『若菜摘み』をして七草粥を食べてみませんか? 2013/12/26

ハコベ

年の瀬も迫り、何かと慌ただしい毎日です。師走とはよくいったもので、毎日あたふた走り回っています。

さて、前回ご紹介した『お屠蘇』の中の『おけら』について補足します。

関西の年越しの話題として吉兆縄(細く削いだ竹で編んだ縄)に火を移し、途中で消さないようにくるくると回しながら持ち帰る様子が毎年ニュースになります。最近は火災防止のため火がついたまま持ち帰ることは出来ないようですが、『をけら参り』と呼ばれる京都八坂神社の神事の一つです。

おけらを燃やした火から正月用のかまどの種火を頂いて帰るという風習で、この火で元旦の雑煮をたいて食べると、その年を無病息災で過ごせるといわれています。

関東でも節分の日の夕方に病の鬼を祓う『うけらの神事』が五條天神社で行われます。五條天神社は薬祖神である大己貴命(大国主命)と少彦名命を御祭神としている上野公園近くの神社です。

「うけら」を焚きながら餅を焼いて食べると、一年間無病健康に過ごすことができると伝えられ、江戸時代に流行したといわれています。

一年を無病健康に過ごせるお雑煮や、「うけら餅」をいつか食べてみたいものです。

この他にも一年の健康を願って食べるものがあります。人日の節句(一月七日)の朝に、七種類の植物が入った粥を食べる、皆さんご存じの『七草がゆ』の風習です。お正月のこってりした料理で疲れた胃に優しい食事として紹介されることがあります。

現代のおせち料理は贅沢な物が多く、確かに脂肪が多くて、コレステロールが多く・・・・です。しかし、昔のお正月料理は、もっと質素なものだったと考えられていますので、胃を休めるというよりは、青物の少ない冬に、積極的に野菜を取ろうとしたのだと考えられます。

せり(芹:セリ)、なずな(薺:ペンペングサ)、ごぎょう(御形:ハハコグサ)、はこべら(繁縷:ハコベ)、ほとけのざ(仏の座:コオニタビラコ)、すずな(菘:カブ)、すずしろ(蘿蔔:ダイコン)が七草として広く知られていますが、いつの時代からこれらが食されていたかは諸説あるようです。

また、一月十五日に米、粟、黍(きび)、稗(ひえ)、みの(カラスムギに似たもの)、胡麻、小豆の七種の穀物の餅がゆを食べる『七種粥』の風習があり、これらと融合した形で現在に伝わっているともいわれています。

いずれにしても、邪気を払い一年の無事を願って食されていたようです。

七草粥の風習は、『若菜摘み』が重要なポイントだと思います。寒さに縮こまっていないで、外へ出掛けるきっかけとして、若菜摘みをしてみませんか?

旧暦の一月七日は二月上旬にあたりますが、この時期に七草を探すのは大変かも知れませんが、散歩ついでに道端や田んぼの畦などに目を向けてみませんか?新しい年に新しい発見があるかも知れません。

補足:植物図鑑でホトケノザを探すとシソ科の植物に行き当たりますが、春の七草のほとけのざはキク科の植物ですので、お間違いのないように。

来る年は、午年です。皆さんにとって飛躍の年でありますように。

執筆者 酒井英二(さかいえいじ) 薬学博士、薬剤師

岐阜薬科大学、同大学院を修了し、厚生省国立衛生試験所筑波薬用植物栽培試験場に入所。中間山地における薬草栽培や植物工場を利用した栽培試験を行う一方、生薬の品質に関する研究を行ってきた。

現在、岐阜薬科大学薬草園研究室准教授。健康食品に配合される植物の鑑別や、生薬の鑑別研究を行う一方、薬草園の見学を通して正しい薬草の知識の普及に努めている。

また、薬用植物栽培と品質評価Part12(薬事日報社)、台所の薬草ガイドブック((社)日本植物園協会第4部会)、フィールドベスト図鑑No.16 日本の有毒植物(学研教育出版)などの執筆も分担している。

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