「エルサレムは首都」宣言 米大統領、大使館移転を発表 

2017/12/7 夕刊

6日、米ホワイトハウスで、エルサレムをイスラエルの首都と認定した文書に署名して掲げるトランプ大統領=AP

 【ワシントン=後藤孝好】トランプ米大統領は六日、ホワイトハウスで演説し、「エルサレムをイスラエルの首都と公式に認める時だと判断した」と述べ、商都テルアビブにある米大使館を移転させることを正式に発表した。東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置付けるパレスチナや中東諸国は一斉に反発しており、地域情勢の悪化を招く可能性がある。

 イスラエルのネタニヤフ首相は歓迎する声明を発表。一方で、英国やフランスなど米国の同盟国からは批判や懸念の声が相次ぎ、国連安全保障理事会は八日に緊急会合を開くことを決めた。

 トランプ氏は「歴代の大統領は、移転の延期が和平交渉を進展させると信じてきたが、合意に近づいていない。同じことを繰り返すのは愚かだ」と指摘。「古い課題には新しいアプローチが必要だ」と述べ、イスラエルの国会や最高裁などがあるエルサレムを首都として追認する正当性を主張した。

 再開が困難になると懸念される和平交渉に関しては「米国が和平合意の推進に関与するという強い決意を変えるものではない」と仲介役への意欲を強調。「エルサレムの地位」を含む和平交渉で特定の立場は取らないとして、東エルサレムを将来の首都とするパレスチナへの配慮もみせた。

 だが、パレスチナが国家を樹立してイスラエルとの共生を目指す「二国家共存」については「双方が望めば支持する」と発言。歴代米政権が「二国家共存」を中東和平の唯一の解決策としてきた立場とは異なり、イスラエル寄りの姿勢を重ねて示した。

 トランプ氏は、国務省に大使館移転の手続きを開始するよう指示したが、移転の時期や場所は未定。また、過激主義打倒に向け各国と連携を確認するため、ペンス副大統領が近く中東を訪問すると発表した。

◆政権内の反対、耳貸さず

 <解説> エルサレムをイスラエルの首都に認定することで、トランプ米大統領は昨年の大統領選で掲げた公約の一つを実現した。イスラム諸国や米政権内の根強い反対意見には耳を貸さず、最初から結論ありきで強行。国際社会の支持が得られない中、新戦略で「中東和平を追求する」との発言は説得力に欠ける。

 政権高官は今回の決定を「現実に即した判断」と強弁した。だが、日本を含め国際社会でエルサレムを首都とみなすのは当事国のイスラエル以外になく、米国に追随する動きは見られない。

 政権内でもマティス国防長官やティラーソン国務長官らは反対していたが、トランプ氏は「米国の国益にとって最善と判断した」と強調。中東情勢は一層混迷を深め、各地で反米感情が高まるのは必至で、どう国益にかなうのか不透明だ。

 トランプ氏は一月の就任以来、公約を実現するため、温暖化対策の新枠組み「パリ協定」脱退方針や、イラン核合意の破棄を辞さない方針を相次いで表明した。国際社会の懸念を無視してばかりの一方的な外交を今後も進めれば、米国の孤立が一段と深まる可能性がある。

 (ワシントン・共同=丹羽祐二)

◆「一方的やり方」国連総長が批判

 【ニューヨーク=赤川肇】トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことを受け、国連のグテレス事務総長は六日、「中東和平の見通しを脅かす一方的なやり方には反対だと一貫して言ってきた。非常に心配な局面だ」と述べ、名指しは避けつつトランプ氏を批判した。

 グテレス氏はニューヨークの国連本部で声明を読み上げ、「エルサレムの帰属問題はイスラエルとパレスチナの直接の話し合いで解決しなければならない」と指摘。両国が平和的に共存する以外の解決策はないという立場をあらためて強調し、恒久平和の実現に向けて両国首脳の交渉再開を後押しする考えを示した。

 国連安保理は二〇一六年十二月、イスラエルに対しヨルダン川西岸と東エルサレムでの入植活動の即時停止を求める決議を、米国以外の十四カ国の賛成で採択。米国はオバマ前政権下で拒否権を発動せず、採決を棄権していた。

PR情報
  • 会員登録
  • ログイン
今日の天気(05:00発表)
名古屋
曇り
11 ℃/--
東京
晴れ後曇り
13 ℃/--
大阪
曇り
12 ℃/--
  • 東名で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
平和の俳句
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集