名古屋は遊び場所に困る?

2018/5/2
登場人物

おいなごちゃんは、名古屋城の屋根を思わせる緑色の髪にエビフライの髪留めが特徴的なイメージキャラクター。名古屋の毎日を変えるためTwitterで日夜活動しており、ちょっとした区と同じくらいのフォロワー数。京都に住んでいた妹の若宮桜は名古屋で就職が決まり姉を頼って来名し、2年ぶりに再会したところ。(イラスト・鹿宮なつき)

前回記事はこちら【名古屋の買い物事情】

姉に連れられて脇道に入ると、「大須新天地通」と書かれたアーケードが見えてきた。栄や名駅とはまた違った賑わいの大須商店街は、桜にはどこか懐かしくも感じた。

「この商店街…、なんだか京都の新京極通とか、あの辺りに雰囲気が似ていて好きだな」

「そうだね、ちょっと近いかも。この商店街は東西南北に広がった8つの商店街組合約400店舗で構成されている、全国的にも大きい商店街なんだ」

「400店舗ってすごいね!」

「うん、商店街から少し外れた所にもお店があるから、鶴舞線の大須観音駅と上前津駅の間のエリアには1000以上のお店があるらしいよ」

「1000店舗…。そういえば大須って、浅田真央さんが練習していた『大須スケートリンク』の大須と一緒?」

「そうだよ。よく知ってるねー!」

「えへへ、ちょっと勉強してきたからね。あ、あれなに?」

「あれは全国的にもちょっと珍しい信号だね、柱の設置場所が限られてる所に取り付けられるんだって」

「へぇ…。慣れないとちょっと見辛いかも…」

「…さて、そろそろ小腹も空いたしおやつにしよっか。今日のおやつはじゃじゃーん!ここだよー!」

そう言って姉が指さしたのは、から揚げ店だった。

「から揚げ!食べ歩きにぴったりな感じだねー!」

「うんうん。でも『食のアトラクション』とさえ言われる名古屋の食べ歩きと言えば、これだよ!」

「元祖…クリーム…から揚げ…。これがお姉ちゃんの生み出した名古屋名物なんだね…」

「名古屋来たー!って感じするでしょ?」

「いやするけど…心の準備ができてないよ…」

騙されたと思って!!と姉が勧めるので食べてみた所、両方とも意外に悪くない味で少し悔しさを感じた。

「非日常」感ありありな大須

不思議な甘みを感じるから揚げを頬張りながら、ふとした疑問を姉に投げかける。

「そういえば、名古屋で遊ぶ場所ってどこが良いのかな?」

「遊ぶ場所ね、名古屋の人もピンと来ない人が多いから、答えに困る人も多いし聞く時は気を付けてね。」

「そ、そうなんだ…」

「でも私にいわせれば、住んでいても知らないだけで、例えば大須エリアには、メイドカフェ等をはじめとするコンセプトカフェが沢山あるし、猫やカワウソ、フクロウ、爬虫類なんかと触れ合えるカフェもあるよ」

「へー!行ってみたいな!」

「ちなみに『おかえりなさいませ、ご主人様♪』っていうセリフの発祥も大須のメイド喫茶なんだって。あとは、大須には本格的な射撃場があったり、大きなゲームセンターがあったり、実は探せばたくさん遊べる場所があるんだ」

「なるほど、大須は食べ歩きや買い物だけじゃなくて遊べる商店街なんだね…!」

「そうだね。非日常的なカフェでゆっくりするのもいいけど、本格的なレーシングシュミレーターで遊べる「D.D.R」っていうお店もあるよ。結構シビれる体験だよ」

「お姉ちゃん好きそうだよね」

「名古屋はよく『食べ物しかない』みたいに言われるけど、探せば色々あるんだよね。ボルダリングジムも増え始めたし、鶴舞公園のパターゴルフとかも個人的に好きな場所だね」

「パターゴルフやってみたい!名古屋でもできるんだねー!」

「今度行こうか。あとはしょっちゅう行くわけじゃないけど、名古屋港水族館とか東山動植物園とか、最近だとレゴランドに遊びに行ったりもするよー」

「レゴランド!水族館もオープンしたんだよね?今度行ってみたいなぁー!」

「そうだよ。今年、水族館「シーライフ名古屋」と「レゴランド・ジャパン・ホテル」がオープンしたんだ。落ち着いたら一緒に行こっか」

人混みを避けて、商店街から少し外れると公園があった。

「あれ? あの公園の真ん中にあるの、何??」

「お、やっぱり気付くよね?あれはプレイマウントっていう名古屋ではポピュラーな遊具だよ。公園の富士山とか呼ばれたりするね」

「へぇ…遊具も地域によって色々あるんだね。登るの楽しそう」

「ほかの地域に無いって聞いてショックを受ける遊具らしいよ。登ってみる?」

「あはは、今日はやめとくね」

朝からたくさん歩いた。少し陽が落ちてきた。

「ちょっとだけ、寄りたい場所があるんだけどまだ良いかな?」

「もちろんいいよ!」

名古屋の本屋事情

少し歩いてたどり着いたのは、暗い公園の前にひっそりと佇む建物だった。

姉曰く、絶対に私を連れてきたかった場所のひとつだそうだ。

「ここは…?」

「ここは、本の世界を旅するホテル。ランプライトブックスホテル(LAMP LIGHT BOOKS HOTEL)だよ。上がホテルで、一階が24時間営業の本屋とカフェになってるんだ。」

「すごい…!」

「桜は私と違って、昔から読書の鬼だったから、気に入るかと思って。大阪や東京には深夜まで営業しているブックカフェがあるけど、それでも24時間営業はあまりないと思うんだよね」

「うん!こういう場所大好き!夢みたい!」

「よかった。いつでも好きな本に出会えるって、やっぱり良いよね。名駅や栄に大きな本屋さんがあるのはもちろん、名古屋市各区に図書館もあるし。根強いファンがいる小さな本屋さんも頑張ってるから、本屋巡りをするのも楽しいかも」

姉と隣あって、そんな話を聞きながら、本を読み進めていたのだが…気付けば窓の外は真っ暗だった。

「ごめんお姉ちゃん…。すごい遅くなっちゃった…」

「大丈夫だよ。いっぱい遊んだし帰ろっか。今夜はうちに泊まってくでしょ?」

「うん、お邪魔しようかな」

週末のビジネス街だからか、夜の名古屋は、想像よりも暗い。飲食店も定休日の札がかかっていたり、まだ21時をまわったところなのに閉店作業をしたりしている。このことも、名古屋人は真面目だからとか、マイカー通勤が多いからとか、名古屋ネタにされているそうだ。地下鉄伏見駅の入り口が見えた頃、姉が急に立ち止まった。

「桜、予定変更だよ。あれで帰ろ」

そう言って見つめる方向に走っていたのは、タクシーだった。しかも金色の。

「また金色なの!? ちょっとついていけない!!」

「まぁまぁ、乗ると幸せになれるらしいよ! 走って!!!」

そう急かされて、内装まで金色のタクシーに乗車した二人は、少しだけ大人になった気分に包まれながら家路についた。

続く(最終回は5月中旬掲載予定です)

※記事はフィクションで、記事中の写真は参考掲載です