韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その2〜 2018/10/3

前回記事 韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その1〜

高尚な「両班(ヤンバン)☆支配階級」の気高い「★ 美意識 ★」から話を変え、今回は「常民 ☆ 被支配階級)」の女性、いわゆる「庶民派女子」についての話です。

「ジャーナリスト & 韓国学学者」であった「(故)이규태(イギュテ)李奎泰さん ☆ 1933〜2006年」は、彼の著書『韓国学エッセイ』に、

【宣教師「※ ゲイル」は、

≪朝鮮半島の女性達は、屋根の上に咲く「※ 박(パク) ☆ 夕顔」の花のようだ≫

と綴った。朝鮮半島の女性たちが「白衣」を着ていた理由からではなく、女性たちのイメージがあまりにも「素朴」だったからである。】

と、記しています。

※)「ゲイル(James Scarth Gale) 1863-1937年)」は、朝鮮時代末期の1888年に朝鮮半島に渡り、40年間暮らしていたカナダ出身の宣教師。朝鮮の歴史と文化をよく理解していた外国人であり、最初の『韓英辞典』を編纂した人。 

※)韓国語で「박(パク)」とは、韓国人の「姓(名字)」の一つである「朴(パク)」や「丸夕顔 + 瓢箪」などの意味を持つ「同音異義語」。

「박(パク) ☆ 丸夕顔の花」画像出典:シンデチョル・ポート
観賞用として庭園に植えた「박(パク) ☆ くびれのある瓢箪」画像出典:モヤモ・ショップ
「わら葺屋根」の上に実っている「박(パク) ☆ 丸夕顔」。韓国の伝統的な農家の光景です。画像出典:「白石詩集鹿(白夜)」

朝鮮時代の「상민(サンミン)常民 ☆ 農・工・商に従事する被支配階級」の大半を占めていたのは「農民」。<「わら葺き屋根 」 & 「박(パク) ☆ 丸夕顔・瓢箪」>は、韓国の過ぎ去った時代の農家のイメージに欠かせない、韓国人の精神的な故郷への「ノスタルジア(nostalgia)☆ 郷愁」!!

「박(パク)」はツル性の一年草。一体どこまでと思うほどツルは力強くどんどん伸びるけど、花は意外に薄地の白いレースのように可憐。太陽が隠れてしまった夜咲く「夜開性」の花だが、「月下美人 ☆(英:A queen of a night)夜の女王の意」とは異なり、さほど美しい花でもなく、強い芳香を発するわけでもない。

「박(パク)」は、夕方頃から開いた花が翌日朝頃しぼんでしまう一日だけの命。ひとつの株に「オス花」と「メス花」が別々に咲くうえに、オス花とメス花の開花時間帯が異なり、「オス花」は夕方頃から開花し、何時間も後から「メス花」が開花するので受粉可能な時間帯が短いことから「日本」では、「瓢箪の花 = 不幸な運命の女性」の花言葉があるとか。(え〜、そうなの?知らなかった!)

「박(パク)」のツルを地面から屋根の上へ伸ばさせ、建物を覆うことにより、(現代の)グリーンカーテンや屋上禄化の効果が得られ、真夏の強い日差しを和らげ、地球温暖化を防ぐ室内省エネ対策に役立てる。(先見の目あり。)また、ツルが長く伸び巻き引けてわら葺に絡まると、まるでロープで縛ったように屋根が固定し、重くて大きな果実が実るとわら葺を押さえ、台風時の屋根飛び防止対策になる。(先人の知恵なり。)

弱々しく感じられる「花」だけど、晩春から早秋まで次々と咲き続け、大きな実を沢山つける。実が若いうちに収穫し、「果肉」を煮物・炒め物・和え物・汁物・干し野菜などにして食べる。大きくなり熟すと硬くなるが、果肉が増えるので「貧家」では大きくなるまで待つ。

干し野菜にして硬くなった「박(パク)」を噛む食感は肉の如し。(ガンモドキだね?!)なので、肉が買えない貧しい家での最高のごちそうであったと。(「박(パク)☆ 朴」は「박(パク)☆ 丸夕顔」を食べた事ないけど美味しいのかな?)(*^-^)  また、「박(パク)」は「常民(庶民)」が「春の端境期(春窮期)」を乗り越す救荒食品でもあったとか?!

朝鮮半島の「박(パク) ☆ 丸夕顔」
「박(パク) ☆ 丸夕顔」で作った朝鮮半島の容器「바가지(パガジ)」 画像出典:斗山大百科事典

熟して果皮が硬くなると半分に割り、果肉と種を取り去ってから外側の皮を煮立てて乾燥させ、炊事道具や保存容器、生活用品などとして用いる。農耕社会において「박(パク)」で作った「★ 바가지(パガジ) ★ 」は、水やお酒を汲む柄杓として、お米や大豆など穀物をすくって量を測るマスの代わりに、野良仕事の際には農作業をする下男達の食器用、乞食が物乞いをして貰った「ご飯+おかず」を入れる容器として使われていた。

19世紀頃、朝鮮半島に「コレラ」が流行り、多くの人が亡くなりましたが、コレラはネズミを介して移る「魔の病気」として捉えられていました。「바가지(パガジ) 」の内側をスプーンなどの硬い物質でガリガリ掻くとうるさい音がするので、その音を立ててネズミを追い払いました。なので、病気や魔物を追い払う「魔除け」時には、丸々とした大実を沢山結ぶことから縁起の良い植物とされ、浄化水を入れ祭壇に供え、「豊作 & 多産」を祈る「お守り」の道具として用いられました。

ちなみに、主に経済的な事で「妻が夫にガミガミ言う」ことを韓国語では「바가지를 긁다 (パガジルル クッタ)☆ パガジを掻く」と表現します。語源は、「바가지(パガジ)」をガリガリ掻いて嫌な音を出し、ネズミを追い払ったことから由来します。

「이규태(イギュテ)李奎泰さん」は彼の著書の中で

≪「韓国の女性の一生」=「박(パク) ☆ 丸夕顔 + 瓢箪」≫

と、書き綴っています。

【農家では娘がお嫁に行く頃になると「박(パク)」を植え、柄杓を作る。婚礼儀式の際、その柄杓にお酒を注ぎ、新郎と新婦がその柄杓に口を付ける。言わば、間接キスをする「愛の柄杓」である。それから、この柄杓に「陽気(男性)」を意味する「赤色」刺繍糸と「陰気(女性)」を意味する「青色」刺繍糸を取り付け、愛を見守るお守りとして新居の天井からぶら下げておく。

このように、「박(パク)」の柄杓で始まった韓国女性の一生は「바가지(パガジ)」へと続く。水・醤油・味醤・穀物などを入れたり、すくったりする台所における女性の炊事道具は「パガジ」一色。貧しい家ではご飯やおかずを入れる食器代用品。時には、用を足す移動式便器として用いられたり……そうして、母親の「저고리(チョコリ)☆ 伝統衣装の上着」の前裾からはいつも「박(パク) ☆ 夕顔」の匂いがする。<母の想い = 懐かしい「박(パク)」の匂い>になってしまった。

腹立つことがある時は、一人になって「パガジをガリガリ掻いて」その音に怒りやストレスを乗せ発散する。「박(パク)」は女性の同伴者。「박(パク)」と共に生き、死ぬと出棺の際、住み続けた家に戻って来ないで永遠の旅に出るようにと、生前、死者が茶碗の代わりに使っていた「바가지(パガジ) 」を敷居の上に逆さまに置いて踏み割り、縁を切る。よって、韓国庶民の女性の一生は「박(パク)」の一生と言っても過言ではない】
(『韓国学エッセイ』より「朴」が抜粋意訳しましたよ〜ん。)

権力や富貴のシンボルである華やかな「牡丹」とか、高尚な「インテリ」の好む気高い「四君子」とかを植えず、経済的に恵まれない「常民(庶民)」が「★ 実用性 ★」を重視し植える「박(パク)」。綺麗だの上品だのそんな贅沢な単語とはウ〜ンとかけ離れた、気難しくない性質で栽培しやすく、やせた土質に適していて朝鮮半島で最もよく育つ庶民的な植物。

「月」は自ら光を出すことができず、太陽光を反射して輝いているので、夜を照らす「月光」は「日光」よりず〜っと弱く、「月明かり」が当たらない所は一寸先も見えないほど暗い。

隅々まで照りつけていた太陽が沈んだ後から屋根の上に咲き、ほのかな月明かりの下で最も美しく輝く「夜開性」の「박(パク)☆ 夕顔」の花は、「陰気 + 消極的 + 受動的」な印象を与える最も「朝鮮半島(韓国 + 北朝鮮)」的な花。熱帯アメリカ大陸が原産地とする説が有力視される「朝顔」は早朝咲き、日没頃には既にしぼんでる「昼開性」の「陽気 + 積極的 + 能動的」な印象を与える「アメリカ大陸」的な花。

真逆性質の「夕顔」と「朝顔」の美貌コンテストが行われれば、どちらがグランプリ取ると思う?いえいえ、もし、「北朝鮮」×「アメリカ」戦が起きるとしたら、どちらがボロ負けしそう??(「朴」は「負けるジャンケン」はしないけどさ。)(^_−) ウィンク

ちらっと見ると綺麗なのか否か分かりにくいけど、近くでよ〜く見ると「純朴美」&「素朴美」がいっぱい漂う「朝鮮時代の美」を最も代表している「박(パク)の花」の一番強いイメージは「★ 白 ★」。飾らずにありのままの自分でいるという点で当時代の「常民(庶民)」女性の普遍的なイメージにピッタリ!!

貧しかった時代の「庶民派女子たち」は、育児・家事・農業手伝い・布織り・山菜取り等々の労働で疲れ果て、「美」と「用」の両立なんかできず、「美的センス + 外見」磨きとは無縁の「仕事 + 用事」を果たす為の「ストイック(stoic)☆ 克己的」な人生を送っていたみたいですよ〜。「박(パク)」と共にね (*^-^)  

(続 く)

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韓国ソウル出身。韓国国会事務局退職後、1988年来日。大学で高等学校教諭1種免許(国語)取得。大学院で日本文化専攻。

名古屋市の官公庁などの翻訳・通訳人として活躍後、大学や名古屋市内の生涯学習センターなどで「コリア文化」に関する講座を担当。

現在は愛知大学、中京大学、中日文化センター、愛知大学オープンカレッジなどで韓国語講師をつとめる。

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