火星といえば火星人 2014/4/25

1877年にイタリアの天文学者が描いた火星図。筋状の模様(カナリ)が何本も描かれている

火星といえば、火星人を思い起こすが、なぜタコのような火星人が登場することになったのだろう。

ことの始めは、1877年の火星大接近のときまで遡る、この年イタリアの天文学者スキアパレリは、火星を詳しく観測して表面にたくさんの筋状のもようを発見し、「カナリ(溝)」と呼んだ。それが「キャナル(運河)」という英語に訳されてしまったため話がややこしくなってしまった。

ローウェルが描いた火星図。筋が運河になっている

アメリカの富豪ローウェルは運河を自分の目で見るために、私財を投じてつくった天文台で火星観測に没頭し、筋状もようは、火星の極に残った水を隅々まで送る運河であると結論した。

さらに運河が交わる場所にはオアシスがあり、そこには地球を超える火星文明が栄えていると考えたのだ。つまり彼は火星には高等生物が存在すると信じたのである。

火星人といえば、タコのような姿でおなじみ

ローウェルの火星人説にヒントを得て、火星人の姿が創造された。まず火星人は頭脳明晰なので脳の容量は大きい。目は砂嵐の中で遠くを見るために大きく砂が目に入らないようにフィルターで守られている。

そして火星人の食生活は、栄養素しか摂取しないので、消化器官は退化し胴体は退化してしまった。また、重力は地球の1/3。その結果、頭から直接足がはえている。ということから火星人はタコのような姿になったのである。

1898年イギリスのSF作家H.G.ウエルズは、タコのような姿をした火星人が地球を攻めてくるというSF小説「宇宙戦争」を発表。人々に火星人の存在を強く印象付けた。そして、1938年アメリカでオーソンウエルズ演出の「宇宙戦争」がラジオ放送された。

これがまるで本当の出来事のように真に迫った放送だったため、人々は、本当に火星人が攻めてきたと勘違いし、パニックになるという事件が起こった。今から思えば笑い話だが、七十数年前は火星には知的生物がいると本当に思っていたのである。

1976年11月、火星探査機バイキング1号、2号が、人類史上初めて火星に着陸した

しかしその夢が潰える時がやってきた。1976年11月、バイキング1号と2号が火星に着陸した。主な目的は火星の土の中の微生物を検出する実験を行うことだった。

そしてその結果は、微生物はもちろん有機物さえ検出することはできなかったのである。つまり火星も月と同じように死の世界であるという意見が大勢を占めることになった。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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