<第7話>名古屋場所、三つどもえの争いか 2013/7/5

名古屋場所が7日に初日を迎えますが、注目はなんと言っても、白鵬、日馬富士の両横綱に、綱取りを目指す稀勢の里が加わっての優勝争いでしょう。

そのなかで、優勝に一番近いのは?と聞かれると、やはり白鵬が優位と言うしかないんですよ。それくらい白鵬には安定感があり、風格も備わっていて、すでに円熟という域に入ってきています。ですから、白鵬という牙城はなかなか崩せそうにありません。

30連勝中の白鵬は連勝記録をどこまで伸ばすか

白鵬と並ぶ横綱、日馬富士ですが、名古屋場所ではこのところ好成績を残しています。昨年も全勝優勝していますから、気を良くして臨むのではないでしょうか。彼は「気」を取り込んで集中力を高めることを武器としていますから、それがうまくいけばいい成績を残せるはずです。横綱を目指したときの気持ちに立ち返って土俵に臨めば、十分優勝も可能ですよ。

日馬富士は名古屋場所3連覇に挑む

さて、横綱を目指す稀勢の里ですが、先の夏場所で「開眼した」と私は感じています。13勝2敗という成績もさることながら、相撲が安定してきましたね。

14日目の全勝対決で白鵬に敗れはしましたが、あのときの立合いでは珍しく白鵬が立ち渋っていました。それだけ稀勢の里が成長したということです。また、これまで分が悪かった日馬富士には一蹴するような相撲をとりましたね。ああいう相撲は大変な自信になります。

ですから、稀勢の里が期待に応える可能性もありますよ。全勝すれば横綱昇進は間違いないでしょうが、14勝1敗だと賛否両論が出そう。13勝なら来場所に持ち越しです。14勝以上できるかどうかが見どころですね。

稀勢の里ファンにうれしい情報になりそうですが、名古屋場所は「出世場所」と言われていて、場所後に多くの横綱が誕生しています。北の湖や千代の富士、隆の里など、後に大相撲を引っ張っていった横綱たちです。

千代の富士は昭和56年の初場所で初優勝して大関になり、同じ年の名古屋場所後に横綱に昇進しています。つまり、大関だったのは3場所だけ。しかも、他の人たちが何場所もかかって実現できないこともある綱とりを一発で決めたんです。やはりたぐいまれな集中力と素質の賜物でしょう。

稀勢の里は優勝して横綱に昇進したい

また、糖尿と戦いながら辛抱して、遅咲きの花を咲かせた隆の里の横綱昇進もありました。横綱昇進という点でも名古屋は印象深い場所ですね。

そのほか、新十両にも注目の力士がいます。エジプト出身の大砂嵐と、日大出身の学生チャンピオン、遠藤です。

ラマダンの風習の中で本場所に臨む大砂嵐は、取組以外の部分でも話題になっていますが、素質もいいものをもっています。足腰がしっかりしていて、外国人力士には珍しく、粘りのある相撲を取ります。

遠藤は攻撃タイプですが守りもできて、かなり期待できる力士。この2人は次の時代を担うヒーローになりそうです。

話題と言えば、2年半ぶりに復帰する蒼国来もいますね。ブランクを経ての異例の復帰ですが、どういった活躍をするか注目です。また、妙義龍、豪栄道、栃煌山などが横綱や大関をどこまで追い詰めるかといった点も気になります。

このように今年の名古屋場所はかなり見どころが豊富です。ファンのみなさんを最後まで湧かせて、例年以上に盛り上がる場所になってほしいですね。私も楽しみにしています。

PR情報

記事一覧

<第48話>15日間長かった名古屋場所

近年まれな日替わりで優勝争いの主役が変わる、予想しづらい場所でした。稀勢の里の綱取り、白鵬の1000勝に絞られて、迎えた名古屋でしたが、マスコミ(私も含…

2016/7/29

<第47話>名古屋場所、稀勢の里が注意すべきは

稀勢の里の優勝、綱取りは・・・。 白鵬の通算1000勝達成は・・・。 名古屋場所はこの2つが最大の見どころとなります。 稀勢の里は「今場所しかない」の気持ちで臨…

2016/7/9

<第46話>心に残る大関列伝(若嶋津編)

中学卒で入門するのが大半だった時代に、高校卒から角界入りしたのが若嶋津(本名・日高六男)です。鹿児島県種子島出身で入門時から色が浅黒く、のちに「南海…

2016/6/29

<第45話>心に残る大関列伝(琴風編)

輪湖時代が終わり、新両国国技館の誕生とともに千代の富士が小さな大横綱として脚光を浴びました。この時代、「おしん横綱」と呼ばれ、千代の富士を脅かした横…

2016/6/10

<第44話>夏場所をふりかえって

稀勢の里は残念でした。 白鵬の強さを改めて知らされた場所でした。白鵬は立ち合い張って、右腕を「く」の字に曲げ、相手の左ひじ、左あごを強襲して前へ出る…

2016/5/26

<第43話>夏場所は稀勢の里の綱取りに注目

今場所こそ、稀勢の里に注目します。 優勝すれば横綱昇進は間違いなしです。 春場所千秋楽、優勝決定戦のチャンス目前で白鵬が1差で逃げ切り、無念でした。 横…

2016/5/7

<第42話>心に残る大関列伝(魁傑編)

魁傑は日大柔道部出身で、大相撲とは縁がなかったのですが、投げ技と足技が柔道家としてよりも、大相撲に向くのではないかと花籠親方に熱心に口説かれ、本名西…

2016/4/20

<第41話>心に残る大関列伝(旭国編)

北の湖と輪島の輪湖時代、貴ノ花時代を語る上で欠くことのできない大関が昭和22年生まれの旭国、昭和23年生まれの魁傑です。2人とも極めて個性的な力士でした。…

2016/4/10

<第40話>春場所をふりかえって

白鵬が8カ月ぶり36回目の優勝を果たしました。3場所優勝から遠ざかっていた彼は、どうしてもこの場所は優勝するんだという強い決意のもと臨むと見ていました…

2016/4/1

<第39話>春場所展望 琴奨菊の大きい自信

ずばり春場所は白鵬が優勝候補の本命です。 優勝35回を誇る大横綱だけに、先場所の千秋楽の集中力が欠けた相撲は残念でした。琴奨菊の優勝が決まった後の日馬…

2016/3/11

プロフィール

17

日本福祉大客員教授、元NHKアナウンサー・相撲ジャーナリスト

1930年、北九州市生まれ。早大卒業後、53年NHK入局。初任地は名古屋局で、自身初の大相撲実況は54年2月に金山体育館で行われた大相撲名古屋場所(当時は準本場所)。

NHK在職中は名古屋、福岡、大阪、東京と大相撲の本場所開催地の放送局に在籍。81年、大関貴ノ花引退の放送で思わず絶句。“泣きの杉山、泣かせの杉山”と異名をとる。相撲以外でも東京、メキシコ五輪をはじめプロ野球など各種のスポーツ実況を担当。

現在は日本福祉大生涯学習センター名誉センター長、客員教授。名古屋・栄の中日文化センター講座「大相撲の魅力を語る」で講師を務める。深い知識と豊富な経験を基に、講座で興味津々の話題を紹介してくれる。

著書に「大相撲この名勝負」「土俵の鬼三代」「兄弟横綱−若貴の心・技・体」「土俵のチンギス・ハーン 白鵬」「土俵の真実」などがある。

  • 会員登録
  • ログイン
今日の天気(11:00発表)
名古屋
晴れ時々曇り
29 ℃/--
東京
晴れ後曇り
28 ℃/--
大阪
曇り時々晴れ
29 ℃/--
  • 東名, 名古屋高速で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集