっているかのよう。ここに味噌がしみ込み、肉を優しく包み込みます。味噌タレは色が濃く、しっかりコクがありながら意外と口当たりはあっさり。それでもやはり舌の記憶に残る味わいで、ボリュームとあいまって非常に満腹感を感じられます。

特選ロース味噌カツに使用される肉は、滋賀県産の皇帝豚。パンなどを与えて飼育し、クセのないジューシーな味わいです。

オフィス街のど真ん中という立地柄、厚切りロース味噌かつランチ980円など比較的リーズナブルな価格のメニューも用意され、しかもランチタイムは17時までというのもうれしいところ。味・ボリューム・プライス・立地の総合力で非常に利用価値が高い1軒です。

昭和37年創業。味噌串かつなど夜向けのメニューも充実している

□広小路キッチンマツヤ
名古屋市中区錦1−20−22広小路YMDビル1・2階、052−201−2082、11時〜23時(土日祝は22時まで)、無休

「オゼキ本店」はカツに特徴があります。通称“焼きとんかつ”。その名の通り、揚げるのではなく鉄板の上で焼き上げるトンカツです。戦後間もなく屋台で創業し、その当時から既にこの調理法を取り入れていると言います。

「オゼキ本店」の味噌とんかつ1400円。定食は1700円。

鉄板の上でジュージューと肉を焼き、ラードをかけ流していきます。鉄板にはかすかに傾斜がついているため、油は下へ流れ落ちるという仕組み。この調理法によって衣は最低限肉をまとう程度で済み、衣が少ない分、肉のうまみを堪能できます。

味噌ダレは知多産の味噌を砂糖とダシ汁に加えたシンプルなもの。こってりしていて、豆味噌らしい辛み・甘み・渋みがストレートに味わえます。基本的に上からかけてありますが、好みによって別皿で出してもらうことも可能。味噌の量を加減したいという人はこの方法で注文するのもいいでしょう。

落ち着いた店構え。地下鉄中村区役所駅から徒歩5分。

□オゼキ本店
名古屋市中村区名楽町1−6、052-471-7474、11時〜14時30分・16時30分〜21時、水休(祝日の場合営業)

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プロフィール

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グルメライター

名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する名古屋在住のフリーライター。

雑誌、新聞、Webなどに名古屋情報を発信する。Webガイドサイト「AllAbout」では名古屋ガイドを務める。

著書に『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』『名古屋メン』の名古屋メシ3部作、『東海珍名所九十九ヶ所巡り』などがある。

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