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日野町事件、再審決定 「警察の暴行脅迫で自白」 

2018/7/12 朝刊

阪原弘元受刑者=遺族提供

 滋賀県日野町で一九八四(昭和五十九)年、酒店経営の女性が殺害され、金庫を奪われた「日野町事件」で、大津地裁は十一日、強盗殺人罪で無期懲役が確定し服役中の二〇一一年に死亡した阪原弘(ひろむ)元受刑者=当時(75)=の再審開始を認める決定を出した。元受刑者を有罪と裏付けた捜査結果の多くに疑義を示し「捜査員の暴行や脅迫を受け、自白した合理的疑いが生じた」と批判した。日弁連の支援事件で、受刑者の死亡後に再審開始が認められるケースは殺人罪で懲役十三年が確定した一九五三年の徳島ラジオ商殺し事件に次ぎ二例目。

 疑義を示された捜査結果は、元受刑者が自白通りに金庫や死体の発見現場まで捜査員を案内したとされる「引き当て捜査」のほか、殺害方法や元受刑者のアリバイ主張など七点。元受刑者を犯人と結び付ける直接証拠がないため、大阪高裁での二審では状況証拠や本人の自白を裏付ける有力な証拠となっていた。

 なかでも金庫の引き当て捜査の調書では、弁護側が請求し検察側が再審請求審で開示したネガフィルムから、元受刑者が現場へ案内する際に撮影したとする証拠写真の中に、本来はあってはならない帰り道の写真が多数交ざっていたことが判明。今井輝幸裁判長は「警察官は元受刑者が金庫発見現場にたどり着けることを強く期待していた」として、元受刑者が金庫発見場所にたどり着くことができたのは、警察官が示唆したヒントを頼りにしたためと指摘。「(元受刑者が)正しい知識を有していたとする判断は大きく動揺した」と結論づけた。

 殺害方法も、弁護団が提出した法医学者による遺体の写真や解剖記録の鑑定を基に、自白の内容とは異なると判断。元受刑者のアリバイを否定した証言も「警察官の期待する供述をした」と認定した。状況証拠の一つとされた被害者宅の丸鏡から元受刑者の指紋が出たことには「本件とは別の機会に付着した可能性がある」と指摘した。

 今回の再審請求は二回目で、遺族四人が二〇一一年三月に病死した元受刑者の遺志を継いで一二年三月に申し立てた。検察側は地裁の勧告などを受け、ネガをはじめ計八百八十点の証拠を開示していた。

 今回の決定を受け、検察側は十七日までに大阪高裁に即時抗告するかを判断する。

 <日野町事件> 1984年12月、滋賀県日野町の酒店経営の女性=当時(69)=が行方不明になり、85年1月に遺体が町内の宅地造成地で、同4月に女性の金庫が町内の山中でそれぞれ見つかった。県警は88年3月、犯行を自白した常連客の阪原弘元受刑者を強盗殺人容疑で逮捕した。元受刑者は公判で無罪を訴えたが、一審、二審ともに無期懲役の判決を受け、2000年9月に最高裁で確定した。元受刑者は01年11月に大津地裁に再審請求したが、06年3月に棄却され大阪高裁に即時抗告した。11年3月に元受刑者が75歳で死亡し、審理が終結したため、翌12年3月に遺族が第2次再審請求を申し立てていた。日弁連の「再審請求支援事件」の一つ。

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