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袴田さんの再審認めず 東京高裁、地裁の決定覆す 

2018/6/12 朝刊

散歩中、支援者(右)から再審開始を認めなかった東京高裁決定を知らされる袴田巌さん=11日午後、浜松市浜北区で(川戸賢一撮影)

 一九六六年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家四人が殺害された強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さん(82)=浜松市中区=の第二次再審請求即時抗告審で、東京高裁(大島隆明裁判長)は十一日、再審開始を認めた静岡地裁の決定を取り消し、再審請求を棄却する決定を出した。弁護団は「残念な結果で到底、承服できない」として、最高裁に特別抗告する。

 大島裁判長は、地裁が再審開始の根拠としたDNA型鑑定の信用性を否定した。死刑の執行と拘置の停止については「年齢や健康状態などに照らすと(釈放を)取り消すのは相当ではない」として支持。結論が出るまで袴田さんは収監されない見通し。

 死刑囚の再審開始決定が取り消されたのは、免田事件(後に再審無罪確定)、名張毒ぶどう酒事件(第十次再審請求が審理中)に続き三例目。

 袴田さんが勤務していたみそ工場タンク内から見つかり、犯行時の着衣とされた「五点の衣類」が袴田さんのものかが争点。地裁決定は、筑波大の本田克也教授が実施した弁護側のDNA型鑑定を根拠に、半袖シャツに付着した血痕のDNA型を「袴田さんと一致しない」と結論付けた。

 これに対し、高裁決定は本田教授の鑑定について、「鑑定手法は確立した科学的手法によるものといえず、理論的にも実際的にも信頼性に難があり、結論の信用性は乏しい」と否定。地裁決定が指摘した捜査機関による捏造(ねつぞう)の疑いについても「明白な根拠はうかがわれない」とし、袴田さんを犯人とする八〇年の最高裁の確定判決に合理的な疑いはないと結論付けた。

 また即時抗告審で検察側は、袴田さんの取り調べ録音テープを開示。高裁決定は「心理的に追い込んで疲弊させていく手法が用いられ、供述の任意性や信用性の観点からは疑問と言わざるを得ない」と指摘しつつ、「自白内容が、それ自体で積極的に無罪であることを示しているとまではいえない」とした。

 <袴田さんの再審> 1966年6月30日、静岡県清水市(現静岡市清水区)のみそ製造会社専務宅から出火し、殺害された一家4人の遺体が見つかった。元プロボクサーで従業員の袴田巌さんが強盗殺人罪などで起訴され、公判で無罪を主張したが、80年に死刑が確定。第2次再審請求で静岡地裁は、犯行時の着衣とされた衣類から検出された血痕のDNA型が、袴田さんや被害者以外のものである可能性があると判断。2014年3月に再審開始を決定した。拘置の執行停止も認め、袴田さんは約48年ぶりに釈放された。検察側が東京高裁に即時抗告していた。

 <お断り> 東京高裁は袴田巌さんの再審開始を認めない決定をしましたが、呼称は変更しません。弁護側が最高裁に特別抗告するため決定は確定せず、袴田さんが再収監されていないためです。

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