【第42回】地方発の商品に見る「融合」の技『FOOD TABLE in JAPAN 2018』 2018/2/24

2018年2月14日から16日までの3日間、千葉の幕張メッセ全ホールにて、小売・中食・外食業界の垣根を越えた商談展示会『FOOD TABLE in JAPAN 2018』が開催されました。

今年は「スーパーマーケット・トレードショー2018」(※以後SMTS)を含め同時開催の「こだわり食品フェア2018」「デリカテッセントレードショー2018」「外食FOOD TABLE」の中から、スーパーマーケット研究家の目を通して見た、魅力ある商品をピックアップしてご紹介します。

「スーパーマーケット・トレードショー」を含む『FOOD TABLE in JAPAN2018』の来場者数は3日間で88,121人(新日本スーパーマーケット協会発表)

今回、魅了を感じた商品に共通していたのは「センスのある融合」。それは2020年東京オリンピックを見据えた「和と洋の融合」だったり、「地元食材同士の融合」など、既存の商品に何かいいものをいい感じに組み合わせて誕生させた、合わせ技一本的な逸品です。


【ちりめん+イタリアン=ワインやパスタのおとも】

ちりめんバジル 616円(40g)・ちりめんペペロンチーノ 716円(28g)※写真は15g/ちりめん山椒千京<京都府>

チームを組んで自社商品をアピールするブースが多い会場で、しっとりとした大人の女性が一人、逆に目立っていた京都「ちりめん山椒千京(ちひろ)」。自分の名前をつけたという京都のお店で、地元出身の蓮沼千京さんがお母さん仕込みの「ちりめん山椒」を毎日手づくりで製造販売しているそうです。

この洋風ちりめんは「ちりめん山椒」を炊き上げる技術を使いアレンジしたのもの。千京のちりめん山椒は生山椒を使うため、香り高く辛味も鮮烈ですが、あえてその山椒を優しく効かせた洋風アレンジが、ホワイトトリュフオイル入りやマカダミアナッツ入りです。

そして、その美味しさに誰もが驚く、イタリアン風味の「ちりめんバジル」と「ちりめんペペロンチーニ」は、ご飯よりもワインやパスタにベストマッチ。他にニンニク入り、ドライトマト入りがあり、いずれも山椒は入っていないのでお子さんでも食べられます。

千京さんがちりめん山椒のお店を地元、京都に開いたのが2008年。じつは12年間にわたりハワイに暮らした経験があったので、その生活の中で培ったグローバルなセンスで洋風ちりめんにチャレンジ。現代人の味覚に合った風味の商品を生み出す大きな力となりました。

今のところ販売は千京の店頭やウェブショップ、京都のデパートやこだわりのスーパーなど。京都の味に千京さんのセンスがプラスされた「ご馳走ちりめん」は、ありそうでなかった組み合わせの新しい美味しさです。


【漬物+ラブレ乳酸菌=腸美人】

乳酸菌ラブレ20g 古漬胡瓜きざみ・らっきょう・古漬壬生菜きざみ・古漬キャベツと人参 各130円/西利<京都府>

もう一つ、京都の伝統的食ながら新しいものを。
京野菜「聖護院かぶら」を使った漬物「西利の千枚漬」で有名な京都の漬物屋さん「西利」。もう一つの京都ならではの伝統漬物「すぐき」から生まれたのが、ラブレ乳酸菌。公財ルイ・パストゥール医学研究センターの岸田綱太郎博士によって発見された植物性乳酸菌です。

そのラブレ乳酸菌で漬け込んだ漬物がこちらの商品。「生きて腸まで届く」ため、継続して摂取することで整腸作用がみられるほか、免疫力アップにも効果が期待できます。

植物性の食材を使用し、塩気より酸味を感じる優しい味わい。食べきりサイズの1パックで1日の推奨されるラブレ乳酸菌が摂れるため、美味しく毎日食べながら健康を気づかうことができそう。今、スーパーの漬物売り場で無添加の漬物を探すことはとても困難なだけに、とても貴重な存在です。

しかもこの20gのタイプ、なんと未開封なら常温保存でOK。京都のお土産にも最適ですが、小家族の食卓にもありがたい食べきりサイズになっています。


【室戸海洋深層水+高知産ゆず=安定の美味しさ】

ゆふら 130円/高知食糧<高知>

健康と美容のためにフレーバーウォーターを愛飲している方は多いと思います。私も時々飲みますが、ちょっと甘い人工的な香りは苦手。でも「ゆふら」は「ゆず香るお水」で甘みはなく、香りを楽しむすっきりとした味わいです。

水は“made in 高知”の水である室戸海洋深層水、ゆずは高知県三原村産ゆずを使用。原材料名にある香料も、ゆずから圧搾法で抽出した香り高い「天然ゆずオイル」を意味しているので、安心です。水分補給はもちろん、癒されるゆずの香りとほのかな酸味で、リラックスタイムのほか食事の邪魔もしない美味しい水。「日本のフレーバーウォーター」として海外の方にも喜ばれそう。もちろん、糖分0、カロリー0のデトックスウォーターとして、健康と美容を気にする人にもお勧めできます。

毎年、高知県は県として一致団結し、1年かけて研鑽を重ねた自信のある商品を持って来ます。だから県の特産品を見事に活かした、完成度の高いものばかり。その秘密は「地理的に遠隔地であることを自覚した上で、商品を開発し磨きをかけ、PRや情報発信力を高めてきた結果」と以前、高知県の産業振興を推進する高知県地産外商公社の須藤昌陽さんに教えていただいたことがあります。高知県産商品の放つ魅力は、努力の賜物なのです。

【イワシの丸干し+各種オイル=世界を旅する味】

会場の展示もひときわオシャレ

旅する丸干し 800円/下園薩男商店<鹿児島>

鹿児島の港町・阿久根で創業昭和14年のウルメイワシの丸干し屋さん「下園薩男商店」(しもぞのさつおしょうてん)。6月から10月の早朝に水揚げするウルメイワシは、まだ餌を食べる前のため「腹が苦くない」「食べやすい」と評判です。

とても品質のいい阿久根産の丸干しなのですが、最近はあまり焼き魚をしない家庭が増えていることから、干物の新スタイルを考案。丸干しを世界の国をイメージしたオイルに漬けた「旅する丸干し」です。

阿久根プレーン(ボンタンエッセンス)、プロヴァンス風(オリーブ・ハーブ)、南イタリア風(ドライトマト・ガーリック)、マドラス風(カレー・ミックスビーンズ)の4種で、それぞれ丸干しの美味しさが引き立つオイル漬けになっています。私は白ワインに合う、爽やかなハーブの香りのプロヴァンス風が好み。

そしてとても興味深いのは、同社が地元・阿久根に建てた「イワシビル」。1階はイワシを使ったランチなどを提供するカフェとショップ、2階は「旅する丸干し」の工場、3階はなんと、とてもリーズナブルに泊まれるホステルになっています。ビル自体も様々な「融合」が見られる、なんだか不思議な魅力に溢れた会社です。


【乾燥もち+グラノーラ&牛乳=お手軽パワーチャージ】

おもちトッピング 価格は未定 /東和食彩<三重>※グラノーラは入っていません

こちらは、意外な「融合」の提案をする新商品「おもちトッピング」。メーカーの東和食彩の名は知らなくても、アルファー化米や水で戻す乾燥もちなら、非常用持出袋に入っているのでは? あの「あずき」で有名な製菓メーカーの即席しるこの乾燥もちも、じつは同社製品です。

そんな乾燥もち製造の高い技術を持って提案する新しい食べ方が、グラノーラにトッピングして牛乳をかけるもの。餅はラムネ菓子のような小ささのため、牛乳をかけることですぐにモチモチ食感に変化します。お子さんやアスリートなど、朝からしっかりパワーチャージして1日を始めたい人に、これ以上ないほどシンプルで簡単な商品。

これから市場に出る発売前の新商品。グラノーラ以外にもお味噌汁やスープにインしたりと、その可能性は無限大。業務用での用意もあるため、新メニューづくりにも活かせそうです。


【地方発信の商品で知る、和の素晴らしさ】

毎回、とてもたくさんの地方・地域産品やメーカーの方々に出会えるのが楽しみなのですが、今年は特にローカルな食品の発信力が高まってきていることを実感。以前に増して「地元の良さ」を自信を持ってアピールされているブースが多く、眩しかった! 地方色豊かな地元の味を探し求める私にとって、本当にいい時代がやってきました。これは益々、ローカル食品から目が離せません。

では最後に『FOOD TABLE in JAPAN 2018』より気になる風景と商品を。

(右上より時計回りに)うさぎ食パン ユニバース/強嵌合 シーピー化成/カネ十アールグレイ カネ十農園/磯香 昆布の川ひと/ゆずがり 四国健商/天然真鯛のゆずめし弁当 いかりスーパー/(真ん中)フォークで食べる八女抹茶のクリームおはぎ ダイキョーバリュー

※記事中の価格は小売希望価格、すべて税抜で表記しています。

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スーパーマーケット研究家

65年東京生まれ、名古屋在住。一女の母。

サラリーマンの夫の転勤で国内外の転居を繰り返す中、スーパーの研究を始める。2012年に出版した著書が話題となり、出演したテレビ番組で紹介した岐阜県高山市の隠れた日常食「あげづけ」が大ブレーク。現在は、テレビコメンテーターのほか新聞や雑誌の連載、講演活動をこなしつつ、子育ての隙をみて、自腹で全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。

著書/『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品 見〜つけた!』(講談社)

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