「聞く」と「聴く」 2013/10/10

今日もこうしてたずねていただき、ありがとうございます。僧侶の川村妙慶です。さて、このサイトに「はる犬」さんから相談をいただきました。

【ご質問】
「私は人によかれと思ってやったことなのに『そんなことやらなくてもいいのに』と言われたり、かえって怒りをかうことが多いです。家でも片付けをすると『母のやり方と違う』といわれます。何かを買って帰っても「私の好みではないといっているでしょう。あんた食べて」といわれます。

こういった場合、私が「やってあげている」という傲慢さがあるからでしょうか。それとも私が鈍感だからでしょうか。どう気持ちを切り替えていいのか教えてください。」

【お答え】
鈍感だったら、家族のために何かをしたりお土産を買ったりはしません。また傲慢だったらこうして私にお便りをくれることがなく、ただ怒りの中で終わるでしょう。

どうか自分を責めないでほしいのです。この私もお寺では日常茶飯事のように怒られています(笑)。

「よかれと思ってしたことであっても、相手にとっては迷惑」ということもあるのです。

つまり私と他人は違うということです。

では何も構うなということでしょうか。そうではありません。何でもないのです。質問したらいいのでしょう。

なぜなら相手の心は電光掲示板のように見えないからです。

親鸞さんは「きいていこう」とお教えくださいました。きくにも2つあります。「聞く、聴く」です。この二字はどう違うのでしょうか。

まず2つに共通する「きく」は、自分の知らないこと、自分の求めていることを尋(たず)ねるという意味があるのです。

しかし、人間はすべて「自分の都合」で生きています。「よくやったね」と誉められたい。自分にとっていい思いをしたい。自分の体面にこだわったり、いろいろなことにひっかかって素直に「きく」ということは難しいのです。

だから親鸞さんは「きく」は、自分と言う頑固な殻を打ち破って、より大きな世界に出てほしいとお教えくださいます。

では「聴く」と「聞く」はどう違いをお話ししましょう。
漢和辞典には「聴は耳声を持つ。聞は耳声に入る」と書かれています。
つまり、「聞く」というのは、自然にきこえて来るという意味です。
一方で「聴く」というのは、きく意思があって注意してきくという意味です。
 
普段何気ない言葉を聞くことは大切です。
「そういえば昔、あの人はこういうことを言っていたな。親から言われた言葉が今になって思いだされた」ということがありませんか?これは何気なく聞いているからなのです。
人間は何かのきっかけの時に思い出すのです。

何度も何度も聞いていくこと。そこには信頼関係も大切なのです。親鸞聖人は「聞くとは信じてきくこと」(教行信証)だとおっしゃっています。

「聞く」とは、自分の意思を超え、自分の小さな殻を打ち破ったむこうからきこえてくる声を、素直に耳に受け取ると言う行為です。自分の思いを超えてきてくださるものを受け取るという信頼関係での中でできることなのです。

そして「聴く」ということで、相手の好み、現在の状況をしっかりと理解してきいて(たずねて)いけばいいのです。これは私の好みではないといえば、買わなければいいのです。

片付けももししたかったら「こうしておいていい?」ときいた上で「迷惑」といわれたらあとはおまかせしたらいいのです。そして自分のできる範囲でやれることをやればいいのです。それにしても家族の方は一言きついですね(涙)。

仏さまはきっとこうおっしゃるでしょう。

「せっかくお土産を買ってきてくれたのにごめんね。ありがとう。」と。

鸞恩くん(東本願寺 キャラクター)
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プロフィール

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真宗大谷派僧侶・アナウンサー

京都在住(福岡県出身)
20歳で真宗大谷派(東本願寺)の僧侶となる。と同時に社会経験をと、関西を中心にアナウンサーとして活躍。

15年前から立ち上げたHPでは
2007年ヤフー人名検索1位になり話題になる。「川村妙慶の日替わり法話」は一日3万件のアクセス。

現在 中日文化センター「心が元気になる講座」講師。

NHK京都、大阪文化センター講師。FBS読売文化センター講師。KBSラジオ「ほっかほっかラジオ 妙慶のちょっといい話」レギュラー。

産経新聞「明日へのヒント」・京都新聞「暖流」日経ヘルスプルミエ
連載中。

全国へ講演で回る。また著書も多数出版。

近著に「女の覚悟」講談社・「大丈夫!何とかなるから 」KKベストセラーズ、「妙慶の怒りをおさめる35の話し」こう書房 他

☆川村妙慶のテレフォン法話
075-431-7603(なむあみ)

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