ちから教授のコトバ生態学 第101回 2017/12/6

前回の続きで、「外来語(英語)の侵略」の続きです。日本語と外来語の戦争で、日本語の負け戦(いくさ)の悔しい話です。

日本語名の車は可能か?
日本車はもう外国産車に対して、劣等感はありません。わざわざ外国車に見せて、外国語風名前を付ける理由はなくなりました。日本語名を付けていけない理由もなくなりました。日本語名を付け、日本語表記の車は、遠くからでも、性能の良い日本車ということがすぐにわかります。時が経ってアメリカ人の愛国心問題はすでに解決しています。

ひらがな名の日本車
漢字でもいいですが、ボクの理想はひらがな名で、しかもひらがな表記の付いた日本車です。そのような車を外国人はどう見るでしょうか。ひらがなの独特な曲線にひき付けられると思いますよ。「すこやか、みやび、なごやか、かぞく、ふるさと、やまと」など。丸まった、柔らかい文字で車体に付けます。漢字(漢字交じり)でもいいかもしれまん。「遠出、絶景、駿馬、外出、颯爽、初恋、思い出、小春びより、夏祭り、花火」。外国人には受けると思います。

ある夫婦の会話
「オレ、ワンボックスの『なごやか』と、スポーツタイプの『颯爽』で迷っている。値段は同じくらい。」

「もうすぐ家族が増えるので、絶対『なごやか』にしてよ。」

このような夫婦の会話があるといいですね。そのうちそのような時代来るでしょうか。もっとも、上記「ワンボックス」「スポーツタイプ」の日本語化は無理でしょうね。

英語になった日本語
外国人は日本語が好きです。日本語名で言うと一層好きになると言っていました。輸出された日本語を少しだけ以下に紹介します。

sushi、sashimi、sukiyaki、shabu-shabu、tempura、yakitori、takoyaki、tonkatsu、soba、udon、tofu、miso / bonsai、ikebana、ukiyo-e、haiku、tanka、zaibatsu、kanban、gunte、zangyo、karoushi、keiretsu、kaizen、shiba、yakuza、shinkansen、pokemon

これらは外国語に翻訳不可能なもの、ことがほとんどですが、翻訳可能なものもあります。日本語そのままの方が語感がぴったりです。特に上記の料理の場合、外国人にとって、日本語の響きと味が合うそうです。

「ikebana」と「pokemon」
また「ikebana」は和英辞典では「Japanese flower arrangement」と翻訳してありますが、「ikebana」の方がぴったりですよね。

さらに「pokemon」のようなアニメ関係の海外発信は大変なことになっています。ボクはあまり詳しくないので、ここでは紹介できませんが、タイトル、登場人物名、アニソンなどです。アニメ用語は日本語由来ですが、外国語起源が多いです。たとえば「pokemon(ポケモン)」は「pocket」「monster」からです。

日本人より外国人の方が日本語好き
メーカーは十分マーケットリサーチしています。日本語名は当分の間日本人には受けません。外国人は日本語に対して好意を持っています。だから、外国人向けだけ日本語の名前を付けて、成功すれば国内にも普及させるようにする方がいいかもしれません。そのくらい日本人は日本語を嫌っています。そういえば、ある自動車メーカーが「オロチ、リョーガ、など」の日本名の名前を付けたことがあります。今はあまり見ませんね。

車名命名法比較
まず外国産車名を見てください。

プジョー208、メルセデス・ベンツCLA、ボルボV4」、BMWX3

日本車の名前と違いますよね。外国車は、日本車とは異なって、独立した車名を持っていません。例えば、プジョーの車は「プジョー」の後に数字「208」かアルファベットが付くだけです。前回挙げたように、トヨタの車なら、「クラウン、プリウス、アクア、ヴォクシー」という独立した名前が付き、さらにその後に、「クラウン」なら「クラウン アスリート」のようになります。

「セレナ2400」のように、さらに数字やアルファベットがつく場合もあります。日本車の名前は格段に種類が多いです。命名法は独特ですよね。

自動車メーカーはまだ劣等感を持っている?
ところが、外国産高級車に対抗するため、トヨタから高級ブランドの車が生産され始めました。レクサスブランドです。次のような車名を持っています。

レクサスRX、レクサスIS、レクサスGS、レクサスLS、レクサスLX

どうです、上記外国車と同じ命名法を採用しています。完全な模倣です。車の性能、品質では、十分な競争力があります。日本語、日本式命名法では競争力がないのでしょうか。外国語起源の名前で、しかも同じ命名法で、外国高級車に対抗しようとしています。日本人は日本語より、外国語風の名前を好むからです。この場合も、まず日本語名の車で外国人を魅了し、その勢いで日本人の好みを変える方法がいいかもしれません。

高級車の場合でも、すでにお話したように、高性能、高品質でしかも高級な日本車に日本語を付ければ、世界の人が日本語に憧れを持つようになります。車の輸出と同時に日本語の輸出も可能な良い機会です。

科学技術五分五分、コトバは完全敗北
メーカー、販売会社の責任ではありません。命名については、膨大な費用をかけて、広告会社とも協力して、十分マーケットリサーチしています。

新しい車を世に出す時、その名前はその車の売れ筋(生死)を左右します。日本語採用はその車のデザイン、質、性能、の障害になるのです。国内向けでは残念ながら、証明済みです。世界向けではまだ試す価値がありそうです。日本は輸出大国です。工業生産物はもちろんですが、ドラマ、アニメ、料理を含む文化も世界に向けて発信しています。日本語の輸出が出遅れています。工業生産物輸出のついでに日本語を輸出する機会は十分あります。

「なでしこ日本(ニッポン)」「さむらい日本(ニッポン)」
Haikuは頑張っているのに。「なでしこJapan」「サムライJapan」でなく「なでしこ日本(ニッポン)」「さむらい日本(ニッポン)」で世界と戦いたいものですね。試合では「がんばれ、ニッポン」「ニッポン、チャチャチャ!」と応援してるのですから。

日本語敗北は日本国民に責任があるのです。日本人自身が日本語を応援することはあまりなく、大変嫌っているようです。ここでも世界の常識は日本の非常識ということができます。

『ちから教授のコトバ生態学』を出版
このコーナーでお話してきたことに加筆修正して、同じタイトルで出版しました。出版社は中部日本教育文化会です。(230ページ、1900円+税)

椙山女学園大学人間関係学部の「言語」の講義で使用しています。一般向けに書いてあるので、一般の人でも興味をもたれると思います。中日新聞プラスの読者の方は当然ご存知ですよね。

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プロフィール

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略歴/1947(昭和22)年、愛知県瀬戸市生まれ(深川小、本山中、瀬戸高)出身の「せとっこ」、瀬戸市在住。阪大院修士課程、博士課程(英語学講座)修了後、愛知工業大講師、助教授。

1987(昭和62)年、椙山女学園大教授。2017(平成29)年、同大名誉教授。

中日文化センター占い講師。マジック講師。また運命学評論家、コトバ評論家、若者生態評論家として、「ホンマでっか」(フジテレビ)などテレビ、ラジオ300回以上出演、講演200回以上。また平成1998(平成10)年、日本初、大学の正式課目として運命学を開講。

加藤式実践占術学会会長。死語の概念を確立。「コトバ生態学」を構築。造語「ケーチュー(携帯電話依存症、携帯電話中毒、Keichu)」が新語として定着。「スマチュー(スマートフォン中毒)を提案。

著書/『英語と日本語と英語教育と』『大学教養英文法』『大学英作文のエッセンス』『新英語学辞典』『女子大生の内緒話』『世紀末死語事典』『日本語七変化』『運命学』『フシギことば学』『日本語発掘〜和語の世界』『ちから教授のコトバ学』『最新若者言葉事典』『天地がひっくり返るおはなし』『女子大生の不平不満話』『女子大占い軍団とちから教授による 楽しい手相』『ちから教授の この道 我がみち』『ちから教授のコトバ生態学』『ちから教授退職記念号 究極死語事典』など67冊。

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