オバマ氏「多様性尊重を」 退任演説でトランプ氏牽制 

2017/1/12 朝刊

10日、米シカゴでの退任演説で涙を拭うオバマ大統領=AFP・時事

 【ワシントン=石川智規】オバマ米大統領は十日、地元イリノイ州シカゴで、退任演説を行った。二〇〇八年の大統領選で自ら訴えた「チェンジ(変革)」を用いて「大統領として最後のお願いだ。チェンジを起こすのは皆さんの力だと信じてほしい」と強調。二期八年を「イエス・ウィー・ディド(私たちは成し遂げた)」と振り返った上で、多様性ある社会の実現や民主主義の発展に向け「イエス・ウィー・キャン(私たちはできる)」と呼び掛けた。

 演説でオバマ氏は民主主義や自由、平等の重要性を繰り返し説いた。任期中には人種差別撤廃や「核兵器なき世界」といった高い理想を掲げたものの、現実には格差が拡大し疲弊した社会で人種などによる分断が深化。トランプ次期大統領を生む一因となったが、自省の言葉は少なかった。

 トランプ氏は十一日(日本時間十二日未明)にニューヨークのトランプタワーで、当選後初めての記者会見を開く。

 オバマ氏は移民を受け入れ多様性を保ってきた歴史が「米国を豊かで強くした」と強調。「移民の子どもを大切にしなければ、私たちの子どもの未来も損なう」と述べ、トランプ氏が訴える不法移民の強制退去など排他的な政策を牽制(けんせい)した。

 任期中の政策としてリーマン・ショックによる大不況からの脱却や医療保険制度改革(オバマケア)、イラン核合意などを挙げつつ「皆さんの希望が答えを出してくれた。皆さんこそチェンジそのものだ」と謝意を表明。自ら合意を働きかけた地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」を念頭に、「気候変動問題を否定することは次世代への裏切りだ」と断言し、オバマ氏のレガシー(政治的遺産)を覆そうとするトランプ氏に再考を促した。

 退任前の歴代大統領は通常ホワイトハウスでお別れ演説を行うが、オバマ氏は自身の市民活動の原点であり大統領選の勝利演説も行ったシカゴを選択。妻ミシェルさんや娘に感謝の言葉を述べる時、涙を拭った。

◆オバマ氏演説ポイント

▼民主主義の維持には、相違を超えて結束することが重要だ。

▼トランプ次期政権への可能な限り円滑な移行を確約した。

▼移民の子どもたちを大切にしなければ、われわれの子どもたちの未来も損なうことになる。

▼気候変動問題を否定することは、次世代への裏切りであり、変革の精神への裏切りだ。

▼国際社会でのロシアや中国の影響力は、米国に及ばない。

▼あなたたちが私をより優れた大統領にしてくれた。

▼あなたたちには、変革を可能にする力があると信じてほしい。イエス・ウィー・ディド(私たちは成し遂げた)。イエス・ウィー・キャン(私たちはできる)。 

 (共同)

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