月の秘めたパワー 2013/10/11

潮の満ち引きが起こるのは、月と太陽の重力によるもの

1.潮の満ち引き(潮汐力)
月が地球に及ぼす最もはっきりした現象は、潮汐力つまり月の引力によって海水が引っ張られる潮汐力だ。これは、満潮干潮という言葉でおなじみ。潮干狩りに出かけるのは大潮だし、台風が来たとき満潮と重なると被害が大きいなど生活に密着している。

干満の大きさは、太陽と地球と月が一直線に並ぶ満月と新月のときに最も大きく、大潮となる。また上弦と下弦のときは、太陽と月の潮汐力は打ち消しあい小潮となる。

干満の差は、一般的には1m程度だが、地域によってかなり差がある。日本海側では30cm前後なのに対し、九州の有明海では5mに達する。また世界ではカナダのファンディ湾では15mにもなる。中国の銭塘江河口では、大潮のとき8mもの高さに盛り上がった海水が時速25kmで上流に向かって逆流する海嘯(かいしょう)という現象が見られる。

月の満ち欠けと雨の降り方はリンクしている?!

2.月齢と雨との関係
月齢によって雨の降り方が変化するなんて信じがたい話だが、1960年代はじめアメリカの気象学者ブラッドリーらは、アメリカの膨大な気象データから、月齢と雨との関係に奇妙な結果を導き出した。

つまり雨が多いのは満月直後と新月直後になるというのである。欧米では、満月の日を選んでジャガイモの植付けをするという。また、日本にも「エンドウやソラマメは闇夜に種をまけ」とか「球根は闇夜に、穀物は月夜にまけ」ということわざがあるというが。これらも月齢に伴う天気の変化に照らし合わせたものだということができるだろう。

この原因は、大気中に存在する氷晶核(雨雲の素となる微粒子)濃度と月齢が関係していると考えられる。つまり満月と新月のときに宇宙空間に漂う微粒子(流星塵)、その引力によって地球にたくさん降り注ぐということになるらしいが、本当のところはわかっていない。

月の満ち欠けと地震には関係がありそうだが、地震予知は無理。

3.月齢と地震
月による潮汐作用は、海水だけでなく陸地にも及んでいる。大潮のときは、地面も十数センチ盛り上がるのだそうだ。だとすれば、潮汐力が地震を起こすきっかけになるのではないかと考えられなくもない、実際私が調べるまでもなく、さまざまな統計が出ている。

上の図は、明治20年以降日本付近で発生したマグニチュード7以上の大地震と月齢との関係をグラフにしたものだが、これを見る限り上弦と下弦付近に集中していることがわかる。確かに東日本大震災は、上弦に起こった。

ただし例外もあり阪神大震災は満月に起こっている。いずれにしても、大地までも引っ張る潮汐力で、何らかの地震のきっかけを作るのは間違いなさそうだが、これにより地震予知をすることは難しそうだ。

満月に変身する狼男伝説は真実?!

4.月齢と事件事故
ヨーロッパでは、満月の夜になるとオオカミに変身して人々を襲う狼男伝説や、満月の光を浴びて眠ると気が狂うといわれるように、満月は人にあまり良い影響を与えないと考えられている。迷信かと思えなくもないが、月齢と事件や事故もリンクしているらしい。

ニューヨーク火災調査局の調査では、満月時には放火事件が2倍に増えるそうだ。また殺人事件は満月・新月の夜に起こるという。やはりオオカミ男の伝説は真実なのか?

満月や新月のときに手術をすると出血が多い。家畜の去勢手術は、満月には出血が多いからしない方が良いという古くからの言い伝えや、古代ユダヤでは患者の出血を見るような医学的処置は、月齢によって制限されていたという。

考えてみれば人間の体も70%は水分なので、月の引力の影響を強く受け、大潮のころは体の中の水分が月に引っ張られることになる。女性の多くは、満月や新月前後に生理が始まると聞く。月の引力が私たちにも生理的な影響を与えていることは間違いなさそうだ。

綿帯橋にかかるおぼろ月

私たちが、月を愛でるのは、月の影響のもとに月とともに暮らしてきたから。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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