リニア・鉄道館に行こう(14) 最高時速285キロへの半世紀 2014/3/21

新幹線開業当初から活躍した0系

JR東海は2月27日に、東海道新幹線の最高時速を来年春に285キロへと引き上げる旨を公表しました。いまは最高時速が270キロですから、15キロのスピードアップとなります。

そこで今回は、東海道新幹線が開業してから今年10月で半世紀となる、その間の最高速度の推移を、リニア・鉄道館に保存されている車両とともに見ていきましょう。

1964(昭和39)年10月1日に開業した東海道新幹線ですが、当時は0系12両編成でした。その最高時速は210キロでしたが、東京〜新大阪間は、途中で名古屋・京都だけに停まる「ひかり」で4時間かかっていました。

これは、盛り土を多用したできたての線路だけに、安定するまで速度を控えて走ろうとしたのでした。それでも、東海道本線の特急「こだま」は東京〜大阪を6時間30分かかっていましたので、格段に速くなったのでした。

最高速度はそのままに、開業の翌年11月1日には東京〜新大阪間が3時間10分に短縮されました。この最高速度と所要時間がその後に長く続くことになります。また、車両も1986(昭和61)年まで22年にもわたり0系が造り続けられました。

それだけに、中年以上の方々にとって、0系は馴染み親しんだ新幹線の顔ともいえる存在であり続けているものと思います。ただし、外見はそっくりでも、機器や客室設備はこの間に大きく変貌を遂げています。

国鉄時代に唯一の新型車として登場した100系

国鉄分割民営化が現実味を帯びてきた昭和後期になって、東海道新幹線としては初となる新形車が登場しました。1985(昭和60)年10月1日から運転をはじめた100系です。2列席だけでなく3列席も転換クロスシートを採用するために、前席との間隔(シートピッチ)を拡大するとともに、新幹線初の2階建て車を連結することでも話題になりました。

100系の登場により居住性が格段によくなりましたが、さらに登場から1年を経た1986(昭和61)年11月1日には、最高時速220キロへのスピードアップも実現します。この結果、東京〜新大阪間は2時間56分(最終「ひかり」は2時間52分)と、3時間を切りました。

ちなみに、このとき0系の最高時速も220キロに上がります。それまでの最高時速はATCが動作する速度で、ダイヤ上は最高時速200キロでした。それが、このときからダイヤ上の設定最高時速を220キロとし、ATCは時速225キロで動作するようにしました。

なお、線形の良い山陽新幹線では、その後、100系V編成「グランドひかり」による最高時速230キロ運転も行われます。

時速270キロ走行を可能にした300系

1987(昭和62)年4月1日の国鉄分割民営化によりJR東海が誕生すると、スピードアップに対する技術開発が一気に進みます。その結果誕生したのが、天井高を下げて車体断面を小さくし、アルミ合金車体として軽量化したうえ、誘導電動機などのパワーエレクトロニクス技術を駆使するなどして速度向上を図った300系です。

1992(平成4)年3月14日のダイヤ改正で、東海道新幹線初の新列車名「のぞみ」とともに登場したのがこの300系です。このため、当時は300系を「のぞみ形」と呼んでいました。最高時速は270キロと一気に50キロも速くなり、東京〜新大阪間は2時間30分となりました。

28年かけて所要時間が4時間から2時間30分へと1時間30分も短縮したのは、画期的なことといってよいでしょう。台頭する航空機需要に経営の柱である東海道新幹線の利用者を奪われないようにするための、必要から生まれた成果でした。

N700A(上)とN700系改造車(下)が、最高時速285キロ運転を予定

300系登場後も速度向上への試みは続き、山陽新幹線ではJR西日本が500系を使って最高時速300キロ運転をはじめるなど、着実に進歩していきます。東海道新幹線は世界初の新幹線だけに、いまの基準からすると急な曲線が多く、最高速度の向上は「のぞみ」登場以来実現できずにいました。

それでも、車両を軽くしたりモーターを強力にするなどして、加減速度の向上や曲線通過速度の向上などを続けます。特に、N700系では空気バネを利用した車体傾斜装置により、半径2500mの曲線でも時速270キロの最高速度で通過できるようになり、東京〜新大阪間が2時間25分まで短縮されました。

この間には、新幹線品川駅の開業、全列車の新横浜駅停車もあり、停車駅が増えながらの到達時間短縮でした。

そのN700系をさらに進化させたのがN700Aです。Advanced(進化した)のAをつけた形式名で、2013(平成25)年2月8日にデビューしました。ブレーキ性能の向上とともに、定速走行装置により列車の遅れを取り戻す機能を装備しています。車両側面に大きく「A」のロゴが記してあることでN700Aだと判ります。

いま、N700系にも同様な改造を行っていますが、こちらは車体側面のN700のロゴの後ろに小さく「A」をつけていて、N700Aとは区別できます。

来年の春、東海道新幹線初の最高時速285キロ運転をする際に使われるのは、これらN700AもしくはN700系のA相当への改造車となります。所要時間の短縮は数分程度となるようですが、列車遅延時の回復運転などに大きな威力を発揮することが期待されています。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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