シード権に手応え 「愛されるチーム」で挑む 愛知県立西春高等学校・森藤秀幸【注目校監督】 2018/7/9

今春の県大会で4強に入り、シード校として臨む西春の森藤(もりとう)秀幸監督

 今夏、がぜん注目を集める存在になった。春の県大会で強豪の中京大中京、愛知、愛産大三河を相次いで撃破。初めてシード権を獲得した。しかも西愛知大会のシード校8校で唯一の公立校であり、昨年度名古屋大に32人が合格するなどの進学校という話題性もある。肩に力が入ってしまいそうだが、「いや、まだまだ進化する」と選手への信頼は揺るがない。

 100回記念大会。愛知から2校、甲子園に出場できる。決して夢の舞台が近づいたわけではないが、選手たちには早い段階から「シード権を取ろう」と言い続けてきた。そのためには、春に強豪校を倒さなければならない。狙いどおりに目標を達成。「いい流れで来ている」と確かな手応えをつかんでいる。

 平日の練習は午後4時からの1時間半と短い。グラウンドは他部との共用で、打撃練習はできない。その分、冬場にしっかりバットを振り込んできた。普段はノック中心の練習となる。
 
 1週間の練習メニューは選手が自主的に決める。それを見ながら、選手の力を引き上げる手助けをする。「このチームに力が飛び抜けた選手はいない。みんな横一線」と言うが、「私から指摘されたことをかみ砕き、プラスアルファの力に変えるのがみんなすごい」と一人一人の成長に目を細める。

「誰にでもできることを、誰にもできないぐらいやろう」と地道に指導し続けてきた

 自身は中学卒業時に野球から離れようとしていた。「自分一人が努力しても報われない」と考えたからだ。西春に進学すると、近隣の中学から集まった野球仲間から「どうして野球部に入らないの」と盛んに声を掛けられた。思い直して入部。ただチームは思うようには勝てないまま卒業した。

 大学では卒論のテーマを「スポーツフィーバー現象」に決め、地元高校の鵡川(むかわ)の合宿に参加した。佐藤茂富監督は21世紀枠での出場を含め、選抜大会に3度導いた。前任の砂川北でも春夏計3度の甲子園出場を誇る名将。合宿では佐藤監督の「人間教育」が選手個々に浸透していることに驚かされた。

 朝はボランティアの奉仕活動。あいさつ、整理整頓もしっかりできる。試合になると自然にチームと地元の人たちに一体感が芽生える。愛されているチームだからこそ見ている人に、勇気や希望、感動を与えることができると知ったことは、その後の大きな財産になった。

 指導者となってから選手には難しい注文は一切つけない。泥くさくてもいい。下手でもいい。「誰でもできることを、誰にもできないぐらいやろう」と言い続けてきた。「一生懸命さでは負けない」という姿勢が見る人に、野球部のモットーである「勇氣、希望、感動」を与える。それが高校野球の魅力と信じて疑わない。

 指導が実ってチームは年々、力を付け、周囲の人から応援してもらえるように成長していった。だから「自分たちの力だけで今があるのではない」と選手たちに言い聞かせている。OBの思いも背負って大会に臨む。

【プロフィール】 もりとう・ひでゆき 愛知・西春高−北海道教育大で外野手。非常勤講師として1年、小牧工で勤務。教員免許取得後、内海で4年間監督。2008年に母校の西春の監督に就任。保健体育科教諭。愛知県犬山市出身。37歳。

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中日新聞編集局運動部記者

1955年生まれ。スポーツ紙記者を経て、中日新聞編集局運動部記者。

記者としてプロ野球や甲子園大会などの野球取材一筋30年。応援するチームは福岡ソフトバンクホークス。心に残った甲子園のベストゲームは1998年夏の横浜−明徳義塾。

長年に渡る野球取材の経験から、今年の地方大会の見どころや、情熱を持って選手の指導にあたる監督へのインタビューなどをじっくりお届けします。

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