<第47話>名古屋場所、稀勢の里が注意すべきは 2016/7/9

稀勢の里の優勝、綱取りは・・・。
白鵬の通算1000勝達成は・・・。

名古屋場所はこの2つが最大の見どころとなります。

稀勢の里は「今場所しかない」の気持ちで臨んでほしいと思います。春場所、夏場所とも準優勝で横綱への足固めができました。まばたきをせず、落ち着いた態度は自信につながっている証拠です。稽古も量は当然ですが、質を考えるものに変わりました。

序盤の思わぬ取りこぼしをしないこと。大砂嵐、栃煌山、妙義龍戦は要注意です。ここを乗り切れば、チャンスはかなり高くなるでしょう。

白鵬は「やる気になれば」まだまだ第一人者です。今場所は1000勝(横綱千代の富士1045勝、大関魁皇1047勝)に燃えています。目標をしっかりと定めて集中するときの白鵬は他の追随を許しません。あと13勝。負けない相撲で今場所中に達成する確率は極めて高いと見ます。

魁聖、栃ノ心の外国勢の新関脇が話題ですが、勝ち越しは厳しいと思います。

琴勇輝が先場所、予想以上の働きで三役にとどまることができましたが、それだけに真価が問われるはずです。年齢的にも20代前半のさらに伸びる時期だけに、彼の一途な突き押しが期待されます。

前頭筆頭に躍進した御嶽海。場所前に白鵬との稽古で痛めた足の状態が心配ですが、今場所は勝敗を考えず、自分を試す気持ちで臨んでほしいと思います。

正代、遠藤は今後を占う場所になりそうです。大砂嵐の荒々しい相撲が台風の目になる可能性は十分あります。十両では石浦、宇良ら小兵力士の活躍から目が離せません。

大関照ノ富士のカド番が気になります。両膝の故障だけに粘りのある相撲は無理でしょう。とにかく攻めに撤する気持ちと前に出る相撲で何とか勝ち越しを目指したいところですが、かなり厳しいと思います。先場所は途中休場してでも回復に務めるべきでしたが、無理がたたって、前途は容易ではありません。

思えば、照ノ富士は昨年の名古屋場所で綱取りと騒がれましたが、思いもかけない場所になります。今年の名古屋で負け越せば、大関陥落は必至。横綱候補どころではなくなります。

三重県出身の千代の国がようやく幕にカムバックしたことは褒めてしかるべきです。もともと幕内の実力がありましたが、あまりにもケガ故障が多すぎたため、せっかくの素質を生かせませんでした。

今でも肩、腕、足などのケガが完治はしていないようですが、それを乗り越える気力と稽古で前頭9枚目まで復帰したことには頭が下がる思いです。少し荒っぽい相撲がケガ故障につながりかねないのですが、それが彼の持ち味であり、粘りと投げ技などでファンの熱い視線を集めることは間違いありません。

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プロフィール

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日本福祉大客員教授、元NHKアナウンサー・相撲ジャーナリスト

1930年、北九州市生まれ。早大卒業後、53年NHK入局。初任地は名古屋局で、自身初の大相撲実況は54年2月に金山体育館で行われた大相撲名古屋場所(当時は準本場所)。

NHK在職中は名古屋、福岡、大阪、東京と大相撲の本場所開催地の放送局に在籍。81年、大関貴ノ花引退の放送で思わず絶句。“泣きの杉山、泣かせの杉山”と異名をとる。相撲以外でも東京、メキシコ五輪をはじめプロ野球など各種のスポーツ実況を担当。

現在は日本福祉大生涯学習センター名誉センター長、客員教授。名古屋・栄の中日文化センター講座「大相撲の魅力を語る」で講師を務める。深い知識と豊富な経験を基に、講座で興味津々の話題を紹介してくれる。

著書に「大相撲この名勝負」「土俵の鬼三代」「兄弟横綱−若貴の心・技・体」「土俵のチンギス・ハーン 白鵬」「土俵の真実」などがある。

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