歴史的決着戦…今池の街とカレー、どっちが上なのかハッキリさせろ! 2015/1/20

カレー(写真はイメージ)

“決着”という言葉があります。人間は、何事もハッキリさせなければ我慢のならない生き物のようでどちらが強いか、あるいは正しいかなどの優劣をつけたがるものです。人類の歴史は、決着を求めての戦い(及び闘い)の繰り返しによって築かれてきたといっても過言ではありません。

プロレスにおいても、この決着が闘う理由となるケースが多々あります。どちらも退かぬとなった時、人間は直接対戦するしかない。タイトルマッチ、個人的な感情のもつれ、あるいは「おまえ、俺の弁当を食っただろ!」「食ってないよ!」といった日常的なモメごと…プロレスラーはいつ、なんどきでも決着が懸かったさいに勝てるべく、日々トレーニングを積み肉体を鍛えているのです。

ただプロレスの場合、問題が発生してすぐに決着を見ることの方が少ない。たいがいはたとえ勝負がついても敗れた方が「もう一回だ!」と主張するため、闘いは続いていきます。

有名なドリー&テリーのザ・ファンクスと宿敵であるアブドーラ・ザ・ブッチャーの抗争は、1977年に開催された全日本プロレスの「オープンタッグ選手権」から始まりましたが(タッグリーグ戦は冬の風物詩…愛知県コンビが県体で優勝なるか!?参照)、その後も闘いは繰り広げられ40年近く経った今でもどちらかが「まいった」と負けを認めることなく、いまだに決着していません。

対戦するたびにエキサイトし、時にはいずれかが反則負けを喫し、時には両者リングアウトの痛み分けに終わる。そのたびにテリーもブッチャーも「次回こそは決着をつけてやるぜ!」と吠えます。

決着をつけるという言い回しは“新しい新曲”のようなものなので厳密には正しくないのですが、それがまったく不自然に聞こえないほどに多くのプロレスラーは自らの闘うモチベーションをそこへ見いだしてきました。

考えてみれば、勝負というのは常に決まった人間やチームが勝つとは限りません。プロ野球ではペナントレースがあり、日本シリーズを制覇すれば決着を見ますが、そこで優勝してもあくまでその年の一番であり、翌年にはまたリセットされます。プロレスにもリーグ戦やトーナメントはありますが、それを持って「これで決着がつきました」となり以後の優劣が不変になるケースはごく稀です。

にもかかわらず、プロレスラーは決着にこだわる。それほど“決着”の二文字は、人間の根源にあるさだめのようなものなのでしょう。

前置きが長くなりましたが、今週末の1月25日に「今池プロレス商店街12」が開催されます。12月にスポルティーバアリーナが復活し、新年を迎えてからは水曜カレープロレスの定期開催も始まりました。そして月末の31日には月イチのスペシャル興行・土プロDXも再開するなど、名古屋のプロレスは着実に息を吹き返してきています。

そんな中、恒例の今池プロレス商店街も6年目に突入。「今回のテーマは原点回帰。よりシンプルにプロレスを見たことない方にも爆笑と感動と勇気を与えられるよう、商店街とプロレス一丸となって頑張ります!」とのことで、シンプルを極めた結果白黒をハッキリさせる決着戦がラインナップされるのは当然の帰結と言えるでしょう。今回「東京vs名古屋」「今池ゆるキャラ闘争」と並んで組まれたのが、カレー軍と今池軍の全面対決。

今池プロレス商店街なのだから今池軍はわかるとして、このカレー軍とはいったい…その歴史は意外と古く、2013年6月にさかのぼります。大阪在住のプロレスラー・菅沼修(普段はプロの酔っ払い)は、カレーが食べたいというシンプルかつ食欲に忠実すぎる理由で水曜カレープロレスに参戦しました。

ところが、その日に限ってカレーではなく「水曜ハヤシライスプロレス」として開催されたため、せっかく大阪から名古屋まで来たにもかかわらずカレーにありつけず。怒りの菅沼は名古屋の斬り込み隊長的存在の佐藤泰をなぶり殺しにしながら、それでも怒り…いや、空腹は収まらずスポルティーバアリーナの厨房を座った目で脅し、強引にカレーを作らせ名古屋のファンがドン引きするのをあざ笑うかのようにむさぼり食ったのです。

このカレー事変を機に、菅沼は大阪からカレー好きの仲間を引き連れ乗り込んでくるようになったのですが、名古屋にとって誤算だったのは精神的支柱とされていた佐藤がしれっとカレー軍に寝返ったことでした。かねてからカレーには魔性のスパイスが使われているという都市伝説がありましたが、佐藤にとっては名古屋のプライドよりもカレーの魅惑の方がプライオリティー的に高かったというのが街の声。

普段は名古屋のプロレスを盛り上げるために闘っている佐藤ですが、そこにカレー軍が絡んで来た時のみ話が違ってきます。そして、そのカレー軍がついに今池プロレス商店街へ乗り込んでくることになったからさあ大変。

言うまでもなく今池軍は今池という街を背負って闘い、カレー軍はカレーこそがあらゆる食べ物の中で最高にして最強であることを証明するべくリングへ上がります。つまり、今池とカレーのどっちが上か、この試合をもってハッキリしてしまうのです。

ラーメンとカレーどっちがうまいかというのはよく出るお題ですが、カテゴリーがまるで違う商店街と食べ物が比較され、優劣がつくのだからプロレスとはけだし万能なツールです。野球とサッカーのどっちが上かとなったところで、いずれかの競技で決着戦を実施しても結論は出ないでしょう。

この試合で仮に…本当に仮の話ですが、今池軍がカレー軍に敗れることがあれば、今池という街は一生カレーより下というレッテルを貼られてしまいます。たとえば現在、今池の小学校や中学校に通っている子供たちが将来社会へ出た時「君、出身はどこなの?」「名古屋の今池です」「今池? ああ、あのカレーに負けた街ね。食いもんに屈辱的かつ一方的惨敗を喫するとはねえ…(←伝わるうちに話が大きくなっている)」と嘲笑の対象とされてしまうのは確実。

また、反対にカレー軍が敗れることがあれば外食産業界へ光の速さでニュースは拡散し「おいおい、カレーはうまいなんてさんざん偉そうなことを言っておきながら、名古屋の小さい街に負けたのかよ。料理の風上にも置けねえな」と、ラーメンをはじめとするライバル食から生涯後ろ指を差されることになるでしょう。決着とは、いつの時代もシビアでありリスクも大きいものなのです。

40年近くも続くファンクスとブッチャーのような抗争もあれば、どう膨らましてもそう何度もやるシロモノではなさそうなので、一回で答えが見られる完全決着戦もあります。なかなかケリがつかないプロレスにおいて、今池が上かカレーが上かがハッキリする歴史的な一日、それが1月25日…どちらが勝ったとしても、ウィキペディアの「1月25日」のできごと欄に「2015年、今池軍とカレー軍が決着戦をおこない〇〇軍(勝った方)が勝利」と書き込んでいただきたく思います。

今池の皆様が自分たちの街へ思い入れを持つように、全国にはカレーのためなら死ねるという岩清水弘のような方々がゴマンといます。今池軍としてリングに立つグランパスマスク&ウエルビーマスク&ミソトンチャンマンと、カレー軍精鋭隊の菅沼&佐藤&タダスケの6人は、それほどの大きなものを背負って闘うのです。自分たちの双肩にすべての運命が懸かっているのですから、並大抵のプレッシャーでないのは容易に想像できます。

今池が勝つか、それともカレーが勝つか!? そのいずれにも精通する某識者の方にズバリ予想を聞いたところ、熟考の末に以下の答えが返ってきました。「今池の皆さんには申し訳ないが、カレー軍が有利と言わざるを得ない。なぜなら、カレーはここ一番に強いからな。略してココイチだな」

「今池プロレス商店街12」
★1月25日(日)愛知・名古屋市千種文化小劇場ちくさ座(12時開場、12時30分開始)
〔入場料金〕指定席5000円、自由席3000円(当日各500円増し)
※中学生以下は自由席に限り当日のみ500円
〔発売場所〕チケットぴあ(Pコード:827-804)、スポルティーバアリーナ、TOKUZO、きも善、公武堂、今池ガスビルプレイガイド
〔特典〕半券を使って今池界隈の飲食店で受けられるサービスあり。詳細は当日発表
〔問い合わせ〕スポルティーバエンターテイメント(TEL052-332-6866)

〔対戦カード〕
1、カレー軍、今池襲来(20分1本勝負)
[カレー軍]菅沼修&タダスケ&佐藤泰vsグランパスマスク&ウエルビーマスク&ミソトンチャンマン[今池軍]
2、東京vs名古屋(30分1本勝負)
[東京軍/HEAT-UP]田村和宏&兼平大介vs佐藤力&岩本煌史[名古屋軍/スポルティーバ]
3、今池ゆるキャラ闘争!(45分1本勝負)
イマザえもんvsデスロッカー
4、 今池プロレス商店街名物ロイヤルランブル(時間無制限)
参戦選手:マグナム今池、ミソトンチャンマン、ドラゴンズマスク、グランパスマスク、デスロッカー、ウエルビーマスク、 イマイケル・ジャクソンほか
5、原点回帰(60分1本勝負)
ノリ・ダ・ファンキーシビレサスvsGENTARO[プロレスリングFREEDOMS]

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プロフィール

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プロレス編集記者

1988〜2009年の21年間、ベースボール・マガジン社発行『週刊プロレス』に在籍し編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。

退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。

CS放送FIGHTING TV SAMURAI、GAORA SPORTSでプロレス中継の解説を務めるほか、ニコニコ動画「ニコニコプロレスチャンネル」では選手へのインタビュアーやニュース情報番組のMC、試合中継の実況コメンタリーとして週3〜6回出演。

執筆に加えより広い層にプロレスの魅力を伝えるべく講義やイベントを開催、出演するなど活動中。

名古屋のプロレス団体・スポルティーバエンターテイメントが主催する「愛プロレス博」で場内解説を務め、栄中日文化センター「文化系プロレス講座」の講師として、プロレスを文化的にとらえた楽しみ方をレクチャーするなど、名古屋のプロレスシーンに関しても造詣が深い。

また、東京・読売日本テレビ文化センター「鈴木健.txtの体感文法講座」では後進の指導にも当たっている。

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