所得増税の幕開け 2018/1/12

昨年末、紆余曲折していた2018年度税制改正大綱の焦点となった個人所得課税ですが、税負担が見直され、給与所得控除が一律10万円引き下げられます。収入の上限額は850万円以上となり、控除の上限額は195万円(現在は220万円)となります。約230万人の会社員や公務員は増税となり、増税額は約900億円となります(22歳以下の子どもがいる人や介護世帯は対象外)。

所得控除とは、課税対象となる所得を計算する時に、必要経費等が含まれている収入から一定額を引く減税措置を言います。全ての納税者にあるのが「基礎控除」(現在38万円)ですが、会社員のスーツ代などを必要経費とみなす「給与所得控除」、子ども(16〜18歳)がいる人は「扶養控除」、収入が少ない配偶者がいる人は「配偶者控除」などがあります。

すべての納税者が受けられる「基礎控除」は一律10万円引き上げ48万円になりますが、年収850万円以下の人は増税になりません。ただし2400万円〜2450万円以下の人は控除額が32万円に縮小し、2450万円超〜2500万円の人は16万円に縮小、2500万円超で廃止(ゼロ)され、高所得者層は増税になります。

また年金受給者対象の「公的年金等控除」についても、裕福な高齢者や働いている高齢者は会社員向けの控除も受けられると指摘されていたことから見直され、一律10万円引き下げられます。国民年金、厚生年金、企業年金などが対象となるので、年金からの収入が1千万円超の場合は上限195万5千円となり、高額の退職金を年金の形で受け取る約3千人が増税となります。年金以外の年間所得が1千万円超える場合は、控除額が10万円、2千万円超で20万円引き下げられ、約20万人が増税となります。

課税所得に税率をかけて所得税を求めますが、所得が多い人ほど税率が高いので、高所得の人ほど減税額が大きくなります。また、フリーランスや個人請負のように多様な働き方が増えてきましたが、この人達は「給与所得控除」を受けられないことから、「基礎控除」を上げる(約300万人は減税)、さらに「給与所得控除」や「公的年金等控除」のような特定の収入にのみ適用されていた人との税制の格差をなくそうというのが今回の目的です。

高所得者以外には減税と映りますが、実は徐々にたばこ税(紙巻き1本3円、加熱式も段階的に)、国際観光旅客税(出国時に一人1回1000円)、消費増税(10%)、森林環境税(住民税に年1000円上乗せ徴収)と新税による個人の負担増が目白押し・・・・家計全体としてみると果たして? 国会での審議を注視しましょう。

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岐阜大学教育学部教授・博士

京都市生まれ。ノートルダム女子大学(京都)文学部卒業。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。

現在、岐阜大学教育学部教授・博士(学術)、放送大学客員教授。

家庭経済学、家庭経営学、家族関係学、アーミッシュ研究等の講義を担当。

放送大学ではラジオで「生活経済学」の講義を担当(2012〜2016年)。

主な著書 『ちほ先生の家計簿診察室』(名古屋リビング新聞社2002年)、名古屋リビング新聞社、大阪リビング新聞社で家計簿相談を20年ほど担当。

『お金と暮らしの生活術』(昭和堂2012年)、『仕事・所得と資産選択』(放送大学教育振興会2008年)、『アーミッシュの謎』(共訳、論創社1996年)、『アーミッシュの学校』(共訳、論創社2004年)、『アーミッシュの昨日・今日・明日』(共訳、論創社2009年)、『生活経済学』(放送大学教育振興会2012年)など。

趣味:毎日家計簿をつけること。ただし買い物好きなので家計チェックは自分にはあまり生かせていないかも・・・・・

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