コラム・小説・漫画

コラム・小説・漫画 中日春秋

中日春秋 

2018/6/14 紙面から

 「戦中派」という言葉を最近あまり聞かなくなった。終戦から間もなく七十三年である。青年や大人としてあの戦争を生きた人たちが、少なくなるのは当然なのだろうが

▼戦争文学の傑作『戦艦大和ノ最期』の吉田満は、五十六歳で亡くなる直前に『戦中派の死生観』と題した文章を残し<戦中派は…戦争協力者の汚名をそそぐには身を粉にして働くほかはないようにして働き…ぽっくり逝ってしまう奴(やつ)が実に多い>と嘆いた

▼保守派か進歩派かを問わず、戦中派知識人も気付けば少ない。社会学者の日高六郎さんが先日、百一歳で亡くなった。終戦を二十八歳で迎えた戦中派である。陸軍に召集されたが、体調を崩し数カ月で除隊した。戦争への懐疑を戦中から持ち続けた人だ

▼戦後はベトナム反戦運動などに関わってきた。「行動する学者」だ。市民運動の意義を語り、憲法や戦後民主主義を擁護する論陣を張ってきた

▼一方で国家が悪で民衆が善という紋切り型の見方を認めていない。著書で<民衆は、自分の内なる戦争愛国主義を反省し自覚しなければならない>と述べた。当時を知るがゆえの指摘は現在も貴重ではないか

▼吉田は、戦中派に向け後を継ぐ世代への<沈黙は許されない>とも書いている。次代に何かを伝えたいと強く願ったのも、この世代だ。戦争を直接知らない社会になりつつある中で、喪失の思いが募る。

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