寒い冬場にこそ、富士山を眺めるハイキングを 2014/2/7

寒さの厳しい季節もあと少し… と、暖房の効いたところで、春を心待ちにされている方も多いのではないでしょうか。でも、そんな時期だからこそ、健康的なハイキングコースをご紹介しましょう。

薩った峠から眺める富士山と東海道本線

上の写真をみて、どこかで見たことがあるような…と思った方は多いと思います。江戸時代に、歌川広重(安藤広重)が描いた「東海道五十三次」の「由井」に描かれている光景です。その頃とほとんど同じ光景を、いまも眺めることができるのです。

場所は、静岡市の少し東側にある、東海道の興津(おきつ)宿と由比(ゆい)宿の間で、“さった峠”と呼ばれる旧東海道の難所です。「さった」は、菩薩さまの「薩」と、土偏に「垂」という字なのですが、後者がネット上では文字化けするので、ここでは、「薩った」と表記することにします。

写真の上部には富士山が見られますが、このようなクッキリとした全容は、寒い冬によく見られます。寒いといっても、そこは静岡県です。晴れた日中には、そこそこ気温が上がります。そこで歩くと、軽く汗を掻いたりするほどです。それだけに、行くなら今ごろの冬場がお勧めというわけです。

ちなみに、写真の右側は駿河湾、高架道路は東名高速道、その下が国道1号線と東海道本線です。新幹線はこの区間をトンネルで抜けていますが、それ以前の日本の大動脈がこの地で集約されていたことが判りますよね。

東海道本線の興津川橋梁は撮影名所

薩った峠へは、興津宿からも由比宿からもアクセスできます。それぞれにJR東海道本線の興津駅と由比駅がありますので、この両駅を利用したハイキングです。両駅間は5.9kmですが、峠があるので休憩時間も含めると所要3-4時間をみておくと良いでしょう。

興津駅で下車したら、駅前を真っ直ぐに進み、最初の大きな交差点で左折します。ここが旧東海道で、旧国道1号線でもありますが、歩道があるので安心して歩けます。しばらく進むと興津川を渡る橋となります。東海道本線も並行していて、この右岸堤防は興津川橋梁を渡る列車の撮影地として知られています。撮り鉄であれば、薩った峠での撮影前に、ここでも撮影しておきたいところです。

興津川を渡ったところに、薩った峠に関する案内標識等があります。ここから「下道」「中道」「上道」「脇道」の4つの峠道があるための案内です。そのうち「下道」は、いま東海道本線や国道1号線などが利用している海岸沿いで、峠は通りません。

「脇道」は上古から利用されているとのことですが、大回りで車が通ります。また、絶景地である薩った峠は通りません。ということで、「中道」か「上通」を歩きましょう。直登に近いのが「中道」で、少し回り込んで緩やかに登るのが「上通」です。いずれも、峠下の休憩所で合流し、薩った峠へと続きます。

旧東海道は、整備が行き届いている

休憩所を過ぎると急な坂道と階段が続きますが、全行程でいちばん汗を掻き、息が切れるところです。ここは無理せずゆっくりと進みましょう。この坂はさほど長くなく、登ったところでいきなり富士山と駿河湾が目に飛び込んで来ます。晴れた日には、つい感嘆の声をあげてしまうような光景です。ここには、古戦場だったとの案内もあります。眼下には、東海道本線も見られます。

その先は、なだらかな起伏の道となります。上の写真のように、しっかり整備されていて安全です。休憩所も多めに用意されています。富士山を眺めながら歩くので、つい好きな歌を口ずさみたくなるような道です。その途上にある展望台からみた光景が、冒頭の写真というわけです。

更に歩を進めると、駐車場に出ます。ここで「脇道」と合流し、ダラダラとした下り坂が長く続くようになります。周囲はみかん畑も多く、冬場だと無人のみかん販売もあります。やがて平地に出ると由比宿に続く街道筋です。

由比駅〜蒲原駅間3.5kmの中間付近にある由比宿は、東海道の街道筋だった頃の様子を色濃く残しています。広重美術館もあり、ゆっくりと散策するのに適しています。もう一つ先の新蒲原駅付近には蒲原宿があり、ここも宿場の様子が保存されています。薩った峠を越えて体力が余っていれば、これらを巡るのも良いでしょう。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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