第2回 生活習慣病の1つ、脳卒中を防ぐ!(予防編) 2014/1/14

こんにちは。岐阜薬科大学の原英彰です。前回は「脳卒中とはどんな病気なのか?」をご説明しました。今回は、「脳卒中を予防するための生活習慣」をお話ししたいと思います。

○脳卒中の危険因子
はじめに、どのような人が脳卒中になりやすいのかを考えてみましょう。まとめてみますと、

1)60歳以上の男性
2)家族に脳卒中で倒れた人がいる方(遺伝的要因)
3)高血圧の方
4)糖尿病の患者
5)高脂血症の方
6)不整脈を持つ方
7)ストレスを感じやすい方
8)お酒をよく飲まれる方
9)喫煙をされる方

これらが脳卒中の危険因子として挙げられます(図1)。

図1 脳卒中を発症しやすい人とは?

年齢や性別、遺伝的要因は変えることはできませんが、それ以外の原因については、生活習慣の改善によってほとんど直そうと思えば直せるものばかりです。

しかし、現状の体は何ともないのですから、簡単に「今日からお酒もたばこも止めます!」とは決心できないものです。ただ、そうしている間にも脳卒中の危険性が高まってしまうことをご理解いただきたいのです。なるべくなら薬に頼らない予防法を皆さんには身に付けていただきたいと思います。

○脳卒中予防の生活習慣をはじめましょう!
まずは脳卒中の前ぶれを見逃さないことが肝心です。脳梗塞には、次のような前ぶれがあります。

@頭痛や吐き気
Aめまい
B耳鳴り
C気を失う
D言葉が出てきにくい
E物忘れがひどい
F物が見えにくくなる
G片手や片足が動かない、あるいは足がもたつく

などです。このような症状が数時間から1日続き、しだいに消失します。前ぶれが起きた人は5年以内に約3分の1が脳梗塞を発症すると言われていますので、必ず病院で検査を受けることをお勧めします。

一方、脳出血には前ぶれがほとんどありませんので、日頃から血管に無理のかからない生活、食事を心掛けることが大切です。

脳卒中を予防する食生活では、次のことを心掛けてください。

1)1日30品目以上を心掛けて野菜をよく食べ食物繊維や抗酸化ビタミンをしっかり摂ること。
2)肉より魚をよく食べること (とくに青魚の脂は血管の健康に良いです)。
3)塩分は1日10 g以下、砂糖は1日50 g以下に抑えること。

これらは血管の健康を保つための食生活なのです。柔軟性がある強い血管であり、コレステロールの量も正常で、血栓もできにくいサラサラした血液であれば、脳卒中のリスクを減らすことができます。下に示す食材(図2)を参考にしてみてください。

図2 血管を強くする食べ物

さらに脳卒中の予防のためにお勧めするのは、適度な有酸素運動、十分な睡眠や休息でリラックスすること、喫煙や飲酒を控える(または止める)こと、就寝前や起きた時などにコップ一杯の水を飲むこと(ただしあまり冷たい水は血管を収縮させるので白湯が良い)、そして何より定期的に病院で健診を受けることが大切です(図3)。

図3 脳卒中予防のために心掛けてほしいこと

さて、前回・今回と“脳卒中”についてお話ししました。ご自身の生活習慣を今一度振り返っていただき、もし脳卒中を患う可能性を1つでもお持ちの方は、ぜひ直せるところは直していただき、病気のリスクを少しでも減らす工夫をしていただきたいと思います。

自分はまだ若いから、自分はもう年寄りだから、などとは言わずに、より多くの方に早い段階から意識して取り組んでいただきたいことです。

脳卒中の予防はいつ始めるの?『今でしょう!!』

【出典:原英彰 著「前向き脳でエンジョイ・エイジング!−長寿の秘訣は脳の健康から−」(学文社)から改変引用】

原 英彰(はら ひであき) 薬学博士・薬剤師

大学卒業後、製薬企業の医薬品研究所で抗片頭痛薬、脳卒中治療薬、抗緑内障薬などの新薬の研究開発に従事してきました。また、東北大学医学部神経内科、ハーバード大学医学部に留学して、研鑽を積んできました。専門は幅広く、脳や眼の病気の解明とその治療薬の研究、健康食品の研究などです。

現在は、岐阜薬科大学の薬効解析学研究室で教授として学生の教育と脳と眼の研究に力を入れています。研究室には30名余りの学生や研究者と一緒にお互いに刺激しあっています。

本ブログでは、脳を元気にするにはどうすればよいか?眼の健康を保つ秘訣は?そして、活き活きと生きるには、何を心掛ければよいか?などについてお伝えできればと思います。

PR情報

記事一覧

クスリにまつわるお金のはなし 〜製薬会社のお弁当〜

日本の国民医療費は、最近では年間42兆円、一人当たり33万円を超えています。これらの費用のほとんどは、私たちが毎月収めている健康保険料や税金、患者自己負…

2019/8/30

スポーツと薬のはなし〜防ごう!うっかりドーピング〜

東京オリンピック・パラリンピックまであと1年。楽しみにしている人も多いと思います。東京での開催は56年ぶり2回目です。しかし、いまから79年前、実は幻の東…

2019/8/21

登山を健康に楽しむために注意すること

明日8月11日は「山の日」です。山の日は2016年に新設された新しい祝日で、祝日法という法律では「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日」と定義されてい…

2019/8/10

“美と健康”の好循環による健康長寿の実現

前回、実際の年齢より若く見える要因のお話と、風が吹いたら桶屋が儲かる的なお話ですが、見かけ年齢が若く見えと、人や社会との接点の増加する ⇒ ライフスタイ…

2019/7/30

実際の年齢より若く見える要因と健康との関係

前回、デンマークでの双子の追跡研究結果から、見かけ年齢(第3者が双子を見た目で判定した年齢)の若い方が統計学的に長生きした、すなわち同年齢でも若く見え…

2019/7/20

健康長寿と見かけ年齢

最近の研究によると、ヒトの限界寿命(生物学的に決められている上限の寿命)は125歳で、その歳まで生きられる確率は1万分の1といいます。日本人の平均寿…

2019/7/10

高薬価:その背景は?

一般に医療用医薬品の開発・販売は、営利目的の製薬企業が担っており、自動車や家電、食品などと同様に研究開発を行い、原材料を加工製造して、一定の利益を含…

2019/6/30

高薬価:高額療養費制度でカバーされるというけれど

我が国に現在の形となる市町村運営方式による国民皆保険制度が導入されたのは、1958年の国民健康保険法改正後であり、1961年にその体制が整えられました。そし…

2019/6/20

1回治療3000万円超の医薬品(高薬価)

近年、超高額薬価と言われる医療用医薬品(医療機関で処方してもらう医薬品)が登場するようになり、各種メディアを賑わしており、皆さんもご存知のことでしょ…

2019/6/10

水道水の話B 〜新たな浄水法:膜ろ過方式〜

前回(水道水の話@、A)までは、水道水が主に「砂ろ過」で浄化され、またその後の「塩素消毒」が飲み水を媒介する感染症の防止に重要であることをお話ししてき…

2019/5/30

プロフィール

19

達人に質問をする

本学は、美しい金華山と長良川などの自然に恵まれ、また歴史と文化の薫漂う岐阜市の北部に位置し、80有余年に及ぶ歴史の中で、建学の精神である「強く、正しく、明朗に」をモットーに、「人と環境に優しいグリーン・ファーマシー」を基本理念とした薬学教育を通じ、安心で安全な医療に貢献できる薬剤師や、人と環境にやさしい方法で薬を創ることのできる研究者や技術者を養成しています。

地域に生き、世界に伸びる大学として、今までの実績を基にさらに発展し続ける努力を重ねております。

関連リンク

  • 会員登録
  • ログイン
明日の天気(17:00発表)
名古屋
曇りのち一時雨
28 ℃/21 ℃
東京
曇りのち雨
24 ℃/19 ℃
大阪
曇りのち一時雨
30 ℃/23 ℃
  • 現在、渋滞情報はありません。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集