名古屋の電車事情

2018/4/2
名古屋の電車事情
登場人物

おいなごちゃんは、名古屋城の屋根を思わせる緑色の髪にエビフライの髪留めが特徴的なイメージキャラクター。名古屋の毎日を変えるためTwitterで日夜活動しており、ちょっとした区と同じくらいのフォロワー数。京都に住んでいた妹の若宮桜は名古屋で就職が決まり姉を頼って来名し、2年ぶりに再会したところ。(イラスト・鹿宮なつき)

名古屋の交通系ICカードといえば「manaca」

前回記事はこちら【土日の名古屋 お得に移動】

市役所駅のホームに降りると、ちょうど紫色のラインが入った電車が滑り込んできた。目的地の栄は2つ先の駅で、乗っていたのは数分だった。この路線は「名城線」というようだ。休日ともあって、栄駅のホームはごった返していた。

「ついでだしmanacaチャージするね!」

電車内で、姉はmanaca(マナカ)について力説していた。manacaは名古屋発の交通系ICカード。JR東日本のSuicaやJR西日本のICOCAのようなポジションだ。東海地区では、JR東海もTOICAというICカードを発売しているが、manacaはポイントが貯まってお得、ということだった。

manaca(マナカ)

チャージ機には、ちょっとした列ができていたが、進みは早い。姉の番もすぐだろう。しかし、隣で財布を開いた姉は、絶望に包まれた表情を浮かべていた。

「…どうしたの? お金持ってくるの忘れた…?」

「いや、違うよ…千円チャージしたいだけなのに一万円札しかなくて…」

「え、お釣り出ないの?」

「出てくるんだけどね、機械によっては全部千円札で一枚ずつゆっくり出てくるから受け取りに30秒くらいかかるんだよ…」

なるほど、後ろに人が並んでいると気まずい。

「とりあえず今日はドニチエコきっぷがあるからチャージやめよう」

※このような「悲劇」をなくすため?、オートチャージ対応に対応した「wellow card」が2018年3月から登場しました。読み方は「ウィローカード」。

日本一の路線もある名古屋市営地下鉄

そう言って歩き出した姉は、思い出したかのように路線図を見ながら話し始める。

ドニチエコきっぷ

「そういえば名城線は、日本で初めての地下鉄環状運行路線なんだよ」

「へー!何気なく乗っちゃったけど、すごいんだね」

「名城線は東京でいう山手線、大阪だと大阪環状線みたいなものだね。名城線も右回り・左回りがあるけど、左回りはたまに名古屋港行だったりするから注意して乗ってね」

「すごいトラップ…」

「名古屋駅は通らないけど、名古屋の効率的な移動を支える重要な路線だよ。大曽根・本山・八事・新瑞橋・金山・上前津とか各地域の乗り換えポイントになってる駅もたくさんあるね。ちなみに平安通から上飯田までを結ぶ上飯田線は日本一営業区間が短い地下鉄で、その距離は800mしかないんだ」

「800mって電車待ってる間に歩けそうだね…」

「こっちの青い路線は?」

「それは鶴舞線。上小田井駅(西区)から赤池駅(日進市)を結ぶ路線で、18年4月に新装開場した御園座がある「伏見」や、昔ながらの商店街でサブカルチャーの発信地でもある「大須観音」、名古屋の高級住宅街の一つの「八事」なんかも通るよ。免許取得・更新の時にお世話になる試験場がある「平針」にも行けるよ」

「じゃあ、名古屋駅も通るこの赤い路線は?」

「桜通線だね。名城線や鶴舞線と違って名古屋駅は通るんだけど、運行本数が少なかったり、乗り換えが若干不便だったりで比較的空いている路線だね。鶴舞線に乗り換える丸の内駅は、ホームが離れている上に乗換案内がこんなだから、初めてだとすごい心が折れるよ」

「心が折れる!?」

「名古屋で一番混雑しているのが、名古屋駅と栄駅を通る黄色の東山線だね。この沿線は閑静な住宅街が多いから、転勤してくる人の候補によく上がるよ。今のところ、日本一の夜更かし地下鉄なんだ」

※終電時刻延長の金曜または休前日が日本一夜遅い運行になる。例えば、最終の「星ヶ丘」行きは名古屋駅を0時55分、星ヶ丘駅到着が午前1時15分。

名古屋に住むなら何線沿線がおすすめ?

「移動は地下鉄にしようって思ってたんだけど、何線の周りが便利なのかなぁ?」

「うーん、正直働く場所によるんだよね。やっぱり職場に乗り換え無しで行けるように探すのが良いよ」

「なるほど…そうだよね。私は大須で働くから、やっぱり鶴舞線かなぁ。結構車社会っていうイメージがあったけど、地下鉄で色んな場所に行けるんだね。驚いちゃった」

「うんうん。市バスもあるし、名鉄やJR、東区・守山区を走るガイドウェイバス「ゆとりーとライン」なんかも活用すれば必ずしも車がないと生活できない場所ってかなり限られてくるよ」

ゆとりーとライン

「そうなんだ。なんか意外だな」

「ところで電車といえば…名古屋駅はすごく複雑だよ。特に名鉄名古屋は本当にすごい」

「めいてつ?」

「名古屋鉄道のこと。名古屋駅は上り下りで線路2本。あらゆる方面の列車が発着するから、行き先をちゃんと見ずに乗ると全然違う所に行っちゃうんだ。きちんと説明すると今回だけじゃ全然終わらないよ」

名鉄名古屋駅

「(今回?)…私、絶対迷うよね」

「あおなみ線や近鉄・名鉄への乗り換えも迷いやすいから、親しみを込めて『迷駅』なんて呼ばれたりするね」

「金時計探すだけでも迷ったし、慣れるまでは大変かも…」

「さて…と、とりあえず今日は栄〜大須辺りで遊ぶとして、そろそろお腹空いたよね?何か食べに行こっか」

そう言ってスマホを取り出す姉。

出掛けた先でお店を探す今の状態が、きっと日常なのだろう。

広く長い地下街を迷わず歩く姉に、私は改めて憧れを抱いた。

次回の記事はこちら【名古屋人は毎日が名古屋飯?】

※記事はフィクションで、記事中の写真は参考掲載です