熟練の技に挑む 職人女子

名古屋友禅職人 桜井めぐみさん

2018/6/21

お客様の想像を超える一枚を提案したい

図案から仕上げまで
ほぼ1人で手がける

 以前は東京の舞台制作会社で働いていましたが、呉服屋を営む父が長年染めを依頼していた名古屋友禅の伝統工芸士の方が弟子を取っても良いということで、名古屋に戻って弟子入りをしました。もともと絵を描くのは好きでしたが、自分に職人が向いているかは不安でした。

 名古屋友禅は加賀や京都の友禅とは違い、ほとんどの行程を一人で行います。まず最初は図案を考え、青花と呼ばれる薬液で生地に下絵を描きます。その後は細いゴムのりで輪郭をなぞり、柄と生地に堤防を作っていきます。

 ゴム糸目を引いたら、柄の部分に糊を伏せて生地を染め、その後ようやく挿友禅と呼ばれる柄の色付けの工程に入ります。細かい柄に針で刺すように色を入れることから、「色を挿す」と呼ばれるのも友禅独特の表現です。

 色を挿した後は蒸して色を止め、揮発性の液でゴム糸目を洗い落とす作業を別の職人にお願いします。揮発性で火気厳禁の大変な作業ですので、今では名古屋で一軒しか請け負うところがなく、あらためてこうした仕事の大変さを思い知ります。その後は金加工などの仕上げを行います。一つひとつの作業は大変緻密で時間がかかりますが、その分お客様に喜んでいただけたらそれが最高のご褒美だと思っています。

図案を書くときはあえて自分の技量を考えないという桜井さん。大胆かつ繊細な図案はこうした姿勢から生まれる

厳しい父に支えられ
喜ばれる着物を提案

 私の場合は職人として父から仕事を受けているので、父からOKが出るまで何度も図案を考え直さなければなりません。父の仕事はただ単に店頭で着物を販売するのではなく、お客様一人ひとりとじっくり向き合い、個性や要望を十分に引き出してから着物を提案するスタイル。ご要望があれば、県外のお客様でもお伺いさせていただいており、一生のおつきあいをさせていただくお客様も多くいらっしゃいます。だからこそ私の仕事にも大変厳しく、時には激しくぶつかりあうこともあります。しかし長年着物に携わってきた審美眼で私の仕事を冷静に判断してくれるため、自己満足することなくお客さまに合ったものをご提案できているとも思います。父の仕事を尊敬していますし、職人の私にとってはなくてはならない存在。今、父と二人三脚でしている作業は私にとって大変勉強になり、貴重な時間です。

3種類のオリーブをデザインした「希望の庭」。生地の細やかな模様は動くと木漏れ日のように反射

 これからも職人としては、お客さまのニーズに応えながら想像を越えた着物を提案していきたいと思っています。以前、ドクロ柄の帯を持っていらっしゃるお客さまに、半襟から少しガイコツが覗いている半襟を提案させていただいたところ大変喜ばれました。今後も「こういうものもあったんだ」と思われるような仕事をしていきたいと考えています。また呉服店としてもっと間口を広げ、お誂えだけではなく、しみ抜きや加工でも気軽に訪れていただける店にしていきたいと考えています。着物は自分を雅に着飾ってくれる素敵なアイテムのひとつ。カジュアルから正装まで色々な着物を着ていただけたら嬉しいです。また一生を通して楽しめるものでもあり、親子代々受け継いでいけるので、大切にしてほしいと願っています。

 作家としては、これからも全国展に出展していきたいと考えています。そのために観察や写生時間を惜しまず取り組み、常に腕を磨き続けていきたいと思っています。

桜井さんが自身の嫁入り用に仕立てた華やかな名古屋友禅の振り袖。他にも中京競馬の優勝幕も手がけている
動画でもご覧頂けます

丸末呉服 染工房さくら

1974年岩倉市生まれ。専門学校を卒業後いったん家業に入るが上京。その後名古屋友禅職人のもとで修業し、平成29年に名古屋友禅の伝統工芸士となる。現在は職人として着物の誂えや加工を請け負うかたわら、全国の作品展にも出展。毎週第1・3木・土曜に友禅教室も開催。希望者は問い合わせを。
住所 : 岩倉市大地町郷前1
電話 : 0587−37−3031

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