【地名の由来33】南海トラフ津波-「尾張」の東海道はなぜ消えた? 2013/4/10

ここは安全!(東海道 有松宿入口)

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東海道は江戸日本橋を起点にして、品川宿から近江国の大津宿まで通称五十三次と呼ばれています。言うまでもなく三河国・尾張国を通っているのですが、遠江国から伊勢国まで、それぞれの国に置かれた宿駅の数を示すと次のようになります。

 遠江国  金谷宿〜白須賀宿   9
 三河国  二川宿〜池鯉鮒宿   7
 尾張国  鳴海宿〜宮宿(熱田宿)2
 伊勢国  桑名宿〜坂下宿    7

これを見てわかるように、尾張国以外はいずれも7〜9の宿が置かれているにもかかわらず、天下有数の大国である尾張にはたったの2つしか宿が置かれていないのです! 

この謎解きは至極簡単で、東海道は尾張の宮宿(熱田宿)から海路に替わり、七里の海路を経て桑名宿につなぐというのが、かつての東海道の道筋だったからです。東海道五十三次の長い道中で海路を渡るのは、この宮宿〜桑名宿の間だけでした。

その理由も簡単なことで、この地域は低地で頻繁に洪水や高潮で浸水するために、濃尾平野を陸路で行くことは不可能であったからでした。尾張からのこの海路の起点が「七里の渡し」で、熱田神宮のすぐ南に位置し、このポイントが前回紹介した「浦・津・川」モデルの「津」に当たるスポットです。この海路の東海道の裏街道のようにつくられたのが佐屋街道ですが、この街道によって名古屋方面に旅人は多く足を運んだということになります。

さて、ここで理解してほしいのは、津波対策として「街道」というものがかなり重要な意味を持っていたという事実です。七里の海路は別にして、東海道を挟む地域はかなり安全だと考えていいということです。

「東海道」とは言うまでもなく「東に向かう海沿いの道」を意味するのですが、海沿いとは言っても決して海のすぐそばを走っているわけではないのです。きちんとある距離を置いてつくられています。

名古屋でいうと、桶狭間・有松・鳴海・呼続を経て七里の渡しにつながるのですが、かつてはその街道沿いに家々が建ち並んでいました。もっと言えば、そこにしか人は住んでいなかったのです。ということは、そのエリヤは洪水や高潮・津波からまぬかれてきたと言ってもいいのです。

新刊『地名に隠された「南海津波」』(講談社プラスアルファ新書)で「街道に逃げる!」と書いたのはその意味です。100年以上前の名古屋の古地図で具体的に紹介してありますので、是非ご覧ください。

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プロフィール

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ノンフィクション作家

1945年長野県松本市生まれ。東京教育大学(現筑波大学)、同大学院博士課程修了。筑波大学教授、理事・副学長を務めるも、退職と同時にノンフィクション作家に転身。

柳田国男研究をベースに、学問の狭い枠を超えた自由な発想で地名論を展開。最近出した『名古屋 地名の由来を歩く』(ベスト新書)、『地名に隠された「東京津波」』(講談社+α新書)はそれぞれご当地でベストセラーに。新著『名古屋「駅名」の謎』が好評発売中。

その他、「地名を歩く」シリーズでは「京都」「東京・江戸」「奈良」編、「駅名の謎」シリーズでは「大阪」「京都奈良」「東京」がある。テレビ・ラジオなどでも活躍。博士(教育学)。

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