韓国人は「最上階」「角部屋」が大嫌い!日本と真逆の住宅事情 2013/8/25

あのですね、随分前のことなんですけどね、韓国支社に転勤が決まった某企業の取締役「Aさん」の韓国語レッスンを担当していた頃のエピソードなんですよ。

ある日、レッスンに会社を訪れたら、いつもはちっと不愛想な「Aさん」がとってもにこやかな顔で話し始めたんですよ。

「朴先生、週末に部屋を見に韓国に行って来たんですけど、運良く最上階の角部屋が空いてまして、契約してきたんですよ。私ついてる人でしてね……♪」って。

「朴」に言わせると、「Aさん」は韓国文化に門外漢で、韓国の住宅事情に疎く、現地の人にとっては「最悪の部屋」を決めてしまったんですよ!!

という訳で、今日は韓国の住宅事情についてご紹介。

1978年にソウル市「송파구・잠실동☆松坡区・蚕室洞」に建てられた 住宅公団5団地(15階建て30棟 3,930世帯)風景 出典:ソウル経済新聞

日本では「アパート」と「マンション」を呼び分けていますが、日本で「アパート」と呼ばれているものは韓国では「연립주택・ヨルリプチュテク☆連立住宅」。「マンション」という呼び名はなく「公団」や「マンション」のような「集合住宅」は全て「아파트・アパトゥ」と呼んでいます。

韓国住宅公社の記録によれば、1958年にソウル市「城北区」に建てられた5階建て3棟と、1964年に同市「麻浦区」の6階建て10棟が韓国の「아파트・アパトゥ」の始まりだとか。1970年には全世帯の4%に過ぎなかった「アパトゥ」ですが、2005年には52.7%。約50年後である2010年には全住宅数の「アパトゥ」の占める割合は59.0%となっています。

韓国全土に「アパトゥ」のない地域はなく、ソウル市には数千世帯の大規模な「アパトゥ団地」も点在し、「新都市」と呼ばれている「アパトゥ都市」がソウルの外郭を囲んでいます。韓国はいわゆる「アパトゥ大国」と言えます。

1964年にソウル市麻浦区に建てられた 「아파트アパトゥ」6階建て10棟 出典:韓国住宅公社

いったい韓国人はなぜ皆「아파트アパトゥ」(団地・マンション)に住んでいる?

「朴」は1970年頃まではソウルの「景福宮」の近くにある「재동 チェドン 斎洞」に住んでいました。韓流の皆様の間では「북촌 プクチョン 北村」として知られている所で、「冬のソナタ」の「준상 チュンサン」と「유진 ユジン」が通っていた「高校」のロケ地として知られている「中央高校」の近くですよ 〜 ♪

当時の高級住宅地域とは言えども、まだ国力の弱い時代でしたので、現在の高級住宅と比べるとこじんまりとした一戸建てでしたが、住み込みの家政婦さんもいましたので、母の大変さには全く気付かなかったんですよ 〜。

その後、「朴家」は家庭の事情により、庶民的な一戸建てに移り住みました。この庶民の町に数日に一回「チリンチリン」と大きくベルが響き渡ります。ゴミ収集のおじさんが「ゴミ収集車」が来たことを知らせる音です。

すると各家庭ではゴミを溜めてある箱(リンゴの木箱)を持ってゴミを捨てに行きます。育ちの良い上品な「朴の母」も重いゴミ箱を両手で持って小走りします。

「朴家」の近くには小店がありましたが、母は居候している親戚(当時の韓国の家庭には居候している者が必ずいたよ)を含む6、7人家族の食材を買出しに市場に行きます。1日3食×2、3日分です。まだマイカ−の時代ではなかった頃、雨の日も雪の日も徒歩10分もかかる市場から、お嬢様育ちの「母」はいつも一人で重い食材を運んでいました。

家族は皆、部屋で好きな事をして時間を潰しているのに、母は冷たい隙間風の入る台所で寒くて足をトントンと踏み鳴らしたり、かじかんでいる指を息で温めたりしながら、愛しい家族のために食事を作っていました。

その後「朴家」が「マンション」に移り、車を買い、パートの家政婦さんに来てもらえるようになったのは1985年頃で、母が病気で床に就いてからのことです。

1910年8月29日から1945年8月15日までの約36年間に及ぶ「日本の植民地時代」や、1950年6月25日から1953年7月27日までの約3年間の「朝鮮戦争」の歴史をもつ韓国は、映像記録で見た限り「대구 テグ 大邱」と「부산 プサン 釜山」を除く全国土は、大地震後津波に襲われた地域同様悲惨なものでした。

戦前生まれの方々が飲まず食わずで力を合わせて頑張られたお陰で、「朴」が生まれてきた頃は、少なくとも肉眼で見える戦争の傷跡は引きずっていなかったと思えます。とは言え、1960年〜1970年頃の韓国の住宅は現在の高級戸建てやマンションに比べると遥かに劣悪なものでした。

家電製品の普及もまだまだ一般化していなかった時代。運転手さん付きの車やお手伝いさんのいない、扶養家族の多い庶民の家の主婦達の家事の負担は大変なものでしたよ 〜 〜。

「아파트 アパトゥート団地」内には、薬局・レストラン・スーパーなどが入店している商店街があり、食材など生活に必要な物が調達できます。世帯ごとにゴミ捨ての投入口(ダストシュート)が付いていて、そこから捨てられたゴミは全部、下の階のゴミ置き場まで落ちていきます。(現在はゴミ分別収集のため「ダストシュート」は使わなくなったけど……)

◆ サンテラスタイプのベランダがあり、いつでも洗濯物が干せる。
◆ 不在時に届く小包や宅配商品などが警備室に預かってもらえる。
◆ 警備員が常勤しているうえに鍵一つで外出できる防犯システム。
◆ 水道や「온돌 オンドル(床暖房)」システムが故障した場合、管理事務所に連絡すれば直してもらえる。等々

「아파트・アパトゥ大団地」の近くには銀行・郵便局・大手スーパー・病院・学校などの公共施設(インフラストラクチュア)が充実しています。「大規模のアパトゥ」ほどバス停・地下鉄駅にも定められ易いのです。

韓国人が「アパート」を好む理由にはこのような「利便性」以外にも、一言で言い切れない複合的な要素が含まれているのですが、素朴な主婦達が感じているもう一つの最大の理由は「断熱性」ではないかと考えられます。

朝鮮半島は夏の暑さ厳しく、冬の寒さ耐え難い程の自然環境でしたよね 〜 〜。一戸建ては「気密性」が低いので隙間風が入るだけではなく、屋根と外壁4面が外気に接していると同時に地面に直に接しているので「断熱性」の面から夏暑くて冬寒い!!

「아파트アパトゥ」の場合は、上下の階や左右に住戸がある区画(韓国で「ロイヤル層」と言います)は、「廊下側」と「バルコニー側」2面だけが外気に接しているのに対し、「1階」は地面からの「湿気」や「寒・熱気」を受け易く、「最上階の角部屋」は屋上を含めた外壁3面が外気に接している。それ故、夏は日光により最上階は暑さが酷く、冬は屋上の冷気により温度が下がり、冷暖房費が一番かかる。

そのうえ、水圧が低いのでポンプアップ式の水道を使用している場合、水の使用量が急増する時期になると、水圧が下がり、水が出にくくなる可能性がある。また、冬は長時間 家を空けると水道管が凍って破裂したりすることもある。

それ故に韓国人は「最上階・角部屋」大嫌い!!

「아파트 アパトゥ 一棟立面図」

一方、上下・左右の住戸からの「騒音トラブル」が多くて、「湿気」のための風通しが重視される日本では、最上階は他の階より騒音を受けにくく、角部屋は3面窓なので風通しが良いという長所により「最上階・角部屋」であるほど「リッチ」なイメージ。

売却の際にも最上階・角部屋は一番高く売れるらしくて、憧れの対象になっているよう。又、1階は下の住戸から苦情を言われる恐れがないので、子供が安心して遊べることから人気を得ているみたい ♪

「やっぱり韓・日かなり違うね!!」と思っていたら 〜、韓国の建設会社も2000年以降から、条件のいい部屋ばかりが売れて、条件の悪い部屋はいつも売れ残るのを防ぐための販売戦略に乗り出しました。

◆ 1階の部屋を購入する世帯には、部屋の前の敷地を専用庭として提供。
◆ 最上階には屋上に屋根裏部屋を作り、直射日光や寒気を遮断。
◆ 水道タンクを屋上に設置し、水道が出にくい欠陥を補完。
◆ 角部屋は3面を窓にし、「見晴らしや日照が良い」などの「セールストーク」で売り込んでいる。

(続く)

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韓国ソウル出身。韓国国会事務局退職後、1988年来日。大学で高等学校教諭1種免許(国語)取得。大学院で日本文化専攻。

名古屋市の官公庁などの翻訳・通訳人として活躍後、大学や名古屋市内の生涯学習センターなどで「コリア文化」に関する講座を担当。

現在は愛知大学、中京大学、中日文化センター、愛知大学オープンカレッジなどで韓国語講師をつとめる。

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