韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その3〜 2018/11/6

前回記事 韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その2〜

大昔、読んだエッセイにこんな一文があった。

「★ 牛の労働力は人間の10倍 ★」

軽い衝撃だったのか、この一文だけははっきりと覚えているが、この前後の内容はとっくに、すっかり忘れてしまった。

【息子を大学に行かせるだけのお金がない農家では、学費を工面する為に農耕作業において超超超貴重な労働力である牛を売ってしまう。それから親は骨身を惜しまず、まるで「牛」のように働く。これが韓国人の親……云々……】

こんな筋じゃなかったっけ??もしかしたら「子の学歴の為の親の犠牲」なんかがモティーフだったかも。

正確な内容を引用したく、どの本に書いてあったのか、本棚引っ繰り返して探しまくったけど見つからず……なぜ引用が必要か、というと「ジャーナリスト & 韓国学学者」であった「(故)이규태(イギュテ)李奎泰さん ☆ 1933〜2006年」が、「母と言う労働材」というエッセイで

「★ 牛が死ぬと嫁を貰う ★」

と、記したので

≪え、マジで?知らなかった!≫

と、強いショックを受け、

「牛」=「労働力」=「嫁」

の等式の成立を証明してみたく。

「牛」を使役して田起しを行っている「男女」。 画像出典:Gettyimages

話、ちょっびり逸れるけど、

現在は韓国でも農耕作業の機械化が進み、トラクターで田畑を耕す農家が殆どだが、二昔ほど前までは牛に「犂(スキ)」と呼ばれる道具を牽引させ、耕すのが一般的だった。その頃の農家においての「牛は農地に次ぐ財産」と言われており、農家の財産である「牛」すらない貧しい農家も多く、牛の代わりに人間が「スキ」を引っ張って土を掘り起こす農家が多かった。

朝鮮時代の(注1)「姜希孟」の著書『衿陽雜錄』によると、

【「마을(マウル)☆ Town」には総戸数100戸の農家があるが、「황소(ファンソ)強く大きな雄牛」は1、2頭しかいないので「황소(ファンソ)」の代わりに9名を雇って耕起する。】

と。それから、

『朝鮮王朝実録』の(注2)「顯宗11年8月」の記録には、

【京畿各邑、 連日降霜。 禾穀未熟者、 擧皆乾枯、 牛疫大熾、 殆無遺種。秋耕者、以人代耕、 九人之力、 僅當一牛、 民多廢耕。】(原文)

【京畿地域の各「邑(おおざと)」には連日霜が降り、未熟の稲が全て枯れてしまった。また、牛の伝染病が大きく広がり種牛がいなかった。秋耕を牛の代わりに人間が行うが、牛1頭分の仕事を9名の力でやっとこなすことができたので農業を諦める農民が多かった。】(「朴」の意訳文)

と、記されている。

「牛」を使い農作業をするのが困難な幅の狭い農地や急斜面に位置する農地などでは牛の代わりに「人間」がチームを組んで「スキ」を使い、田を起こす。「夫婦」で行う場合、「妻」は前に立ち、「夫」は後ろに立つが、これは、「スキ」を前から牽引する役割よりは後ろで「スキ」の向きなどを操作する事がより難しく、大変だからであると。(レディ−ファースト!「女性優位」かな? (*^-^) )

ついでだけど、農業は「人間」が自らの筋力を使って耕起する時代から「畜力」を利用して耕起する時代へ変わり、現在は耕具の「機械化」時代を迎えた。

「★ 鋤(スキ)★」と「★ 犂(スキ)★」は同音異義語で、「人力用耕具」は「鋤(スキ)」、牛や馬などの役畜に牽引させて耕起する「畜力用農具」は「犂(スキ)」。

「スキ(鋤+犂)」は、

中国 ➡ 朝鮮半島 ➡ 日本列島

へ伝わったとされる。

中国では既に「春秋時代 (紀元前 770〜404)」 に「犂」に類するものが存在していたらしいが、日本列島における「犂耕」は遅れており、朝鮮半島から「犂耕方法」が伝わるまでは人力による「鋤(スキ)」&「鍬(クワ)」によって耕起しをしていたとか!?

あのチョー広〜い「中国」では地域によって異なるが、「馬」または「牛」に犂を引かせ、耕起する「牛馬耕」が主流。だけど、韓国では「モンゴル帝国」の侵略により馬の産地となった「제주도(チェジュド)濟州道」以外では「馬耕」は行われない。

「牛耕術」は鎌倉時代に朝鮮半島から日本列島に導入されたと推定されるが、日本では後に牽引家畜として「馬」が採用され、「牛耕」と共に「馬耕」が普及したと。(環境によって農耕にもちょっとした違いが見られますね!)

朝鮮半島の「貧農」の若い女性が「牛」の代わりに「スキ」を引っ張って田を起している光景。朝鮮時代末期頃、外国人が撮ったと思われる写真 。 画像出典:『牛が死ぬと嫁を貰う』

話を本筋に戻し、

「★ 牛が死ぬと嫁を貰う ★」

その意味とは?

「家父長制」社会において「嫁をもらう」という事は、家長の「嫁」に対する「支配権」が認められると同時に「嫁」への「扶養義務」が課される事を意味する。
なので、「牛」から「労働力」を提供してもらえるうちは、敢えて扶養家族を増やす必要がなく、牛に死なれ、労働力が不足すると「嫁をもらう」ということでしょー?!

現在も存在しているのかなぁ〜?中国に「購買婚(売買婚)」という慣行があったらしく、中国に近い朝鮮半島の北方地域の一部でも朝鮮時代の末期頃まで「嫁」を与えた側の社会的損失を婿側が経済的に償う「購買婚」の慣行があったと。この「購買婚」の婚姻の成立の条件として花婿側から花嫁側の親族に現金の形で「花嫁代償」が贈られるが、

「花嫁代償の相場」=「牛一頭の価格」

だったとか!?(日本の「結納金」とは性格違いますよね?!)

一方、今現在のインドでは法律的には禁じられているけど、婚姻の際に女性側が多大な「持参金」の負担をする「ダウリー制度」(1961年に廃止)があり、未だにその因習が残っているらしい。(「ダウリー」って言わば「花婿代償」ですよね?!)

≪やだ、やだ、やだ、やだわ〜≫

白馬に乗った素敵な王子様が突然現れたって、シンデレラが美少女じゃなかったならば選ばれなかったかも知れないし、容姿ある程度のレベル以上でなきゃ「玉の輿」に乗れる確率低いと世間では言われてる。

けどさぁ〜、普通の外見なのに幻想に取りつかれてて「玉の輿」に乗る人生ばっかり夢見てきた「朴」だから、たかが牛一頭の値段に当たる「花嫁代償」貰ってお嫁に行くのは嫌だし、「ダウリー(持参金)」付きなら貰ってくれるところへ嫁ぐのは尚更

≪やだ、やだ、やだ、やだよ〜≫

ドイツを代表する文豪「ゲーテ」だったっけ?

【「星」は手で取ることができないもの。
遠くから見上げるしかできないもの。
毎晩、見上げると
こんなにも僕の心を
激しく揺す振ってくれるもの。】

と、叶えない片思いをロマンティックに綴った人。

【枯れ木に毎日水やりをする意味は、
去られてしまった恋人を待つ気持ちなり。】

と、復縁の見込みのない人を待ち続ける切ない気持ちを美しく詠った人は、韓国近代文学の祖(注3)「李光洙」だった。

あのさぁ〜〜、思春期頃の「朴」ってこのような「純愛文学」いえいえ、現実離れの「妄想集?」読み過ぎたせいなのか、「男性」って好きな女性が逃げれば逃げるほど追いかけるもので、「男の恋」ってこれっぼっちも邪心のない「純愛」だと思い込んでたの。

「恋は盲目」と言われてるけどさぁ〜〜実は、「男の恋」って損得勘定して

≪あの人と付き合ったら自分にメリットありそう!!≫

と思った瞬間から「盲目モード」に切り替わり、周りの人々にいくら「あの人は止めておきな」と言われても聞く耳持たないから「ピュア(pure)☆ 純粋」に思えるだけじゃないの??「夫婦」って元々は赤の他人同士だから「結婚」って心から愛し合ってるカップルの「ばら色の新生活」なんかじゃなく、極めて打算的かつ現実的な「いばら道」なんでしょー?!

だって、「農家」の花嫁に求められていた絶対条件は≪「美しい顔」+「スリムな体型」≫なんかじゃなく、「★ 雄牛 ★」のように「骨格」が大きく、「力」があり、農作業に欠かせない「スキの牽引」&「重量物の運搬」に適している「労働力」だったも〜ん。 (^_−) ウィンク 

(注1)「강희맹(カンヒメン)姜希孟」:(1424年 〜 1483年)朝鮮時代の「政治家+文豪+画家」

(注2)「현종(ヒョンジョン)顯宗」:朝鮮時代の第18代王(在位1659年〜1674年)

(注3)「이광수(イグァンス)李光洙」:(1892年3月4日〜1950年10月25日)韓国近代文学の祖と言われる「文学者&思想家」。

(続 く)

PR情報

記事一覧

韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その3〜

前回記事韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その2〜 大昔、読んだエッセイにこんな一文があった。 「★ 牛の労働力は人間の10倍 ★」 軽い衝撃だったの…

2018/11/6

韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その2〜

前回記事韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その1〜 高尚な「両班(ヤンバン)☆支配階級」の気高い「★ 美意識 ★」から話を変え、今回は「常民 ☆ 被支配…

2018/10/3

韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その1〜

「朴」は今から凡そ30年前である1988年に来日しましたが、来日後しばらく「朴の姉(次女)」の家に居候していました。そのとある日、姉の友人「Pさん(女)」…

2018/8/22

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い 〜その1+その2〜【結び編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【後編】 皆さん!目を閉じてみて下さい。それから考えてみて下さい。この地球には浜辺の砂の数ほ…

2018/6/13

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【後編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【中編】 2016年3月30日(木)から4月5日(火)まで「5泊6日」で一時帰国していました。ソウルでは…

2018/5/5

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【中編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【前編】 ある年の夏休みに、韓国で勤めていた頃の「ボス」の「秘書官」が「朴」に会いに名古屋ま…

2018/3/31

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【前編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その1〜【後編】 「朴」には、 ≪あの人、どうしてるかな〜≫ と、ずっと忘れられない人が「☆☆さん」以外に…

2018/2/24

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その1〜【後編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その1〜【中編】 「朴」は、1979年に韓国の「大統領」が「中央情報部部長」に「射殺」された「★10・26事件★…

2018/1/31

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その1〜【中編】

前回記事 不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その1〜【前編】 まだ文明の波が押し寄せていないアフリカの未開地域を開くため、イギリスの探検隊のヘリ…

2017/12/30

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その1〜【前編】

皆様にご紹介すべき「韓国文化」、山積みです。でも、今日は書くべきこと放ったらかしておいて「自分」の書きたいこと、自由気ままに書きます。とても不思議な…

2017/11/30

プロフィール

19

達人に質問をする

韓国語講師

韓国ソウル出身。韓国国会事務局退職後、1988年来日。大学で高等学校教諭1種免許(国語)取得。大学院で日本文化専攻。

名古屋市の官公庁などの翻訳・通訳人として活躍後、大学や名古屋市内の生涯学習センターなどで「コリア文化」に関する講座を担当。

現在は愛知大学、中京大学、中日文化センター、愛知大学オープンカレッジなどで韓国語講師をつとめる。

  • 会員登録
  • ログイン
明日の天気(17:00発表)
名古屋
曇り一時雨
13 ℃/8 ℃
東京
曇り一時雨
13 ℃/8 ℃
大阪
曇り一時雨
13 ℃/10 ℃
  • 東名, 名神, 東名阪道, 名古屋高速で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集