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保険過少537億円 勤労統計不正、厚労相が謝罪 

2019/1/11 夕刊

「毎月勤労統計」の不適切調査問題を受け、記者会見で謝罪する根本厚労相=11日午後、厚労省で

 賃金や労働時間の動向を把握する厚生労働省の「毎月勤労統計」の不適切調査問題で、厚労省は十一日、雇用保険の失業給付や労災保険などの過少支給の対象者は延べ千九百七十三万人で、総額は五百三十七億五千万円に上ったと明らかにした。一連の問題は総務省の指摘を契機に明るみに出たが、厚労省担当職員らは、それ以前から不適切と認識しながら、組織全体で情報を共有せず、放置していた。過少支給のあった全対象者に不足分を追加支給する。

 根本匠厚労相は記者会見し「極めて遺憾で、国民の皆さまに心からおわび申し上げる」と謝罪した。事実関係を調査した上で関係者の処分を含めて対応したいと述べた。組織的な隠蔽(いんぺい)は否定した。勤労統計は労災保険の算定基準や政府の経済指標などに幅広く用いられる「基幹統計」。信頼性が根本から揺らいでいる。

 過少支給の内訳は、雇用保険が延べ約千九百万人、金額は約二百八十億円。労災保険は年金給付が延べ約二十七万人で約二百四十億円、休業補償が延べ約四十五万人で約一億五千万円。船員保険は約一万人で約十六億円だった。さらに、事業主に支払う雇用調整助成金でも過少支給が約三十万件、約三十億円分あった。

 勤労統計は厚労省が都道府県を通じて行い、従業員五百人以上の事業所は全て調べるのがルールだ。しかし東京都内で該当する約千四百事業所のうち三分の一程度しか調べていなかった。こうした調査手法は〇四年から始まり、適正に調査した場合に比べ平均給与額が低く算出されていた。

 さらに、少なくとも一九九六年からは調査対象として公表していた全事業所数より約一割少ない事業所数しか調べていなかった。

◆56の基幹統計、点検

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十一日午前の記者会見で、毎月勤労統計の不適切調査問題を受けて、五十六ある政府の「基幹統計」の点検を行うと明らかにした。「統計の信頼性を損なう事態が生じたことは甚だ遺憾だ。国民に不利益が生じないよう対応に万全を期し、原因究明と再発防止に取り組みたい」と強調した。

 基幹統計は、勤労統計のほか、人口動態統計など特に重要と判断され社会で広く使われているもので、二〇一七年四月時点で五十六ある。

 菅氏は、不適切な統計を基に過少に支給された雇用保険の失業給付などについて「過去にさかのぼって追加給付する必要がある。必要な予算を計上する方向で調整する」と話し、今月下旬召集の通常国会に提出する一九年度予算案を修正する方針を示した。

 麻生太郎財務相は十一日の記者会見で、過去にさかのぼった雇用保険などの追加給付が必要になると指摘した。

◆問い合わせ 電話開設へ

 毎月勤労統計の不適切調査問題で、厚生労働省は十一日から、フリーダイヤルで追加支給の問い合わせを受け付ける。

 電話番号は(1)雇用保険(0120)952807(2)労災保険(0120)952824(3)船員保険(0120)843547もしくは(0120)830008。

 受付時間は平日の午前八時半〜午後八時。十二〜十四日も午前八時半から午後五時十五分まで受け付ける。厚労省、全国健康保険協会、日本年金機構のホームページでも情報を掲載する。

 <毎月勤労統計調査> 賃金や労働時間、雇用動向の変化を把握するため、厚生労働省が都道府県を通じて毎月実施、公表している。調査項目は1人当たりの基本給や残業代など。常時5人以上を雇用している事業所が対象で、全国約3万3000事業所を調べることになっている。総務相が指定する特に重要な「基幹統計」の一つで、調査結果は雇用保険や労災保険の給付額の算定、政府や民間の経済見通しなどに幅広く活用されている。

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