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熱い冬、幕開け 平昌冬季五輪開会式 

2018/2/10 朝刊

平昌冬季五輪開会式で、旗手の葛西紀明を先頭に入場行進する日本選手団=9日、平昌で(潟沼義樹撮影)

 【平昌(ピョンチャン)=本社五輪取材団】第二十三回冬季五輪平昌大会は九日、開会式が韓国北東部・平昌の五輪スタジアムで行われ開幕した。式では、韓国と北朝鮮が、五輪では二〇〇六年トリノ冬季大会以来となる合同入場行進を実施した。大会には、冬季としては過去最多となる九十二カ国・地域、二千九百人余りの選手が参加する。

 アジアでは一九七二年札幌、九八年長野に続く三度目の冬季五輪で、韓国としては八八年のソウル夏季大会以来、二度目の五輪となった。

 日本からは、海外での冬季五輪としては最多の百二十四選手が参加。冬季五輪史上最多となる八度目の出場を果たした四十五歳のノルディックスキー・ジャンプ男子、葛西紀明(土屋ホーム)が開会式で旗手を務め、日本は六十二番目に行進した。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が開会を宣言し、フィギュアスケート女子の五輪金メダリスト、金ヨナさんが聖火台に点火した。

 開会式に先立ち、フィギュアスケート団体が九日始まり、宇野昌磨(トヨタ自動車)の活躍で、日本は三位に付けた。フリースタイルスキー・モーグル男子では、堀島行真(いくま)(中京大)らが決勝に進んだ。

 開会式には、安倍晋三首相やペンス米副大統領、北朝鮮の金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長らが出席。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹、金与正(キムヨジョン)党宣伝扇動部第一副部長も出席し、開会式の冒頭、文在寅大統領と握手をする姿がみられるなど、政治色が強い大会となっている。

 大会は二十五日までの十七日間、七競技百二種目で競い合う。国ぐるみのドーピング問題により、ロシアは潔白とされた選手が個人資格で「ロシアからの五輪選手(OAR)」として参加する。

◆制裁で攻防 かすむ選手

 北朝鮮の参加により、平昌五輪は政治が主役の大会になろうとしている。スポーツに政治を持ち込んではならないという考えは、幻想にすぎない。東西冷戦下で、日本を含む西側諸国は一九八〇年モスクワ五輪をボイコットし、八四年のロサンゼルス五輪は逆にソ連など東側諸国がボイコットした。再び政治が前面に出てきた。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「新年の辞」で平昌五輪参加に言及して以降、アイスホッケー女子の南北合同チームが結成され、開会式での南北合同入場なども次々に決まった。韓国アイスホッケー女子のマリー監督が「われわれがコントロールできることではない」と漏らしたように、選手らの思いが入りこむ余地はなかった。

 平昌五輪は、文在寅大統領が秘書室長などとして支えた盧武鉉(ノムヒョン)政権が北朝鮮との分散開催まで視野に入れて招致に力を入れた。

 悲願の南北融和を進めたい文氏の足元をみるように、北朝鮮は韓国が独自に入港を禁止している貨客船「万景峰(マンギョンボン)92」で芸術団を送り、国連安全保障理事会の制裁が規制する燃料まで要求した。高官代表団の正恩氏の実妹、金与正氏は米国の独自制裁の対象で、同行する崔輝(チェフィ)国家体育指導委員長は安保理の制裁対象となっている。応援団の女性たちの「ほほ笑み外交」の裏に、制裁の効力を弱めようという意図が透ける。

 アイスホッケー・北米プロリーグ(NHL)勢の不参加、国ぐるみのドーピング問題による強豪ロシア選手団の除外などで、盛り上がりに欠けるといわれた大会は、にわかに国内外の注目を浴びている。しかし、競技への関心とはいえない。

 四年に一度のスポーツの祭典は始まった。十七日間の期間中も政治的な動きが進み、北朝鮮の応援団や芸術団の女性たちは笑顔を振りまくだろう。だが五輪の主役は選手たちだ。韓国政府も私たちも、それを忘れてはいけない。

 (ソウル支局長・境田未緒)

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