珈琲美美・森光充子さんと珈琲の話でも・・Part1 2017/10/25

福岡市・珈琲美美店主 森光充子さん

いつもありがとうございます。

10月2日、福岡から珈琲美美の店主・森光充子(モリミツ・ミツコ)さんと、手の間書房の編集長田中智子(タナカ サトコ)さん、九州喫茶散歩のライター、小坂章子(コサカ アキコ)さんにご来店いただきました。

来店の3週間前くらいに、森光充子さんから「10月2日、3日と今井さんところにお邪魔したいのですが、田中さんと小坂さんも一緒ですが、ご都合はよろしいでしょうか?」と連絡いただきました。勿論来ていただくのは嬉しいのですが、せっかく来ていただくのですからただ来ていただくのではもったいないという事で、「New珈琲美美・森光充子のコーヒーを飲む会」と「森光宗男を偲ぶ会」を企画しました。

じつは、充子さんが当店に来るのは初めてですので、来ていただくのなら充子さんのコーヒーを生徒に是非飲んでその味を知っていただきたかったので・・、「充子さんのコーヒーを飲みながら森光宗男さんを偲ぶ会をやりたいのですがいかがでしょうか?」と断られるのを覚悟で提案しましたら・・・、

「良いですよ!是非やらせてください!」

との返事が返ってきたではありませんか!「但し、私はコーヒーを淹れる事しかできませんので、おしゃべりは勘弁してくださいね!」といわれましたので、「おしゃべりはご一緒に来る二人に任せましょう!」とお答えしました。

ダメもとでお聞きしましたので、お受けいただき嬉しくて嬉しくて少し小躍りするくらいでした。それからというもの10月2日がくるのが待ち遠しくてなりませんでした。

右から、小坂章子さん、田中智子さん、森光充子さんの御三家?

ご一緒に来るメンバーは、森光さんが生前信頼していた方で、田中さんは、2012年に出版された森光宗男氏唯一の出版本「モカに始まり・・」を企画、編集、出版した、手の間文庫の編集長で、森光さんを詳しく知る側近中の側近です。

もう一人の小坂さんは、森光宗男氏と共にエチオピアに出かけ、その旅のビデオを企画、制作、販売している方で、大坊勝次(旧大坊珈琲店店主)氏と森光宗男氏の対談本(もうすぐ新潮社?から販売予定)も企画された、森光宗男氏を良く知るこれも側近中の側近なのです。

今回来ていただいた3人の女性は、まさに森光宗男氏を良く知るベスト3なのです。「偲ぶ会」としてはこれほど豪華なメンバーはいません。この方たちが一堂に会するのです。来ていただく前からどんなにも素晴らしい会になるのか?と、私自身がとてもワクワクしていました。

さて、会が迫った3日前に充子さんからメールが来ました。

「今井さん。どんな珈琲をお出ししましょうか?」
「充子さんの珈琲なら何でも良いですよ」
「ハラール?」

【解説】ハラールとはエチオピアの東ハラール地区のナチュラルコーヒーで、昨年、森光さんが「アビシニカの会」を作って共同購入で輸入した「ヤンニ・ハラール」でエチオピアのモプラコ社のエレアンナ社長が特別に携えてくれたスペシャルな豆です。その中でもスペシャル中のスペシャルな豆に、美美さんしか持っていない「ゴールデンハラール」という豆があり、ほとんど飲むことができない特別な豆がある。

「ハラールですか!それならば美美さんにしかないゴールデン・ハラールなら最高ですね!」

と、無理を承知で、少し媚びるようにこんなメールをしました。しかし、これに対する返事はありませんでした。

さて、当日になり17時30分ごろに来店いただきました。珈琲をお飲み頂きながら今日のスケジュールをお話しました。森光充子さんは珈琲を淹れていただくという事で、そこで、持ってきた豆は・・・なんと、ゴールデン・ハラールでした。「ヤッター!今日のお客さんは超ラッキー!心の中でガッツポーズが出たのが自分でもわかりました。

同行された、田中智子さんと小坂章子さんには森光さんのお話を、充子さんの分まで10分以上はお話ししていただきたいとの趣旨をその場でお伝えいたしました。ライターでもあるお二人ですので人前でお話しするのはお得意中の得意ですので私はとても楽しみにしていました。

ネル(布)ドリップ抽出

まずは静かに万遍なく粉全体に注湯していき蒸らし工程に入ります。粉はモクモクモクと生きているが如く膨らみました。当然ですよね!新鮮な深煎りの豆を直前に細かく挽いて高温のお湯を注げば、これ以上膨らまないというくらいにマックスで膨らむのです。

少し蒸らした後、中心からゆっくりとゆったりと静かに丁寧に湯を注いでいきます。ポットには一杯のお湯を入れましたのでお湯は冷めることなく高温がキープされています。

ネルフィルターからこぼれんばかりの細やかな泡が立ち上がり切らすことなく注ぎ続けました。ふっくらした泡はとても美味しそうで、食べたくなるくらい繊細できめ細やかな泡でした。

そうして抽出時間約5分で出来上がりです。

私の経験から考えるに、出来上がったコーヒーはかなり苦味とパンチの効いた濃いコーヒーエキスになると思っていましたが・・・、飲んでビックリ!

優しく柔らかい苦みとモカ特有の香りが強く、後味にほんのり甘味が感じられる素晴らしい香味になっているではありませんか!

「美味しい!!」

充子さんには大変失礼ですが、私の予想とは全く違うコーヒーになっていてビックリ!これが「New珈琲美美のコーヒー」「森光充子のコーヒー」なのです。驚きと感動と安心が相まって、私の中には不思議な感情が渦巻いていました。

充子さん(右)と私

昨年12月7日に森光宗男氏が突然お亡くなりになられ、その後、珈琲美美を再開して営業し続けた充子さん。本当に大変だったと思います。全国でもトップ中のトップとして君臨した森光宗男さんの店として、多くの珈琲ファンやマニアに支持された店を継承するという事は、口ではとても言い表せない大きなプレッシャーがあったと思います。それも弟子ではなく、お子さんでもなく、奥様が珈琲美美という名店を継続するのです。40年創り上げた名声をけがしてはいけない、私で出来るのか?などなどいろいろな思いを全て抱えてなおかつ進まなければならないのです。

開店より共に店をやってきているのだから、何も問題なく出来るのでは?と一般的には思われますが、実はそういうわけにはいかないのです。珈琲屋、喫茶店はご夫婦で営んでいる店が多いのですが、お二人ともが同じ仕事をしているわけではありません。仕事にはそれぞれ分担があり、まったく違う仕事をして一つの店として成り立つようになっています。

当店を例にとりますと、私が珈琲の焙煎、ブレンド、抽出、珈琲教室、会計を担当しています。妻は抽出、店の飾りつけ、備品や清掃や家庭の仕事等を受け持っています。どちらかが欠けたらそれを一人でこなさなければなりません。特に、自家焙煎珈琲店は焙煎という店の味を決定づける技術と経験と勉強が必要な事は大体店主が専属で受け持ってるケースがほとんどで、当店も例にもれません。40年もの間長きに渡って店を継続するとかえってその分担作業が専業となり、変わるという事はほとんどありません。

当店は今私が亡くなれば、自家焙煎の珈琲店として継続することは出来ません。よって、他から焙煎豆を仕入れ、喫茶店として営業を続けることしかできません。また、味を変えるのですから店名を変えることになるのでしょう。しかし、妻はそこまでして営業を続けることはしないと申しています。

珈琲美美は宗男氏が病気がちだったこともあったでしょうが、充子さんが数年前から焙煎を覚え、宗男氏が亡くなってからも自家焙煎の珈琲店として立派に継続しているのです。それも見事にその味を継承し…それどころか進化させて営業を続けているのです。その苦労、大変さは、私はよく、本当によくわかります。簡単にできることではありません!

じつは、今年に入り充子さんから焙煎した珈琲豆が送られてきました。早速飲んでみたのですが、そのしっかりしたバランスの良い完成された香味にホッと一安心したと同時に、New珈琲美美と充子さんの明るい未来がはっきり見て取れました。

中津川市・喫茶ハミングバードのご金子夫婦(前列のお二人)
中津川市・カフェ・リバーサニーの岡田さん(左)
多治見市・喫茶ガーシュウィンの村川さん(左)
瑞浪市・カフェ・VERKEの肥田夫妻(右側のお二人)

会は佳境に入り、充子さんは約1時間に渡りドリップし続けました。生徒たちはゴールデンハラールの素晴らしい香味に「美味しい!」と感動していました。しかし、なかにはこの初めて出会う香味の複雑さに戸惑っている方もいたようです。ただ、こういったコーヒーは誰でもが分かるというコーヒーではないので、飲んで少しずつ味覚を修練していくのですからそれはそれで貴重な経験なのです。私自身は、あの条件で入れたコーヒーがこんなにも優しく静かなコーヒーになる事にびっくりでした。実は、これが受け継がれた昔からの珈琲美美流のコーヒーなのです。

その秘密は、前の日に生豆を50℃のお湯で洗い、一晩寝かせてから焙煎することにあるのです。一般的には、生豆は洗うことなしにそのまま焙煎します。洗うというのは汚れを取るのも目的ですが、50℃のお湯で洗う事で豆の組織が活性化し豆の香味が最大限になるそうです。また、味的な面だけではなく、豆に対する「敬意」、「神聖なる儀式」の意味も込められているそうです。

私も何年も何度も50℃洗いを試したことがありますが、洗った豆は多少カフェインが抜け、優しい味になります。ですから高温抽出しても苦味が優しくきれいな味わいのコーヒーになるのです。しかし、この方法は難しくただ洗えば良いというものではありません。一歩方法を間違えると味も香りも弱い頼りない珈琲になるようですが、美美流は何十年も培った方法で見事に素晴らしい香味の珈琲に仕上げています。今回お持ちいただいたゴールデンハラールも静かで品がありなおかつ味わいが深く素晴らしい作品になっていました。この驚きと感動のコーヒーに、私ごときが言うのもおこがましいですが、「充子さん素晴らしいです!私は心より安心しました!」

充子さんの努力、センスも素晴らしいのですが、考えてみれば、充子さんは森光宗男氏と同じだけ産地に出かけいろいろな珈琲も沢山体験しきたのですから当然と言えば当然なのでしょう。約50杯分のコーヒーを淹れ終わり、会場を旧店舗に移して、20時から「森光宗男を偲ぶ会」を開催しました。・・・・つづく。

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プロフィール

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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