[注目校監督]歴史の重み 受け止めて 宇治山田高等学校・鈴木真理監督 2015/7/8

第1回大会に三重四中として出場した伝統のあるチームを率いる宇治山田・鈴木監督

 注目度は昨年までとは比較にならないほど高くなった。夏の全国選手権大会の前身となる全国中等学校優勝大会が始まって100年。節目の年、第1回大会に三重四中として出場した伝統のあるチームを率いる。

 4月23日、学校に大会主催者から封書が届いた。「今年の甲子園の開会式で第1回大会出場校の入場行進を行う。選手1人と引率教師の派遣をお願いしたい」という内容。予想もしていないことだった。甲子園出場は春夏通じて、後にも先にも1度だけ。選手たちに報告すると、一様に驚いたのも無理はなかった。

 あと一歩で甲子園への道を閉ざされてきた。1915年から47年までは東海大会、48年から74年は三岐大会を勝ち抜かなければならなかった。「三重で1位となり、岐阜1位と争う三岐大会には何度か進んだことがあるけど届かなかった」。92年は三重大会決勝でサヨナラ負け。悔しい思いをした先輩たちをおもんぱかる。
 
 大学生の時に野球から離れたこともあったが、「高校野球の指導者になりたい」の夢は諦められなかった。初めて采配を振った飯南では部員が13人。夏の大会はエースが肩を痛め、捕手も暑さで体調不良。敗れはしたが、それでも延長戦を戦い抜いた。
 
 この試合が監督しての原点となった。「目標に向かい、ひたむきに頑張るのが高校野球。力の差があっても結果が決まっていないのも魅力」と言い切る。ノックバットを振るだけではなく、ブルペンで投球を受けるなど今でも部員と一緒に汗を流している。

「苦しいこと、嫌なことから目をそらさない」ことを選手に一貫して求めてきた

 時代が変わり、学校が変わっても一貫して選手に要求してきたことがある。「苦しいこと、嫌なことから目をそらさない」。ある事情から野球を断念せざるを得なくなった自らの経験を重ね合わせる。

 今年のチームは大会に入ってからも「高校野球100年」で話題になることは必至。選手たちのプレッシャーになりかねない。ただ、これをしっかり受け止めてほしいと願っている。

 昨秋は県大会に進んだが、今春は打線が不振で南勢地区予選で敗退。普段はグラウンドをサッカー部、陸上部と共用し、打撃練習が思うようにできない。5月以降は他部と調整してフリー打撃に時間を割いてきた。

 けが人も戻り、ようやく持っている力全てを相手にぶつけられる。「自分たちの野球ができたら波に乗り、何か起こしてくれそうな気がする」。高校生が持つ無限の可能性を信じている。「チームで甲子園を行進」を考えず、まず目の前の試合に集中する。

 【プロフィール】すずき・しんり 三重・松阪高―立大では投手。大学1年時にボクシング部に転向したが、高校野球の指導者を志す。卒業後は飯南、亀山、松阪工の監督を歴任。昨春から宇治山田の監督を務める。三重県大台町出身。57歳。

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中日新聞編集局運動部記者

1955年生まれ。スポーツ紙記者を経て、中日新聞編集局運動部記者。

記者としてプロ野球や甲子園大会などの野球取材一筋30年。応援するチームは福岡ソフトバンクホークス。心に残った甲子園のベストゲームは1998年夏の横浜−明徳義塾。

長年に渡る野球取材の経験から、今年の地方大会の見どころや、情熱を持って選手の指導にあたる監督へのインタビューなどをじっくりお届けします。

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