KISSATEN(喫茶店)Part1 2014/5/2

日本には昔から、それぞれの街の風景が観える喫茶店があります(ありました?)。残念ながら、近年はチェーン店が台頭してどこの街も同じような風景になってしまいましたが・・・。

戦後、日本のコーヒー消費量は喫茶店の数に比例して伸びました。当時、コーヒーだけを飲ませる喫茶スタイルは世界でも珍しく、イギリスでは日本の「喫茶店」に適切な言葉がなく、「KISSATEN」という英語になっているそうです。

特に、名古屋を中心にした中京圏は、昔から多くの方々が喫茶店を自分のライフスタイルに取り入れて生活してきました。

朝の一杯のコーヒーから一日をスタートさせる方がとても多い地域です。他に、商談に使う、友達と共におしゃべりするなど、喫茶店は様々なスタイルで利用されてきました。

名古屋の文化は「喫茶文化」などといわれていて、これほど人口に対して喫茶店が多い地区は他にはありません。

ただし、あまりに多いために他店との競合が激しく、本来の「良質のコーヒー」を置き去りにしてきたように思います。

そうです!「名古屋モーニング合戦」です。

名古屋の豪華モーニングの例

私は何もモーニングが悪いと言っているわけでないのですよ。あまりにも過剰な合戦(?)が展開されていて、提供されているコーヒーに粗悪なものが多くみられる現象を珈琲屋として危惧しているだけなのです。

私は「日本コーヒー文化学会」の会員(理事)で、全国いろいろな街で行われている「コーヒーを楽しむ会」に出席しています。

数年前、福岡で行われた会で、「日本の喫茶店を考える」というテーマで400人くらいの方々とディスカッションをしました。そこで、名古屋は「コーヒーの癌」という過激な発言が飛び出しました。

◎「過剰なモーニング合戦により、本来、主であるコーヒーに手間とお金をかけられず、粗悪で質の悪いコーヒーが提供されていてとても飲めたものではない!」
◎「コーヒーよりも、いかにパンやサラダなど付属のものを豪華にしてお客さんを呼ぶか!などにばかり気をつかっている。」
◎「いっぺんに大量抽出したり、コーヒーメーカーで点ておきして古いコーヒーを平気で出している」
◎「本末転倒」
◎「そんなコーヒーを若い方や、始めてコーヒーに出会った人が飲むと、コーヒー嫌いになる」

などなど多くの苦言が出ました。そこで意見を求められた私は、「そんな店ばかりではないです!」と反論したのですが、実際、年々そういった傾向になっている現状は否定できません。

私の店でも豪華ではありませんが、モーニングサービスを出しています。もちろん、コーヒーの質を落とすことだけはしないということを心に強く誓っています。

やはり珈琲屋の私としては、コーヒーをないがしろにすることだけはして欲しくありませんね。

では、もともとのコーヒーの魅力、喫茶店の魅力とはいったい何だったのでしょう?日本の喫茶店の歴史からお話しいたしましょう。

1888年 鄭永慶が日本で最初に開店した喫茶店「可否茶館」

【日本における喫茶の歴史】
喫茶店とは本来「お茶を飲む店」という意味で、喫茶の「喫」は飲むとか食うという意味で、喫煙という意味ではありません。

現在は店内禁煙という店が多くみられますが、世界ではもともと、コーヒーとタバコ、コーヒーと葉巻などはともにあったようです。日本における喫茶店の始まりは茶の湯から発展しました。

【平安時代】
中国から茶が入る。

【鎌倉時代】
「喫茶養生記」に茶の効用が書かれる。寄り合い茶屋(町人と侍)、茶道(礼儀と作法のセレモニー)、茶の湯、茶屋の出現。

【江戸時代】
浮世絵に描かれている「美人喫茶」が出現。

【明治時代】
文明開化と共にコーヒーやミルクが飲まれ出す。1888年、鄭永慶(セイエイケイ)が日本で最初の喫茶店「可否茶館」開店、四年後閉店。パウリスタ、プランタン、ライオンなどが次々に開店。ミルクホール、カフェー(キャバレー)、女給の出現。

【昭和初期】
「カフェ・パウリスタ」によりブラジルコーヒーが普及。第二次大戦中はコーヒーの輸入がストップし、大豆、チコリ、タンポポの根、サツマイモなどで代用コーヒーを作る。ダメージコーヒー(コーヒー62%チコリ10%サツマイモ28%)の出現。

【戦後】
家庭ではインスタント(ソリュブル)コーヒー。レギュラーコーヒーは喫茶店で(ヤグラ、コーヒーアーン)。大阪万博でUCCコーヒーが缶コーヒーを発売し自販機の設置と共に人気となる。コーヒーの多様化。喫茶店の多様化。サロン、クラブ的喫茶店の出現。

【‘70年代中頃から’80年初め】
喫茶店盛況時代。家庭でもレギュラーコーヒー(布フィルター、パーコレーター、サイフォン、ペーパードリップ、コーヒーメーカー)が飲まれるようになる。消費量世界第三位に急伸。「※名古屋モーニング合戦」。核家族化(長屋文化の崩壊)。喫茶店の衰退、サロン的喫茶の終焉。量はチェーン店とコンビエンスストア、質は自家焙煎珈琲など二極化の道を歩む。

喫茶の歴史を調べていくと日本の歴史が見えてきます。

・・・次回に続く

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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