<第11話>角界の未来に向けて 2013/8/15

世界に誇る伝承文化であり、神の祀り事とも深い関わりを持ちながら、大相撲は受け継がれてきました。数年前にはその根幹が揺らぐような、さまざまな不祥事もありましたが、それを風化させることなく、文化の伝承であるということを心に留めて、未来につなげていって欲しいと思います。運営側や力士はもちろん、それを取り巻く周囲の人たちやファンも同様に、です。

文化の伝承という点で大切なこととして、現役の力士を含め、協会に所属する全員が、「土俵祭り」に参加することが必要ではないかと考えています。「土俵祭り」は本場所初日の前日に行なわれるもので、土俵に神様をお迎えする儀式です。

荘厳で神聖な雰囲気の中で行なわれる「土俵祭り」に立ち会うことで、大相撲という大切な日本文化の担い手であることを、より強く自覚できるのではないでしょうか。

取組においては、技を磨き、全力で戦うこと。これに尽きます。ぱっと逃げたり、はたいたりして、2秒か3秒で終わるような大味な相撲では、ファンはがっかりします。正面からぶつかり合う、真っ向勝負をしてほしいですね。

直線勝負もいいけれど、「無限」の円である土俵を十分に生かした相撲が見たい。栃錦、初代若乃花みたいな力士が何人か出てくるとおもしろいと思います。

それには、やはり稽古しかありません。稽古を積み重ねるから、残せるし、踏ん張れるのです。行司の「のこった、のこった」の声が何回も聞けるようになるんです。

弟子たちを導く師匠のみなさんにも、しっかりとした指導をしてもらいたいですね。目先の白星にとらわれず、はたいて勝ったような時は、厳しくしかり飛ばすぐらいの師匠がいてもいいと思います。

体力をつけ、技を磨き、集中力を高める。まさに、心技体、三位一体の土俵を見せるということが大切です。

大相撲という、素晴らしい日本の伝統である宝。これが永久に続いてほしい、絶対に絶やしてはいけないと、心から強く願っています。

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プロフィール

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日本福祉大客員教授、元NHKアナウンサー・相撲ジャーナリスト

1930年、北九州市生まれ。早大卒業後、53年NHK入局。初任地は名古屋局で、自身初の大相撲実況は54年2月に金山体育館で行われた大相撲名古屋場所(当時は準本場所)。

NHK在職中は名古屋、福岡、大阪、東京と大相撲の本場所開催地の放送局に在籍。81年、大関貴ノ花引退の放送で思わず絶句。“泣きの杉山、泣かせの杉山”と異名をとる。相撲以外でも東京、メキシコ五輪をはじめプロ野球など各種のスポーツ実況を担当。

現在は日本福祉大生涯学習センター名誉センター長、客員教授。名古屋・栄の中日文化センター講座「大相撲の魅力を語る」で講師を務める。深い知識と豊富な経験を基に、講座で興味津々の話題を紹介してくれる。

著書に「大相撲この名勝負」「土俵の鬼三代」「兄弟横綱−若貴の心・技・体」「土俵のチンギス・ハーン 白鵬」「土俵の真実」などがある。

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