『御慶』の巻 2017/1/10

新年あけましておめでとうございます。

本年も仕事始めが大須演芸場の初席正月特別公演となった。元旦から仕事があるというのは落語家として実に嬉しいものだ。

いつもと違って演芸場の入口には大きな門松が、さらに舞台にも同じく門松が飾らていた。

新生大須演芸場になってから、正月公演の開口一番は寿獅子舞となった。

お客様はもちろん、舞台袖からそれを見ている芸人たちも「あ〜〜お正月だなぁ。」という気分になる。

そして舞台に出る芸人たちは皆が「本年も宜しくお願いいたします。」と新年の挨拶をする。俺もその挨拶をして、こう続けた。

「昨年は地元名古屋にとって暗いニュースが続きました…ドラゴンズは80周年に80敗しちゃうし…グランパスはJ2降格になっちゃうし…東山動植物園は大変なことになっちゃうし…けど、地元にとって、いいNEWSもございました! 何かと言うと、とりあえずこの演芸場が無事1年もったということです!!」

客席から大きな拍手が起きた。だが間髪いれず俺は、それを制するように「だけど皆さん! 安心してはいけません!! 大切なのはお正月以降です!! 旧大須演芸場もお正月期間だけは、これぐらい満員だったのに潰れちゃったんですから!!」

そこでまた笑いがおきたが、それは事実だ…

「ですから皆さん! 来月以降もちょくちょくココに来てくださいね…来年のお正月また、ココでこうやってお会いできるように!」

自分の願いを声高に訴えた。

=====

さて、この正月公演に上方から桂ぽんぽ娘という女流落語家が出演した。新生大須演芸場になってから初登場だが、実は彼女は旧大須演芸場時代には、ちょくちょくココに来ていた芸人である。

昔は「おさなぎ色」という芸名で漫談をやっていた。これが下ネタ漫談で、東京中の舞台から出入り禁止となり、舞台を求めて名古屋の大須にやって来たのである。(笑)

そして、ここ大須演芸場にてその芸を見た桂文福師匠に「ワシの弟子にならへんか?」と、この業界では珍しいスカウト(?)という形で入門し、葛飾柴又生まれの江戸っ子が大阪に行き桂ぽんぽ娘という芸名の落語家へ転身したのである。

そのぽんぽ娘が、楽屋番としてお茶を出したり着物をたたんだり、裏では太鼓を叩くなどをして、そして何より舞台では(ちゃんと空気を読むことを覚えたのか?)下ネタ封印のネタで爆笑をとっていた。

昔は誰もが笑いに来ているはずの正月公演で下ネタオンパレードで凍り付かせていた娘がである。

まさかアイツがこんな風に変わるなんて…

この演芸場には実に様々な物語がある。

本年も宜しくお願いいたします。

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世界で唯一の落語家+漫画家

昭和46年、浜松市生まれ。関東学院大学中退。平成6年、立川談志に入門、立川志加吾を名乗る。平成14年、第三次前座全員破門騒動により立川流を破門。平成15年、名古屋唯一の落語家、雷門小福門下に移籍して、雷門獅篭と改名。
著書に「名古屋式。」「ご勝手名人録」などがある。現在、FMラジオサンキューでパーソナリティー、名古屋文化短期大学で講師を務める。

東海地区に演芸を広めるために結成された海演隊(かいえんたい)リーダー。メンバーは、ほかに雷門幸福(落語)、雷門福三(落語)、古池鱗林(講談)、柳家三亀司(江戸曲独楽)。

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