保育所新設に説明義務 名古屋市、10メートル以内の住民に 

2017/1/9 朝刊

 名古屋市が待機児童の解消に向けた保育所の新設で、整備・運営事業者に建設予定地から十メートル以内の全ての住民への事前説明を義務付けたことが分かった。全国で保育所を巡る近隣住民とのトラブルが相次いでいるための措置。厚生労働省によると「近隣住民」の範囲の明確化は珍しく、合意形成を円滑に進める狙いがある。

◆「近隣」の範囲を明確化

 保育所開設を巡るトラブルは、昨年四月に開園予定だった千葉県市川市の保育所が近隣住民らの反対を受けて断念したのをはじめ、東京都杉並区や武蔵野市、神奈川県茅ケ崎市などで相次いでいる。

 名古屋市でも昨年九月、今年四月の開園を目指していた中川区の保育所が、騒音や交通トラブルを懸念する近隣住民の反対に遭い断念。ほかにも複数の区で反対運動が起きている。

 これまで、事業者を募集する市の要項は「応募前に近隣住民に適切に説明し、理解を得るように努めること」と規定。しかし「近隣」の範囲が曖昧なうえ、「努力義務」にとどまっていたため、住民から「事前に聞いていなかった」といった反発があり、ボタンの掛け違いの一因となっていた。事業者からは「どこまで説明すればいいのか分かりにくい」との声があった。

 こうした指摘を受け、市は中高層建築物を新築する際の市条例にならい、要項を改正。保育所予定地の敷地から十メートル以内の世帯を「近隣住民」と定義した。集合住宅がある場合は、その全世帯を対象とし、事業者に記録書類の提出を求めることにした。説明は対面が原則だが、二日間訪問しても会えなければ資料を置くことでも可能とした。

 昨年まで三年連続待機児童ゼロ(四月時点)を続ける名古屋市は需要の高まりに応え、今年四月に二千百八十人分の保育所の新設を目指していた。その六割にあたる二十三カ所を「賃貸型保育所」という手法で計画したが、中川区の事例など十二カ所でめどが立たなかった。

 賃貸型は用地購入の必要がなく、一年以内に開設できるメリットがある半面、短期間に近隣との合意形成が求められるためだ。市は昨年十二月から新たな要項を適用して再公募を開始。担当者は「地域の人たちが納得できる形で保育所開設を進めていきたい」と話している。

◆強い反対にどう対処

 保育問題に詳しい千葉大大学院の木下勇教授(まちづくり学)の話 基準の明確化は珍しく、思い切った取り組みといえる。半面、10メートルを超える範囲の住民から強い反対の声が上がったら、どう対処するのかなど課題も残り、保育所開設が進まなかった場合、これまで以上に行政は責任を問われることにもなる。(住民の合意形成など)事業者に任せるのではなく、行政も地域に保育所の必要性を説明することに深くかかわっていくことが求められる。

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