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岐阜県畜産研で豚コレラ 全500頭殺処分 

2018/12/6 朝刊

豚の殺処分などで県畜産研究所養豚・養鶏研究部に集まる作業員ら=5日午後4時55分、岐阜県美濃加茂市で(高岡辰伍撮影)

 岐阜市内の養豚場の豚が家畜伝染病「豚(とん)コレラ」に感染した問題で、岐阜県は五日、新たに県畜産研究所養豚・養鶏研究部(同県美濃加茂市)の飼育豚二頭が感染したと発表した。豚の感染は三例目で、ウイルスの型はこれまでと同じ。防疫を主導すべき県の中核施設で発生したことについて、古田肇知事は陳謝した。

 県は五日朝、研究部の全ての豚約五百頭の殺処分を始め、六日朝までに終える予定。半径十キロ圏を搬出制限区域とし、豚の出荷などを禁止。域内には、養豚場や県農業大学校(同県可児市)など、対象施設が五カ所(計約九千頭)ある。

 研究部は県産ブランド豚「ボーノポーク」の生産に必要な種豚を開発。殺処分は一部の農家に繁殖用の精液を供給する種豚にも及ぶため、県内の養豚業界への甚大な影響が懸念される。

 県によると、研究部では十一月十六日〜十二月三日、豚四頭に相次いで食欲不振などの症状が出た。県が遺伝子検査をすると、一部に感染を疑わせる結果が出たため、国の機関に検体を送付。精密検査で五日、二頭の感染が確定した。

 研究部は、最初に感染が確認された養豚場の東約一六・二キロ。敷地面積は五万七千平方メートルで、九つの豚舎があり、豚の品種改良や生産農家への技術指導などを担う。正規職員は八人。

 古田知事は、県庁での五日の対策会議で「防疫対策に十分に取り組んでいるはずの県の畜産政策の要の研究機関で発生した。誠に申し訳ない」と述べた。

 県内では九月、国内で二十六年ぶりとなる豚コレラを岐阜市内の養豚場で確認。十一月十六日には同市畜産センター公園で二例目が判明した。野生イノシシへの感染も拡大。十二月五日に確認された愛知県境の可児市などの三頭を含め感染は六十六頭に上る。

 豚コレラは豚やイノシシ特有の病気で、人はかからない。感染した豚の肉を食べても人体に影響はない。

◆養豚の中核施設に衝撃

 岐阜県内で最高レベルの防疫体制を敷いていたはずの研究機関で判明した、豚コレラ感染。ウイルス侵入に神経をとがらす県内の養豚業者からは「ショックだ」と焦りの声が上がる。

 県によると、九月に岐阜市内で最初に豚コレラの感染が判明した後、県畜産研究所養豚・養鶏研究部では、豚舎への出入りの際に専用の服と長靴を着用するなど国の基準を徹底した。

 さらにウイルス侵入を防ぐため、独自の取り組みを強化。職員が敷地内の衛生管理区域に入る前には全身にシャワーを浴び、新聞や郵便物は全て敷地外で受け取る。ウイルスが付着する可能性をできるだけ少なくするため、出張は原則禁止だ。感染イノシシ対策として、九月末には敷地の周囲に金網柵を設置した。

 県の担当者は「現段階で侵入経路や原因は分からないが、どこかに落とし穴があったということ。検証したい」と肩を落とした。

◆感染力の強さ、改めて認識

 <大阪府立大の向本雅郁教授(獣医感染症学)の話> 県の研究所という、感染を最も防ぐべき場所で発生したのは非常に残念。イノシシが周辺でふんをするなどしてウイルスがばらまかれ、車のタイヤや人の靴底、小動物など何かが媒介して侵入した可能性がある。豚コレラの感染力の強さを改めて認識させられる。現在はイノシシの発情期で、メスを探すオスが十数キロ移動することがあり、封じ込めは困難。各養豚場が防疫対策に細心の注意を払うしかない。

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