名古屋人は毎日が名古屋飯?

2018/4/12
名古屋人は毎日が名古屋飯?
登場人物

おいなごちゃんは、名古屋城の屋根を思わせる緑色の髪にエビフライの髪留めが特徴的なイメージキャラクター。名古屋の毎日を変えるためTwitterで日夜活動しており、ちょっとした区と同じくらいのフォロワー数。京都に住んでいた妹の若宮桜は名古屋で就職が決まり姉を頼って来名し、2年ぶりに再会したところ。(イラスト・鹿宮なつき)

前回記事はこちら【名古屋の電車事情】

「せっかくだし名古屋っぽいもの食べたいよね?」

そう言いながらスマホを手に取る姉。

名古屋っぽいものといえば、味噌煮込みうどんや味噌カツくらいだろうか。お腹は空いてるし、色々食べてみたいけど、今はそんな気分じゃないような…ふと、名古屋へ向かう新幹線で見た姉のツイートを思い出した。

「お姉ちゃん!私あれ食べに行きたい!ローストビーフ!」

「さすが私の妹!名古屋っぽくない食べ物だけど、私のイチオシなんだ。他県の人を案内する時、名古屋飯を食べさせようと頑張っちゃうのは名古屋人あるあるなんだよね。でも名古屋に住んでても毎日名古屋飯食べるわけじゃないから、結構迷っちゃうんだよね」

「そうなんだ。確かにお姉ちゃんのツイート、名古屋飯じゃないお店が多いよね」

「うんうん、決して名古屋飯が悪いわけじゃないけど、名古屋人は名古屋飯しか食べない、みたいなイメージを崩したいんだよ」

「その点、中日新聞プラスではものすごい名古屋飯しか書いてないね?」

達人に訊け! おいでよ名古屋の新名進歩

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レゴランドのオープンや、リニア開通に向けて変わり続けるこの街で、進化を重ねる新名古屋名物の世界を紹介します。

「…めっちゃ予習してるね。偉い!」

名古屋飯を売りにしていない、観光客向けではないお店にこそ名古屋特有の文化がみえて好きだ、と姉はいう。

「このローストビーフ丼だって、味噌汁が赤味噌でしょ? こういうところが名古屋なんだよ」

麺類いっぱいだけど名古屋「飯」

ローストビーフ丼は思っていた以上に大盛りだった。口いっぱいに広がる肉の旨味を噛みしめていると、あっという間に姉は食べ終わっていた。そして、名古屋飯を語り始めた。

「まず、名古屋飯の定番として外せないのが味噌煮込みうどん。これはもう知ってるよね?」

「うん、テレビとかでもたまに目にするよ」

「店舗によって全然味も食感も違うんだけど、土鍋の蓋を取り皿にして食べるのが一般的な食べ方らしいからやってみてね」

「へぇ…熱そうだね」

「名古屋弁で言う所の「ちんちん」だね、言ってみて?」

「待ってそれほんとなの?大丈夫なやつ?」

「この土鍋ちんちんだがね〜、みたいな」

「だがね〜がつくとセーフな気がする不思議…」

「で、その味噌煮込みうどんがちょっと進化したのが「カレー煮込みうどん」。これもちんちん」

「それ言いたいだけになってない??大丈夫??」

「あと、台湾ラーメンっていうのがあるよ。ひき肉やニラがのってる辛いラーメン。台湾発祥ではなくて、名古屋が本場なんだ」

「あー、「京都風」みたいな事だよね、名古屋の人はみんな辛いの食べられるの?」

「辛いの得意かは人によるけど、台湾ラーメン発祥の店、味仙では辛さが調整できるんだ。辛さ控えめはアメリカンと注文するよ。逆に、辛さを増したのはイタリアン」

「ちょっと何いってるかわからないんだけど…」

「あと、その台湾ラーメンをアレンジした「台湾まぜそば」っていうのもブームになってた。それが台湾カレーとか台湾オムライスとか台湾まぜパスタとかに派生して、個人的には名古屋台湾旋風って呼んでるんだけど…」

「麺だけで、名古屋飯いくつあるか分かんなくなってきた」

「麺といえば、きしめんもあるよ。きしめんは名古屋駅の新幹線ホームのお店が一番おいしいっていわれてるんだ。上り線ホームと下り線ホームで味が違うのも面白いよ。ただ、他できしめん食べた事ないだけでしょって感じてる人も多いよ」

きしめん住よし

「あ、確かにあった!お出汁の香りが素敵だったよー」

「さらに、麺類といえばあんかけスパゲッティも外せないね」

「あんかけスパゲッティ!?美味しそう!」

「あ、でも京都の人が思うあんかけじゃないからね。太い麺に胡椒が効いたスパイシー&ボリューミーなスパゲッティで、名古屋で働く人々の身体を支え続けてきた名古屋飯だね」

名古屋人は「味噌」より「胡椒」が好き?

「名古屋飯、奥が深いね…。私が知ってるのは、味噌カツときしめんとくらいだった…」

「味噌カツっていうのはね、ちょっと違うんだ。あれはトンカツ。味噌がかかってるのは名古屋では当たり前だから」

「味噌カツって呼ぶって事が観光客を意識してるって事?」

「そう。味噌カツって書いてなくてもトンカツ=味噌ダレがかかってる」

※トンカツだけでなく串カツでも、メニューには「串カツ」とだけ書いてあり、注文時に味噌かソースかを選べる店も。土手煮を頼んで、味噌代わりにする人も見かけます。

「なるほど…」

「ちなみに名古屋=味噌が好きみたいなイメージを持ってる人が多いけど、私は手羽先やあんかけスパゲッティ。そしてスガキヤラーメンにとりあえず胡椒を振る姿を見て、名古屋=胡椒が好きなんじゃないかと思ってるよ」

「なるほど、でも名古屋飯って結構濃い物が多いんだねぇ」

「あっさりした食べ物もあるよ。例えば「海老おろし」とか「志のだうどん」なんかは、あっさりしてるね。」

「そういえば、ひつまぶしや、天むすも名古屋飯だ。思っていたより沢山あるんだね。毎日食べてもしばらく飽きなさそう」

「玉せんとか、小倉トーストとかも名古屋飯だしね。文化的な所で言えば「モーニングサービス」も有名かも」

「あ、コーヒー頼むとパンと卵が付いてくるやつ!?実家の前のコメダ珈琲店で食べたよー!」

普段の暮らしに名古屋飯あり

「名古屋の人は「お値打ち」が好きなんだ。ちなみにそのコメダ珈琲店ではコーヒーを注文した時ついてくる豆を10円でお代わりできるんだよ」

「わー!豆知識だね!」

「ちなみにモーニングサービスは朝だけじゃなくて一日中やってるお店もあるし、コメダ以外でもポピュラーなサービスだね」

モーニング喫茶リヨン

「モーニングとは一体…」

「ところで食文化と言えば、「つけてみそかけてみそ」のようなチューブの味噌調味料が各家庭に常備されているらしいよ」

「へー、大阪の人が一家に一台たこ焼き器持ってるみたいなやつかな?うちもあるけど」

「そう。県外の人が名古屋に引っ越してきた時もとりあえず買ってみるんだけど、使いどころがわからなくてずっと冷蔵庫に入ってるっていうのがあるあるネタだね」

「コアすぎるあるあるネタだけど、私もやりそうだから気を付けるね…」

「調味料では、トマトケチャップのカゴメとか、ポッカレモンも名古屋の会社なんだ」

「へー!」

「あと、コーミソースっていうローカルなソースもあるから、これは是非試してみて」

コーミソース

想像もできない食べ物が沢山で、まるで異世界にきたような錯覚さえする名古屋。

でも、名古屋飯だけが名古屋の文化ではなくて、それを取り巻く文化全てが、名古屋なんだ。

この時、私はネットで調べただけでは決して触れられない「名古屋」を見られる事が少し楽しくなってきていた。

今日はこれから、どんな発見があるんだろう。

お腹いっぱいの姉と私は食後の散歩へと、栄の街を歩き出した。

次回の記事はこちら【名古屋の買い物事情】

※記事はフィクションで、記事中の写真は参考掲載です