世界のコーヒー事情 2014/1/5

ブラジル・ミナス州のコーヒーの実

明けましておめでとうございます!今年もおいしいコーヒーを楽しく飲みましょう!

前回は、コーヒーのルーツ「モカ・コーヒー」のお話をさせていただきました。

エチオピア原産のアラビカ種のコーヒーが、対岸の国、イエメンに植樹され、その地から飲用が始まり、その後、イエメン〜エジプト〜トルコ〜EUへとコーヒーの飲用が広まっていきました。需要が増えると対岸の国エチオピアの豆を、イエメンに持ち込み、モカ港から輸出しました。

その後、EU列国が、自分の植民地にイエメンから持ち込んだコーヒーの苗木や種を植樹して、栽培がイエメン〜インド〜インドネシア〜中南米〜世界に広まったことは知っていただきましたか?

コーヒーはアジアから広まっていったのですね。

1999年、ブラジルのカルモ農園を訪れました。

さて、コーヒーの栽培がいよいよブラジルに伝わると、黒人奴隷とテラロッシャという肥沃な土地とあいまって、安価なコーヒーが大量に出来るようになり世界の主流となりました。ブラジルは一時期、世界の85%くらいの生産量を誇っていました。プランテーションのコーヒーはモノカルチャーのコーヒーとして世界の消費を支えたのです。

しかし、安価で大量なコーヒーを安定的に供給するためには、アラビカ種の原種のコーヒーでは、味は良いが病害虫に弱く、生産性が悪いのです。

そこで、各国、各地で、味が良い「在来種(ティピカ種、ブルボン種など)」に代わり、安定的に量が収穫できる「ハイブリッド種(カツァイ種、カツーラ種など)」を発明し、化学肥料、農薬を使用したコーヒーに切り替えていきました。

今では、原種のコーヒーはほんの一握りとなってしまいました。

質より価格、量の時代になったのです・・なってしまったのです。

コーヒーの飲用、栽培が世界中に広まり大量生産、大量消費の時代が到来すると、生産国と消費国の経済格差が顕著になり、それを解消し、価格や供給の安定を図る目的で、1963年に「国際コーヒー機関(ICO)」が設立されました。

しかし、列国の影響により、1994年、わずか30年足らずで「輸出割当制度」の条項が削除されてしまいました。

すると、コーヒーの国際相場は下がり、その結果、生産国の農園の経営は再び苦しくなり、経費節減のために、益々、ハイブリッド種に切り替えたり、安価な化学肥料、農薬、機械を使用する必要にせまられました。

今私たちが飲んでいるコーヒーは、30年前のコーヒーに比べると、全体の質は向上しているかもしれませんが、残念ながら、味は悪くなってるように思います。

アメリカスペシャルティ協会

それと並行して、「本当に良いコーヒーを提供しよう」というコンセプトで、1982年アメリカのコーヒー関係者が集まって、アメリカスペシャルティコーヒー協会設立(SCAA)が設立されました。
現在、この活動は世界に広まり国際的な機関となりました。

日本でもSCJA(日本スペシャルティ教会)として活発な活動をしています。

スペシャルティコーヒーは、それまでの、生産国の欠点豆の有無をチェックするネガティブ評価基準から、「おいしさ」という観点を、ワインの世界と同じように、味のキャラクターをポジティブ評価で、カッパー(味の試験官)が厳選なカッピングを点数評価で行ない、消費者にわかり易いようにしました。

カッパーとカッピングテーブル

また、農園がしっかりと管理・生産した美味しいコーヒーを、コーヒーの国際指標価格となっているNY相場とは関係なく、コーヒーを直接高値で買い付ける手法を取りました。

「美味しいコーヒーであれば、価格が割高でも売れる!」

生産者、消費者、買い付け業者の意識を変えたのです。

これによって、良いコーヒーを作れば高く売れるシステムができ、農園がそれなりの対価を得られるようになりました。

生産者は経済的にも精神的にも豊かになり、サスティナブル(継続可能)に良いコーヒーが安定して生産できるようになってきたのです。

近年、良く耳にする「スペシャルティコーヒー」は、良質で個性的なキャラクターを持った素晴らしいコーヒーが多いです。しかし、それがすべてという事ではありませんので、その点だけはお間違えの無いように・・・。

量の時代に、スペシャルティコーヒーは質の再認識を呼びかけています。時代に一石を投じたスペシャルティ協会は、「量の時代に歯止めがかかった」と言っていますが・・・・??

その対極にある、コンビニ・コーヒーやインスタント、缶コーヒーなどの安価なコーヒーが消費を伸ばしている事実は無視できませんし、スペシャルティコーヒーの占める割合は、まだまだ全体の1%くらいにしかすぎませんのですから・・・。

私は、世界のコーヒーは二極化の道に歩みだしたと思っています。

あなたはどちらのコーヒーを選びますか?

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プロフィール

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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