これからの名古屋

2018/5/25
登場人物

おいなごちゃんは、名古屋城の屋根を思わせる緑色の髪にエビフライの髪留めが特徴的なイメージキャラクター。名古屋の毎日を変えるためTwitterで日夜活動しており、ちょっとした区と同じくらいのフォロワー数。京都に住んでいた妹の若宮桜は名古屋で就職が決まり姉を頼って来名し、2年ぶりに再会したところ。(イラスト・鹿宮なつき)

前回記事はこちら【名古屋は遊び場所に困る?】

一日中名古屋を楽しんだ翌朝、若宮 桜は姉の家の布団で目を覚ました。

隣でスマホを抱きかかえながら眠る姉を起こさないように、静かに布団を出る。

昨日知った名古屋のあれこれを自分なりに整理してみる事にした。

しかし調べれば調べるほどに、ピンと来る情報がない。

「おはよう!!! 桜。相変わらず勉強熱心だね」

「わ! お姉ちゃんおはよう。すぐご飯作るね!?」

「いや、大丈夫。あとで喫茶店行ってモーニングで済ませよ。何調べてたの?」

「あ。えっと…昨日いっぱい教えてもらったんだけど、名古屋って他にも何か面白い場所とかあるのかなって思って」

「なかなか出てこないよね。ネットも雑誌も、すぐ愛知県のお出かけスポットとか名古屋近郊の〜とか出てきちゃう。地元向けの生活情報が少ないんだよね。それこそが、私が名古屋だけの情報をつぶやく、おいでよ名古屋になったきっかけなんだけど」

「なるほど…。これだと、名古屋には何もないように感じちゃうよね」

「そうだよね、でも魅力的なスポットって今でもすごく沢山あるし、これからの数年間で名古屋はもっと色んなものができるんだ」

会話をしながらも簡単な身支度を済ませていた姉の準備が整ったようだ。

エビフライの髪飾りの角度を再調整しながら、姉は言う。

「さて…、今日は部屋決めに行こっか。あ、でもモーニングが先ね。お腹すいちゃった」

「うん。今日も案内よろしくね」

「良い部屋見つけて、今日は水族館でサメのステーキ食べよー!」

「ふふ、ちょっと何言ってるか分かんないけど、心強いよ」

向こう10年、新スポット目白押し

姉の案内でたどり着いた喫茶店は、「おかげ庵」というお店だった。

なんと日本に8店舗しか存在しない、「和風コメダ珈琲店」なのだそうだ。

「すごい…トースト&卵 だけじゃないんだね」

「うん、私はここのおにぎりセットが好きだよ」

「日本人って感じがするね…! ところで、お姉ちゃんがさっき言ってた注目してるスポットとかって?」

「うん、例えば最近オープンした金シャチ横丁…そういえば、名古屋城天守は木造復元が終わるまで入れないけど、2018年6月に本丸御殿が全面公開されたんだ」

金シャチ横丁

「天守はしばらく入れないんだよね」

「あとは、2018年9月に港区役所前の再開発地区「みなとアクルス」に、ららぽーとが東海3県で初めて進出したよ。子ども向けの職業体験テーマパーク「キッザニア名古屋」も数年以内にオープンする予定だよ」

「へー! ららぽーとすごく楽しみー!」

「最近、再開発が盛んな名駅エリアも、名鉄ビル・名古屋近鉄ビル・レジャックなど6つのビルを、全長400mくらいの一つの大きなビルに建て替える工事を2022年頃からはじめるようだよ」

「大きな壁みたいだね…」

「2027年のリニア中央新幹線の名古屋-東京間開通に向けて、どんどんすごい街になっていくよ」

「そっか、リニア開通に向けて成長している所なんだね」

「名駅エリアだけじゃなくて、他もすごいよ。2020年には大丸松坂屋が栄に新店舗を開業するし、丸栄も解体して2027年頃には再開発が終わるようだね」

丸栄

2018年6月末で閉店する丸栄

「へー!栄って今でもすごいのに、まだ変わるんだね」

「うん、中日ビルも2020年半ばには新ビルへの建て替えが終わるんだって」

「そうなんだ、何だか一気に景色が変わっちゃうね」

「そうだよね、金山のアスナル金山も、延期になっただけで再開発の計画自体はあるし、本当に色々な場所が変わっていくね」

「へぇ…アスナル金山も行ってみようかな」

「今度行こっか。再開発って思い出の場所が失われるようで悲しい気持ちもあるけど、もっとすごい未来の名古屋に期待したいよね」

「うん!」

休日の朝の喫茶店は、様々な客層で賑わっていた。

中には部屋着のような姿で新聞を広げ、コーヒーを飲む人もいる。

名古屋のモーニングは想像以上に生活に溶け込んでいるようだ。

日々進化し続ける名古屋で、この文化がどうなっていくのだろうと想像すると、少しわくわくする。実家を離れたこの2年間、変化を追い続けた姉は、今日も名古屋で、ちょっと特別な「毎日」を生きている。

実家で毎日退屈そうにしていた姉が、今のように明るくなった理由が少しわかった気がした。

もちろんそれは、これからの私も同じ。運ばれたコーヒーの香りが私を歓迎してくれているようで、少し嬉しい気持ちで 今日がまた、始まる。(おわり)

※記事はフィクションで、記事中の写真は参考掲載です