「自主製作映画フェスティバル」開催! 2013/11/28

名古屋在住の酒井健宏監督作品 『ハチミツ』より

早いもので、もうすぐ12月。あわただしい年の瀬がやってきた。この気ぜわしい感じ、個人的には嫌いじゃない。いろいろな用事を済ませて迎える大晦日の晩は、なんだか自分が生まれ変わっていくような気分になる。まぁ、そんな気がするだけなんだけど…。

さて12月には、名古屋シネマテーク恒例の企画がある。今年で第27回を数える「自主製作映画フェスティバル」だ。

これは、大手の映画会社の手によらない、文字通りの自主製作映画を上映する、シネマテークのオリジナル企画。昼間は、当劇場独自の視点でセレクトした作品を上映する「招待作品」プログラム。

そして夜8時台からは、持ち込まれた作品を無審査で上映する、その名も「何でも持って来い!」というプログラム。そんな2部構成で27年間続けてきた。

振り返ってみれば、シネマテークが誕生した1980年代前半、ここ名古屋は比較的、自主製作映画の上映会が盛んだった。自分達で作った映画を、自分達の手で上映することが当たり前に行なわれていた時代といってもいい。

それが80年代後半になると、いつの間にか下火になっていった。たしかに自主製作で映画を作り続けることは、かなりのエネルギーを必要とする。学生のうちは仲間を集めるのも難しくはないが、社会人となれば、そう簡単にはいかない。

名古屋の自主映画状況も、丁度そんな時期になっていたようだ。「今、自主映画は、どうなっているんだろう?」そんな素朴な興味が、この企画の出発点になった。と同時に、自主製作を続けている作り手達を、ささやかながらも応援できたらいいという思いもあった。

かくして27年間、様々な自主製作映画を紹介してきた。中には、後にメジャー作品の監督を任されるようになった人達もいる。園 子温や黒沢 清は、第一回から何度も上映したし、『パビリオン山椒魚』の富永昌敬、『南極料理人』の沖田修一、今年『今日、恋をはじめます』でヒットをとばした古沢 健らの作品も上映した。

変わったところでは、松尾スズキの監督作品や、美術家・ヤノベケンジのドキュメンタリーも上映し、お二人に来場して頂いたこともあった。え、松尾スズキの作った映画があるの?と思われる方もいるかもしれない。もちろん有名になる前の作品だ。おそらく今では封印されていることだろう。

つまり「自主製作映画フェステイバル」は、まだ世間の評価が定まらない、未知の作り手や作品と出会う場だ。そこには発見の面白さが満ちている。そして松尾スズキの例のように、本当に貴重な作品と巡り会える場でもあるのだ。

今年のプログラムにも、そんな面白さを引っさげた作品が並んでいる。とりわけ地元・名古屋で作られた2プロは要注目。映画は、遠いハリウッドで作られたものから、あなたの隣で作られたものまで幅広く存在する。

人間の相貌が一人ひとり異なるように、映画の表情も多種多様。どちらが優れている、と言う話じゃない。その多様性の中に身を置くことも、映画を見る大きな楽しみのひとつだ。開催は12月20日(金)〜22日(日)。発見の旅に、ぜひご参加下さい。 

同じく名古屋在住の佐藤良祐監督作品『Fuckin Eternal Romanticists』
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プロフィール

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名古屋シネマテーク 支配人

1961年、名古屋市生まれ 。南山大学卒。在学時から、自主上映団体「ナゴヤシネアスト」のスタッフに参加。

卒業後は、同会が1982年に設立したミニ・シアター「名古屋シネマテーク」の専従スタッフとなり、1987年より支配人。

1993年〜2002年、愛知芸術文化センターオリジナル映像制作作家選定委員。

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