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三重・白山の「下克上物語」次は甲子園に 11日に愛工大名電と初戦 

2018/8/10 夕刊

甲子園球場を見学し、ベンチで談笑するナイン=7月31日

 第百回全国高校野球選手権記念大会で三重代表の白山(津市)は十一日の初戦で西愛知代表の愛工大名電と戦う。五年前は部員が五人しかおらず、三重大会では二年前まで十年連続で一回戦敗退だった県立高校のチームは、強豪校を次々倒し「日本一の下克上」と呼ばれた快進撃で勝ち上がってきた。選手らは「一緒に野球をしよう」と声を掛けてくれた東拓司監督(40)に、恩返しの勝利を届けようと甲子園の大舞台に臨む。

 現在、チームの主力を担う三年生の選手たちの多くは、元々、県内外の野球強豪校を目指していた。だが、多くは受験に失敗。東監督に誘われ、「行くところがない。野球ができるならどこでもいい」と選んだ学校が偶然にも白山だった。

 外野を守る市川京太郎選手(三年)は「高校は卒業しておきたいくらいの感じだった」。中軸を打つ伊藤尚選手(同)も「名前も知らなかった。ここしか行く学校がなかった」と話す。

 入学後、選手を待っていたのは厳しい練習だった。年間百五十以上の練習試合をこなし、冬場は通常よりも重いバットしか使用を認められず、ひたすら走り込んだ。選手たちは「練習に行きたくなかった。地獄だった」と当時を振り返る。

 ただ、きついのは監督も同じだった。練習試合の度にマイクロバスを運転し、三重県内各地で選手を拾い相手校に運んだ。経験を積み、少しずつ結果が出るようになると、選手たちは「監督が一番自分たちのことを考えてくれている」と気付くようになったという。

 東監督は五年前に監督に就任。自身もかつて甲子園に憧れ、大学時代まで野球を続けた。「生徒たちに野球の楽しさを知ってもらい、達成感を持たせたい。目指すなら甲子園」と厳しい練習を課してきた。

 選手たちは「白山に来たのはたまたま。でもここを選んだからこそ監督に出会えて甲子園に行けた。恩返しを」と意気込む。監督への感謝の気持ちと、「強豪校には負けない」という反骨心から辻宏樹主将(同)が三重大会中に考えたスローガン「日本一の下克上」がチームの躍進を支える。

 東監督は対戦する愛工大名電に対し「相手は名門で、監督は百戦錬磨。勉強させてもらうつもりで自分たちの野球を」と話す。

 選手たちは「監督を泣かせることを目標にしている」と話す。三重大会で優勝した時は泣いてくれなかった。手を差し伸べてくれた監督のために、今度は全国の舞台で「下克上」を起こし、監督の目に涙が浮かぶ瞬間を待ち望む。

 (須江政仁)

◆成長と勢いを警戒

 <愛工大名電の倉野光生監督の話> 白山は地方大会で勝ち上がりながら成長を続けているチーム。勢いがあるので相手の展開にはまらないようにしたい。

◆寄付で応援グッズ 4日で2000セット

 三重大会で快進撃を続けた白山高校への注目は高い。同校が5日に「日本一の下克上」をあしらった応援グッズを寄付の返礼品として用意すると、約2000セットがわずか4日間で品切れになる人気だった。県外からも高校野球ファンが返礼品目当てで寄付に訪れたといい、同校関係者は「こんなに応援されているなんて」と驚く。

 応援グッズはTシャツやメガホン、帽子、うちわ、タオルのセット=写真。同校は1口2600円で寄付を受け付け、返礼品としてグッズを提供している。教職員は5〜8日、電話での問い合わせや窓口対応に追われ、大忙しだったという。

 初戦の11日、アルプススタンドの生徒や教員らも同じグッズで応援する。赤塚久生校長(55)は「甲子園でも下克上の白山旋風を起こしてほしい」と期待する。

 現在、返礼品の提供は中止しているが、初戦以降に追加で準備するかどうか検討する。

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