熟練の技に挑む 職人女子

漆職人 ひもとやよいさん

2018/5/24

普段使いに喜ばれる漆作品を作りたい

漆塗りに使うヘラなどの道具もカンナをかけて自分で作っている

漆職人をめざして
2年間必死に勉強

 会社員として働いていた頃、「自分で何かしたい」と考えていました。そんな時、友達が大分で竹細工職人として頑張っているという話を聞き、私も一念発起。日本の伝統工芸の中から職人の仕事を色々と探した結果、漆に興味を惹かれて岩手の八幡平にある漆の研修所へ行くことにしました。その学校は単なる趣味で楽しみたいという人ではなく、職人として漆を生業にする人を養成するところです。私も決意を持って門をたたき、2年間頑張って学びました。

 学校では「椀がきちんと作れたらどんなものも作れるようになる」という先生の教えのもと、中心に習ったのはお椀の塗り。加飾は蒔絵など主だったものをさらっと習った程度でした。研修所ではまず蒔絵の練習などで使う手板を作りました。板に錆漆という下地剤を塗るのですが、手早く塗らないとボロボロになってしまいます。夢中になって作ったり塗ったりしている間に手がかぶれることもありましたが、2年間しかないので人の120%は学ぼうという気持ちで必死になって制作に取り組みました。幸い学校が盛岡からバスで1時間もかかる場所にあったこともあり、他に気持ちを惑わされることもなく漆の勉強に集中できたと思います。

愛らしいフェレットのジャイアンくんは大切な家族

納得の色が出るまで
手間を惜しまず塗り直す

 漆の制作はまず、器や箸などの木地に「生漆」と呼ばれる漆を塗ります。これは木から採取し、ゴミや木くずを濾した漆です。水分が約30%含まれているので、乾くと木地がガサガサになってしまいます。それをサンドペーパーで丁寧に研ぎ、また塗って拭き取って乾かすという作業を2回繰り返し、木地が手触りよくなったところからさらに5日かけて漆を5回塗り重ねます。これは「拭き漆」と呼ばれるもので、透けた木目が特徴の技法です。このような拭き漆で仕上げた箸の頭を自分で削り、色漆を塗って動物柄の箸に仕上げます。漆は早く乾くと黒っぽくなるので、同じ色でも季節によって色が微妙に変わります。色漆は約3回塗り重ねますが、それでも思うような色が出ない時は何回でも塗り直します。まさに「漆は生き物」だと実感します。とても扱いにくいのですが、その分思うような色が出せた時の喜びはひとしおです。

 ヘアゴムの場合も、木地が痩せるのを防ぐための下地剤として錆漆を塗り、下塗り、中塗り、上塗りを施すので最短でも3週間はかかります。とても時間と手間のかかる仕事ですが、使っていただく方に「やっぱり漆っていいね」って思ってもらいたいので手間を惜しまずに取り組んでいます。

 今のところ作品はマルシェやクラフト作家が集まるイベント、インターネットのクラフト作品の通販サイトなどで販売しています。私の作品は多色展開しているものが多いので、お客さんも「どれにしよう」と迷って選んでいます。それを見るのもまた苦労して作った醍醐味のひとつです。

 目標はおばあちゃんになっても漆職人として仕事をしていくことです。今は漆のほかに器の金継ぎもやっていますが、こうした手仕事を自分のペースで続けていけたらと思っています。そのためにこれからもコツコツと頑張っていきたいと思います。

(左)動物のモチーフがかわいい箸は一膳2500円。特にシロクマが人気だ。同じ動物の箸置きは1000円、(右)カラフルなヘアゴム1500円〜も土台となる木板からすべて手作り。いい作品を作るためには妥協を許さない
動画でもご覧頂けます

ウルシハジメマシタ

名古屋市出身。行政が運営する岩手県・八幡平の漆の学校で技術を学び、2014年に独立。「普段に使えるものを」をコンセプトに、主にマルシェやクラフト作家のイベントなどで箸やアクセサリーなどの作品を販売するほか、ネットでも販売を行う。
ホームページ

私たちは職人女子を応援しています!
  • 会員登録
  • ログイン
明日の天気(17:00発表)
名古屋
曇り一時雨
13 ℃/8 ℃
東京
曇り一時雨
13 ℃/8 ℃
大阪
曇り一時雨
13 ℃/10 ℃
  • 東名, 名神, 東名阪道, 名古屋高速で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集