腎臓の働きを考えたことがありますか? 2014/9/30

これまで金属イオンの働きをご紹介しましたが、今回は金属イオンのバランスを整えるために重要な働きをしている腎臓についてご紹介します。

なぜおしっこをする必要があるのか?
心臓は血液を全身に送り出し、肺は酸素と二酸化炭素を交換し、小腸は栄養を体内へ吸収しています。では、腎臓はどのような働きをしているでしょうか?いろんな働きをしていますが、たぶんおしっこを作ると答える人が多いと思います。

人は1日に200リットルものおしっこのもとを作りますが、おしっことなるのは1.5リットル程度です。200リットルもの水分をおしっことして排泄すると干からびてしまうので、腎臓の尿細管と呼ばれる部分で水分を再吸収します。

このとき水分だけでなく、体にとって必要なナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった金属イオンが再吸収されます。おしっこを作るだけなら、腎臓の働きが悪くなってもちょっとぐらい大丈夫じゃないのと思ったならば、それは間違いです。

動物が生きている中で、体の中にさまざまな老廃物や毒素が作られます。例えば、タンパク質が分解されると有害なアンモニアができるので、これを尿素に変えておしっこの中に排泄する必要があります。

この他にも、筋肉が働いた後に生成するクレアチニンやDNAが分解されて生成する尿酸などが排泄されます。尿酸という言葉を見て深いため息をつく人もいるかもしれませんね。そうです、痛風の原因となるものです。

日本人の高尿酸血症の患者さんでは、おしっこに排泄される尿酸が少なくなっている人が多いそうです。腎臓の働きが悪くなるとなかなか元に戻らないので、腎臓に負担のかからない食事、つまり塩分やタンパク質を過剰にとらないように気をつけましょう。

腎臓の働き

ラシックスダイエットは危険
高血圧、心不全、むくみの治療に利尿剤という薬が使われます。例えばラシックスという利尿剤は、尿細管からのナトリウム、カリウムなどの金属イオンの再吸収を抑制することにより、尿量を増やします。

ラシックスを使用したダイエットがインターネットで話題になりましたが、脱水症状や血圧の低下などが起こることがあるため、治療目的以外の使用は非常に危険です。絶対にまねをしないようにお願いします。

尿細管に働く新しい糖尿病治療薬
尿細管では金属イオンや水分以外に、糖も再吸収されます。血液中の糖濃度は空腹時に80〜100 mg/dLに保たれています。このとき腎臓では、ほぼ100%の糖が再吸収されます。

しかし、血糖値が上昇(糖尿病時)すると、再吸収の許容量を超えるため、尿中に糖が排泄されます。これが糖尿になります。最近、糖尿病の新しい治療薬が国内で販売されました。尿細管での糖の再吸収を抑制することにより、血糖値を低下させる薬になります。

既存の糖尿病治療薬とは異なり、インスリンというホルモンに関係なく血糖値を下げることができ、従来の治療薬とうまく組み合わせると治療効果が高まるのではないかと期待されています。

尿細管で働く新しい糖尿病治療薬
五十里彰(いかりあきら) 博士(薬学) 岐阜薬科大学生化学研究室教授

富山医科薬科大学薬学部、同大学院修了後、静岡県立大学薬学部で15年間勤務しました。昨年10月に岐阜薬科大学生化学研究室の教授に着任し、癌や生活習慣病の発症機序の解明と新しい治療薬の開発に取り組んでいます。

学生時代は卓球部に所属しており、現在もときどき家族と卓球を楽しんでいます。学生には勉強や研究だけでなく、スポーツや趣味など、やる気を持って打ち込めることを見つけて欲しいと思います。

本ブログでは、あまり馴染みのない方も多いかもしれませんが、金属の働きについてわかりやすくお伝えしたいと思います。

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