ベテルギウス爆発?! 2014/3/7

NASAの発表では、ベテルギウスの大きさは急減し表面はデコボコ。これは爆発の兆候か?

フォークデュオこぶくろのヒット曲「ベテルギウス」には、「ベテルギウスはもうないと気がつかずに、今日も見ている・・・・」と歌われている。

この予言めいた歌詞を裏付けるかのような記事が、4年前の2010年1月10日付けの某新聞に載った。要約するとざっとこんな内容だ。

《赤色超巨星ベテルギウスが、超新星爆発へ向かうと見られる兆候が観測されている。専門家は「爆発は数万年後かもしれないが、明日でもおかしくない」と話す。もし爆発すれば、満月ほどの明るさになり、昼でも見えるようになる。》

ベテルギウスは、一生の大半を終えた星で、直径は太陽の1000倍もある赤色超巨星だ

オリオン座はベテルギウスとリゲル、2つの1等星を持つ贅沢な星座だ。そのうち三つ星の左上にある赤い1等星ベテルギウスは、太陽の1000倍もあるとてつもなく大きな老人星で、膨らんだり縮んだりしながら0.4〜1.3等に明るさが変わる脈動変光星。その星が近い将来、星の最後の姿、超新星爆発を起こすことがわかっている。

爆発直後は、満月の明るさで輝き昼間でも見える。数年後には暗くなり肉眼では見えなくなる

●もし超新星爆発を起こしたら
ベテルギウスが超新星爆発を起こしたら、明るさはマイナス10.5等、満月(-12.5等)と同程度で輝くことになるだろう。約3ヶ月を過ぎたころから次第に暗くなってゆき、2年ほどで0等星程度に戻り、その後は目立たない天体となる。

超新星残骸の明るさは、衝撃波が押しのける星間ガスの密度などによるが、明るさ4等程度見かけの大きさは満月の2倍程度の星雲として見えているだろう。残骸は次第に膨張速度を落とし、数十万年かけてゆっくりと冷えながら静かに星々の中に溶けこんでゆく。

内部では次々に重い元素が生成され、鉄が生まれると超新星爆発を起こす

●超新星爆発への時間
太陽のような比較的小さな恒星は、水素の核融合反応でヘリウム生成され、その生涯を閉じるが、ベテルギウスのような超巨星は、さらにヘリウムを燃焼し炭素を、炭素を燃焼し酸素とネオンというように、次々に重い元素を生成してゆき、最後に鉄が生成され一生を華々しく閉じる。

超新星爆発までの千年でどのような燃焼が起こるのだろうか。外から見た可視光での明るさは変わらないが中心部では劇的な変化が起こっている。ヘリウム燃焼段階が終了し炭素燃焼が開始した地点で、残りの寿命は数百年から千年、酸素とネオンの燃焼が1年くらい、最後のシリコン燃焼は数日で終了する。鉄が分解され始めると数秒で超新星爆発を起こすといわれている。中心温度は100億度に達している。

いつ起こる?ベテルギウスの超新星爆発

問題は、ベテルギウスがどの段階に達しているかだが、まだヘリウム燃焼中なら数万年、すでに炭素燃焼が始まっているなら、あと千年の命ということになる。

というわけで、「ベテルギウス」の歌のように、もう爆発してしまって、消えているというわけではなさそうだが、天文学的感覚からすれば、「いつ爆発してもおかしくない」ということになるのである。

私たちが生きているうちに爆発する可能性はゼロに近いが、オリオンの右肩で輝く星が超新星爆発を起こして消えてしまうと、まさに「肩なし」。今のうちにしっかりベテルギウスを眺めておくことにしよう。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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