明治村の鉄道2…走る蒸気機関車2両 2017/2/19

明治村の開村日には、毎日走っている蒸気機関車

明治村には、前回紹介した京都市電とともに、動く明治の産業遺産として蒸気機関車が走っています。愛知県内で走る本物の蒸気機関車は、この明治村の2両と、昨年11月9日付で紹介した愛知こどもの国(最下部にリンクがあります)の2両があります。

愛知こどもの国の蒸気機関車は、昭和生まれの小形機にもかかわらず2両ともに運転することが難しく、昨年復活した「しおかぜ号」に代わって「まつかぜ号」がいまは運休しています。まして、明治生まれの本線用蒸気機関車ともなれば、それを毎日運転するのがいかに大変かは容易に想像ができましょう。

実際、2010年12月20日から蒸気機関車と京都市電を全面運休として、今後、継続して安全運転を続けられるかという入念な確認がされました。

その結果、2012年9月28日に京都市電1号車の運転を再開、同11月8日に蒸気機関車12号の運転を再開。京都市電2号は2014年夏に運転を再開し、さらに半年を経た2015年3月15日に明治村開村50周年を記念して蒸気機関車9号が運転再開しました。ここに、明治村の動態保存車全4両が再度現役に復帰したのでした。

新橋〜横浜間を走った英国製12号機

日本の鉄道は明治5(1872)年に新橋〜横浜間の開通ではじまったことは、広く知られています。このときはすべて蒸気機関車が牽引する列車で、イギリスのメーカー5社から計10両の蒸気機関車が輸入されました。そのなかで成績の良かったシャープ・スチュアート社から2年後となる1874年に2両を追加輸入して、増備車としました。この増備車のうちの1両が、明治村で今も走っている12号機です。

輸入当初は23号でしたが、明治42年に形式称号が改められて、160形165号となりました。しかし、すでに輸入から35年を経て旧形に属していましたので、当時は武豊線での活躍となっていました。

さらに、明治44年には尾西鉄道に譲渡されます。尾西鉄道は後に名古屋鉄道と合併する、いまの尾西線や名鉄名古屋本線国府宮〜名鉄一宮間などを建設した会社です。

この12号は尾西鉄道の頃の番号で、名古屋鉄道と合併したあともそのままの番号が使われて、昭和32(1957)年に廃車となっています。

廃車後は岩倉車庫で保存され、さらに犬山市郊外にできたラインパーク(現・日本モンキーパーク)で静態展示されたうえで、昭和40年に開村する明治村に移設されました。明治村でも当初は静態保存でしたが、昭和48年(1973)年に動態復活し、翌昭和49年3月18日の開村9周年記念日から、いまのように乗客を乗せて走るようになりました。

製造後、今年で145年にもなる現役で走っている蒸気機関車は、もちろん国内最古です。ただし、当初のボイラーはさすがに経年劣化で使用できず、昭和60(1985)年に二代目に載せ替えています。その初代ボイラーは産業遺産としての価値がありますので、レンガアーチ橋の下に保存されています。

最初の写真の左下をよく見ていただくと、瓦斯燈の右側に写っています。これが初代のボイラーです。明治村へ行ったら、忘れずに見ておきたいものです。

米国製の9号機は、華奢に見えるが12号機より1割程度重い

こちらは、9号機です。明治45(1912)年製と、明治最終年の製造です。先の12号機より約40年も後に製造されていますが、それでも今年で製造後105年と100年以上経つ機関車です。

米国ボールドウィン製で、12号機が先従輪1軸と動軸2軸の1-B-0という軸配置だったのに対して、この9号機は3軸すべてが動軸の0-C-0という軸配置です。

いかついイメージの12号機に比べて、スマートな印象がある9号機ですが、空車時の車体重量は19.5トンと、12号機の17.49トンより1割以上重い機関車です。運転整備重量という水と石炭を積み込んだ状態でも、9号機は23.05トンで、12号機の21.43トンより1割程度重くなっています。

輸入当初は富士身延鉄道という、富士〜大宮町(現・富士宮)を結ぶ私鉄で活躍しましたが、同線はその後国鉄となり、いまはJR東海身延線となっています。

一方同車は、富士身延鉄道時代の昭和11(1936)年に日本鋼管鶴見製作所(現・JFEエンジニアリング鶴見事業所)に譲渡され、さらに昭和48(1973)年に12号機の動態化にあわせて明治村にやってきた機関車です。

明治村では、9号機と12号機を交互に使っているため、訪問時にどちらの機関車が動いているかは判りません。当日動いていない方の機関車は、「SL東京駅」に隣接している車庫で休んでいますので、ホーム端や転車台見学場所から遠目で見ることができます。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年間のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを立ち上げて代表取締役に就任。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退したため、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、多数のCD-ROMやDVDタイトルの企画制作にも関わる。監修した「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)が話題となってTV番組タモリ倶楽部に出演したこともある。

最新著書は「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)。

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