シネマテークの若手スタッフに聞く 2014/8/23

スタッフも期待する、前代未聞のドキュメンタリー『リヴァイアサン』より

8月中旬。世間的にはお盆休みのシーズン。劇場に出勤すると、事務机の上に、何か置いてある。あ、お菓子だ!見ると、東京や長野や北海道の名物が並んでいる。そうか、スタッフの誰かが、旅行に行ったんだ。甘いものに目がない私は、早速、手がのびる…。いや、お菓子の話じゃないんです。今回は、心遣いも細やかにお土産を差し入れてくれる、シネマテークのスタッフの話。

現在、名古屋シネマテークは、創設者で代表の倉本 徹、私を含む3人の専従スタッフ、加えて11人の非常勤スタッフによって運営されている。非常勤スタッフの構成は、本業を別に持ちながらすでに20年以上働いているベテランから、大学で勉強しながらの若者まで幅広い。映写、受付、チラシ配布などの業務を確実にこなしてくれる彼らがいなければ、シネマテークは成り立たない。

考えてみれば、開館当時20代前半だった私も、早50代。先日は、某店で高齢者向けの商品を勧められ、わが身の実像を思い知らされた(笑)。そこで今回は、当館の若手スタッフに話を聞いて、私とは世代の違う彼らにとってシネマテークがどんな場所なのか、聞いてみようと思う。

−うちのスタッフになる前、シネマテークってどんなイメージで見てた?

A(スタッフ歴2年・女性):私は、最初に見に来たのがチェコ・アニメだったんですが、可愛いアニメだと思ってたら、なんか皮肉っぽい変わったアニメだなぁって。でも面白かったから、それからよく来るようになりました。だからシネマテークは、変な映画をやっている所という認識だった(笑)。

B(スタッフ歴2年・女性):私は寺山修司の特集が印象に残ってます。そういう意味では、私もシネマテーク=アングラってイメージだったかな(笑)。でも、それだけじゃなくて、熱心な映画好きが集まる場所という印象も持っていました。

−無理しないで、正直に言ってね。

B:いや、本当ですって。自分のまわりに映画好きがそんなにいなかったから、シネマテークに来ている人、働いている人達はきっと凄く映画に詳しくて、日夜映画の話をしているんだろうなと想像してました。

−で、実際にスタッフになってみて、どうだった?

A:入る前は、ここの人達は静かに黙々と仕事してるに違いないと、なぜか勝手に思い込んでいたんですが、入ってみたらよく喋る、ふつうの人達だなって、安心したような拍子抜けしたような感じでしたね。

−とりわけ俺は喋ってばかりで、仕事してないし(笑)。

B:入ってみて感じたのは、スタッフは映画が好きなだけじゃなく、本好きやアート好きでもあった。入る前のイメージとは違ったけれど、自分の世界が広がる感じがして、良かったですね。

−いろいろな映画を上映するので、その時だけ急に何かに詳しくなったりするんだよ(笑)。でも、うちは芸術大学の学生スタッフもいるから、アートをテーマにした映画を上映するときには、教えてもらえることもあって有難い。そういえば昨年は『世界一美しい本を作る男』ってドキュメンタリーがあって、それを上映したときは書店で働いているスタッフが頑張ってくれたね。

−映写については、どうでしょう?

A:35ミリフィルムの映写機を動かすのは、面白いですねぇ。私、大きな機械を触るのが好きみたい。

B:映写をする前は、映画を見ていて、これはフィルムかデジタルか?なんて考えもしなかったけれど、今は「これはフィルムだ!」って分かるようになった。上映されている作品のメディアが何なのか興味を持つようになりましたね。

A:そうそう、画面が暗いなとか、音が今イチとかいうことも気になるようになった。

−じゃあ、この2年間で印象に残ってることは?

A:うーん、やっぱり映写の失敗かなぁ…。切り替えのマークを見逃してしまったときは、ガーンと落ち込みました。

B:機械にクセがあって、力の入れ具合とかも難しいよね。

−うちの35ミリ映写機は年代物ですからね。だからこそ、扱う人の腕次第で、良くなる要素があるんだけど。他には?

A:私、グロテスクな映画は苦手なんです。血がたくさん出たりするのとか。そういう映画を映写するのは、つらいですね。映写室からだとまだ客観的に見られるんですが、音チェックのために客席で見てるときは、もうホントに嫌で…どういう仕事なの、これは!って思います(笑)。

B:舞台挨拶で、映画監督や役者さんが間近に見られるのは、緊張するけど、楽しいです。この人たちも普通の人間だ!なんて妙なところに感動したりして。

−平野がゲストを丁重に扱わないから、彼らも人間臭いところが出るんだよ。

B:自画自賛なのか、反省の弁なのか(笑)。

−それはともかく、最後に、今後の上映作品の中で楽しみにしているものとか、ある?

A:『リヴァイアサン』! なんか凄そうだから。

B:そうですね、ラインナップの中では、私も『リヴァイアサン』。何か今まで見たことの無いような映画のような気がして。

−うん、それは確かです。「映画」の概念を変えるような作品とだけは言っておきましょう。
今日は、ありがとう。これからもヨロシク。

『リヴァイアサン』は、東京は8月23日、名古屋は8月30日より公開。他の地方は順次。
PR情報

記事一覧

「山形国際ドキュメンタリー映画祭」に行ってきましたB

2回に渡り山形国際ドキュメンタリー映画祭の話をしてきたが、 「山形国際ドキュメンタリー映画祭」に行ってきました。 「山形国際ドキュメンタリー映画祭」…

2018/1/13

「山形国際ドキュメンタリー映画祭」に行ってきましたA

「山形国際ドキュメンタリー映画祭2017」の話を続けたい。 (前回記事:「山形国際ドキュメンタリー映画祭」に行ってきました。) 急に思い立った一泊二日…

2017/11/29

「山形国際ドキュメンタリー映画祭」に行ってきました。

先週の木曜日(10/5)、東京で仕事があった。いつもの出張のつもりで準備をしていて気がついた。そうだ、たしかこの日から「山形国際ドキュメンタリー映画祭」…

2017/10/17

「東海テレビ ドキュメンタリーの世界」

気がつけば8月も終る。2017年もあと4ヶ月。早い…。仕事の常として、今は10月の上映作品を固めつつ、お正月あたりまでをゆるく編成している。お正月映画…

2017/8/25

堀禎一監督のこと

かつて2000年から04年にかけて、「新ピンク零年」というピンク映画の特集シリーズを上映したことがある。 名古屋の大手興行会社に勤務しているピンク映…

2017/7/26

名古屋シネマテーク 35年前の旅立ちA

前回記事名古屋シネマテーク 35年前の旅立ち@ (承前)前回は、名古屋シネマテーク設立に至る当時の状況について書いた。だが、映画館は「作りたい!」と思…

2017/6/24

名古屋シネマテーク 35年前の旅立ち@

1982年6月にオープンした名古屋シネマテークは、この6月で35周年を迎える。35年…なかなかな年数だ。たとえばオープンした1982年から35年をマイ…

2017/5/25

書評「映画という《物体X》」

今回は少々趣向を変えて、映画の本の話を。 昨年秋に刊行された「映画という《物体X》 フィルム・アーカイブの眼で見た映画」を読んだ。著者は、岡田秀則氏。…

2017/4/16

鈴木清順監督について

とうとうこの日が来てしまった…。 「鈴木清順監督 死去」の報に接したとき、思わずそう呟いた。『オペレッタ狸御殿』(2005年)から12年。もう新作は見…

2017/3/7

「イスラーム映画祭 2」(後編)

――後編では、本映画祭ディレクターの藤本高之さんに、上映作品の見どころを教えて頂こうと思います。 まずは『神に誓って』。この映画は東京では第一回に上映…

2017/1/13

プロフィール

19

名古屋シネマテーク 支配人

1961年、名古屋市生まれ 。南山大学卒。在学時から、自主上映団体「ナゴヤシネアスト」のスタッフに参加。

卒業後は、同会が1982年に設立したミニ・シアター「名古屋シネマテーク」の専従スタッフとなり、1987年より支配人。

1993年〜2002年、愛知芸術文化センターオリジナル映像制作作家選定委員。

  • 会員登録
  • ログイン
明日の天気(17:00発表)
名古屋
曇り時々晴れ
25 ℃/14 ℃
東京
曇り時々晴れ
23 ℃/14 ℃
大阪
晴れ後曇り
27 ℃/13 ℃
  • 東名, 名神, 名古屋高速で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集