熟練の技に挑む 職人女子

石職人 上野梓さん

2017/06/22

父の背中を見て育ち石職人への道を決意

石職人 上野梓さん
父の背中を見て育ち
石職人への道を決意

 上野さんが全国初の女性石職人を目指したのは、父の背中を見て育ったことがきっかけでした。「三人姉妹の末っ子で、物心ついたときから父の後を継いで石屋になるつもりでした。父と母が二人三脚で頑張っている姿を見て、この工場をなくしたくないと思いました」と笑顔で話します。

 高校卒業後、父の房男さんの下で修業。当初は女性初の石職人に、周囲の風当たりも強かったと振り返ります。「女性だからといって何も構えることなく、やるべきことに一生懸命取り組んできました」。

 石職人の仕事は、燈籠や作品を作るだけではなく、墓石を建てるために穴を掘って基礎を固めたり、庭や玄関の石張りを行うためにセメントを練って流し込むなど、力仕事も行います。「最初は体力も筋力も限界で体もボロボロになりました」。石を彫る時に使うハンマーも重く、手もマメだらけになりました。「まさに血と汗と涙の日々。腕にたくましい筋肉もつきました」。また、房男さんからは「早くいいものを作るのが腕のいい職人」との教えを受け、試行錯誤しながら実践。それでも、石がいろいろなものへと形作られていくことが純粋に楽しく、達成感があると語ります。「仕事でつらいと思ったら負けだと思うようにしています。つらいことは深く考え込まず、自分を律して頑張っています」。

石職人 上野梓さん

通常は石膏で型を作るが、上野さんは何も見ずに描く場合もある。

時代の変化に応じた
多彩な作品を届けたい

 現在は石燈籠や墓石などの他に、動物の石像も手がけています。「例えば燈籠を作る時、大きな石を切り出すとどうしても切れ端の石が出ます。それを捨ててしまうのはもったいないと思い、何かできないかと考えて作り始めました」。ふくろうや犬など、個性豊かなポーズや表情は独自のアイデアです。「昔から絵を描くことが好きだったので、動物の形や表情は自然とアイデアが沸いてきます」。

石職人 上野梓さん

ハンマーとノミで動物の形を切り出す。細かい切れ込みはグラインダーで行う。取材当時、作り始めていた猫像が完成し、写真を送っていただきました。

愛らしい動物はペットのお墓や贈り物として評判で、特に招き猫や縁起物のふくろうは人気があります。「伝統的な燈籠を作る熟練の技術も大切ですが、最近では燈籠を庭に置く家も少なくなってきました。こうした時代の変化に応じて、もっと気軽に石の魅力を楽しんでもらえる作品を作るのも、職人の仕事だと実感しています」。上野さんの作品を大切なペットのお墓代わりにする人も多いそうです。お客さんの心に寄り添い、和ませるような作品を届けたい。その思いを大切に作り続けてます。

 今後もお客さんに満足してもらえるような技術やセンスを持った石職人でありたいと話します。「そのためにはとにかく毎日作ることが必要です。石という特殊な素材は、日々作り続けていても同じ作品になるものはひとつもありません。毎日が勉強です」。また、日本三大産地の石の都、岡崎の石職人として誇りを持って仕事をしていきたいと熱く語ります。「石屋の世界も多分にもれず、衰退してきています。その状況に少しでも抗いながら、岡崎の石職人として責任を持って仕事をしていきたい。それが岡崎全体の発展につながっていければいいと願っています」。

動画でもご覧頂けます

読者からの感想
  • お客さんに満足してもらえる石職人になるにはそとにかく毎日作ることが必要。石という特殊な素材は、日々作り続けていても同じ作品になるものはひとつもありませんという言葉が印象的でした。(愛知県 半田市 男性 65歳 無職)
  • 物心がついた頃に、父の後をついて石屋になるという志しが、今若い女性が男勝りの、土建屋並みの仕事をこなしている努力には、頭が下がります。また仕事の取り組みが素晴らしい、石の切り端をそれも、人気のある招き猫や、フクロウなどを作ってしまうなんて、石屋としての芯から仕事としての喜びが、ひしひしと感じるものがあります。頑張って下さい、応援しております。(三重県 三重郡 男性 75歳 無職)
  • 新聞記事で拝見した猫の置き物に目を奪われました。きっかけが切れ端が勿体ないという石に対する思いだと知り、納得できました。動画も拝見しましたが、『ししおどし』のような作品や重たい石にも関わらず、回る明かりがあり驚きました。これからも、お体に気をつけて新しい作品をつくってください。(愛知県 江南市 女性 28歳 パート・アルバイト)
  • お父さんの仕事を継ごうと思うことが凄いなと思いました。それも石職人なんて。まず素材が重いことや、汚れることなど なかなか女性がやろうとは思わないでしょうけど。でも技術を習得するだけでなく 自分なりのオリジナルの作品を作っていけるのは、楽しいでしょうね。写真の猫は あまりもリアルでPCの画面に思わず顔を近づけて見てしまいました。(愛知県 名古屋市 女性 63歳 専業主婦)
  • 両親の仕事を子供の頃から見ていて石職人になりたい気持ちが達成されるだけでも素晴らしいのに、更に向上心を持って自分なりの夢を提供する仕事に取り組む心意気に感動しました。(三重県 桑名市 男性 70歳 無職)
  • 確かに女性の石職人さんは珍しいと思います。やはり力仕事のイメージもありますし、男性中心の中で色々とご苦労もされた事とお察し申し上げます。ただ女性ならではの発想の作品作りが素晴らしく、猫やフクロウは本当に愛らしく仕上げて頂いているなと感心しきりです(三重県 亀山市 女性 52歳 専業主婦)
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  • 父の後を継ごうと男性職人が主の石職人を目指し、なった上野さんは人一倍の努力家だと思いました。また、石職人としての仕事を衰退させないように、動物の石作品に挑んでいるところも、石職人としての使命感と岡崎の石工文化を風化させないように努める上野さんの心意気を感じました。手が豆だらけになっても、休まず毎日石細工に励む上野さんを心から応援したいと思いました。(愛知県 豊橋市 男性 54歳 その他)
  • やはり何でも女性初という仕事は、周りから意見が出るのは当然だと思います。しかし、今の時代においては男女がどんな仕事でもよいのではないかと考えます。女性特有のアイデアと細かさでよりよい作品が今後の世の中に生み出されていくのではないでしょうか。(岐阜県 各務原市 男性 38歳 公務員)
  • 石職人は力仕事なので女の人にはきつい仕事だと思います。動物などのかわいいものを作るのは女の人のほうが感性があると思うので頑張ってほしいなあと思いました(愛知県 名古屋市 女性 59歳 専業主婦)
  • 素晴らしい「職人女子」と感激致しました。『石職人 上野梓さん』の思想が幅広く、職人さんとしての気質を感じる。でも今からの職人さんの何でも取り入れるチャレンジのポリシーが特に素晴らしい。感動しました。これからも怪我無く体が資本であることを忘れず、意志(石)を強く持ち『石職人 上野梓さん』の世界を魅せてください。応援してます。(三重県 津市 男性 63歳 無職)
  • セメント練りにハンマーなどその力仕事さを強く感じました。はじめは体力も限界だったようですが、それでも楽しさをを見いだしている上野さんはとてもかっこいい職人さんです。また、切れ端の石から動物の石像を作るというのもすばらしいいアイデアです。ふくろうやねこの石像はとても愛らしくて可愛かったです。(愛知県 丹羽郡 女性 24歳 パート・アルバイト)
  • お父様の背中を見て育ち、血と汗にまみれ、体がぼろぼろになってまで頑張る上野さんの姿勢に、尊敬の念でいっばいです。動物の石像は良いアイデアですね。ふくろうもとても可愛いです。(愛知県 丹羽郡 女性 53歳 無職)
  • 石職人というとやはり力作業の多い男の仕事というイメージなので驚きました。大変なことも多々あるでしょうが女性にしかできないことも数多くあると思うのでこれからも地元岡崎でがんばってほしいです。(愛知県 岡崎市 男性 29歳 会社員)
  • 人の心に寄り添い作品を作り上げる。物を作り上げる点で非常に大切なことだと思います。これからもたくさんの人を和ませるような作品をたくさんの作って下さい。(三重県 桑名市 男性 52歳 公務員)
  • 全国初の女性石職人であるため,周りからの偏見など苦労されたことも多いと思います.ですが,それでも自分の夢を実現するためにストイックに頑張る姿勢にとても感動しました.また,時代の変化に取り残されないよううまくニーズを取り込んでいく柔軟な姿勢も素晴らしいと思いました。(愛知県 江南市 男性 24歳 学生)
  • 若い女性が伝統的な職人技に挑む、皆さんの職人魂に感銘を受けました。(静岡県 伊豆の国 男性 49歳 会社員)
  • 今はどんどん女性が男の世界に進出していますね。私の若いころには考えられない事ですが頑張ってほしいと思います。(愛知県 名古屋市 女性 58歳 専業主婦)
  • 女性いならではの優しさや細やかさが新しい石細工製品を生み出すんでしょうね。男性には考えられないようなものを今後も作成して頑張ってください。(愛知県 名古屋市 男性 62歳 無職)
  • 手がマメだらけになっても毎日続ける姿にたくましさを感じます。石灯籠や墓石に動物の石像まで作れるようになったのがすごいです。これからも挑戦し続けてほしいです。(茨城県 牛久市 男性 25歳 無職)
  • 石職人とは、珍しいと思いました。でも、私も小学生のころ初めて彫刻刀を使った時、無心になって掘る事がとても楽しかったように思います。なので上野さんの石職人を目指したのも分かる気がしました。これからも頑張ってください。(愛知県 蒲郡市 女性 46歳 専業主婦)
  • 石職人さんと言えば男性と言うイメージ 岡崎に生まれ育ち、全国初の女性石職人として活躍されている上野梓さん。岡崎の伝統工芸である石職人になろうと思ったきっかけ、石に対する思い槍が伝わってくる。(大阪府 池田市 女性 35歳 専業主婦)
  • 男社会と思われる職人に女性が挑むのは、素晴らしいと思った。(愛知県 名古屋市 男性 27歳 パート・アルバイト)
  • とても興味深く読みました。力仕事で大変だろうなと思いました。猫像がとても可愛いと思いました。(埼玉県 本庄市 男性 41歳 自営業)
  • 石職人の女性ってなかなかいないし、体力的にも絶対大変なのに、本当にすごいなと思いました。自分の仕事に誇りをもっているんだ、ということがすごく伝わってきました。私には、作家という無謀な夢があります。この話を読んで、自分が誇りを持てるような仕事につきたいと思ったし、やっぱりこれからも目指し続けたいと思いました。(滋賀県 草津市 女性 14歳 学生)

上新石材店

燈籠や墓石をはじめ、門構えや石畳など庭づくりに関するトータル提案も行う。また伝統工芸士の資格を持つ梓さんが手がける「AZ BRAND」では、メモリアルペットや記念日の贈り物など、さまざまな石の動物の置物を展開。オリジナルオーダーも可能。
岡崎市小呂町新志1-1
電話 0564-24-0434
定休日 日曜
上新石材店

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