ドリップコーヒーの抽出技術 Part1 2014/12/2

ご無沙汰しております!いつもご覧いただきありがとうございます。

11月はいろいろな企画を開催したり、下呂で5回珈琲教室をしたり等で忙しくて大変でしたが、多くの方々にコーヒーの淹れ方、飲み方などを理解して頂きました。

特に、森光宗男氏、大坊勝次氏の特別講座はとても貴重な時間となりました。お二人が口を揃えて言われたことは・・・

「ドリップコーヒーを淹れるのは簡単!」

という事でした。

お二人とも「ネル(布)ドリップ」で淹れていますが、ペーパードリップでも基本は変わりません。
要するに、美味しいコーヒーをドリップするには沢山の知識と技術はいらないのです。

豆さえ良ければ、合っていれば、機械でドリップしても、そこそこ美味しいコーヒーはできます。だからと言ってコーヒーメーカーでもよいと言っているわけではないのですよ。

やはり貴重なレギュラーコーヒー豆を使用するのですから、貧しくも一生懸命作っていただいている農家の方々の思いに報いるためにも、より美味しくして飲んであげるということが大切だと思います。

これから数回に渡りドリップコーヒー抽出の基本を皆さんに知っていただこうと思います。コーヒーは基本さえ知ってしまえば簡単ですし、自分流に応用する楽しみが広がります。基本を知らずに、いろいろな店に行って、いろいろなコーヒーをたくさん飲んでも、飲んだ店の数だけ迷います。

しかし、基本さえ知ってしまえば、飲んだ店の数だけ経験となりコーヒーの楽しみがより理解できます。美味しいコーヒーは人の数だけあります。

自分の好みのコーヒー、今飲みたいコーヒーはどうやって淹れればよいのか?ということを知ることで、究極は「自分のコーヒー」を淹れる、作って楽しむということです。

もちろん大前提には「良質で新鮮な珈琲豆」があってのことですが・・・。

◎《ドリップ抽出の基本》(悪い味を出さず、良い味だけを出す)

美味しいコーヒーは鮮度が一番!コーヒーの賞味期間は・・豆で約3週間から1か月。しかし、粉にしてしまうと数時間で炭酸ガスや香りが抜けだします。

炭酸ガスが抜けていたり、湿気を帯びたコーヒーは、抽出の時に膨らまず、灰汁がエキスと一緒に抽出されてしまい、雑味の多いエキスになります。また、古くなって酸化したコーヒーには「過酸化脂質」(※資料参照)なる物質が多く含まれるため健康を害するといわれています。

では、良いコーヒーの条件とは・・・、

@ドリップのおいしさの秘密
a.おいしさの決め手は適正な温度の湯を注ぐ
b.どんな焙煎濃度の豆にも対応できる
c.湯の注ぎ方のよって狙った味が出せる
d.雑味が少ない旨味成分だけを贅沢に抽出
e.シンプル

Aドリップの前提条件
a.好みの新鮮で良質な豆
b.良いコーヒーミル(グラインダー)・・必須条件

◎抽出の直前にコーヒーを挽く事は、良いコーヒーの必須条件!(新鮮なコーヒーは健康コーヒー)
c.良質な水(カルキを取り除いた新鮮な水)
d.良いドリップをするために必要な抽出器(布、カリタ、メリタ、円錐、針金、金属・・などなど)
e.良いドリップをするために必要な道具(ドリップ専用ポット、温水計、スケール、タイマーなど)
f.良いコーヒーカップ
g.その他

B《ドリップ抽出の基本4項目 》
a.適切な湯の温度(深煎り、   中煎り、    浅煎り    )
b.適切な抽出時間
c.蒸らし時間
d.細く垂直に注湯して、泡(灰汁)を落とさない

Cネル式ドリップ
「美味しいコーヒーは粗挽きネルドリップで・・・」、いうのを聞いたことがあると思います。ネルとはフランネルまたはリンネルの略で片面に起毛のある柔らかな布のことです。コーヒーの濾し袋としてはじめて用いられたのは18世紀のはじめフランスです。

このネルの濾し袋を用いたネル式ドリップ法は日本でも戦前・戦後にコーヒーの抽出法として多くの喫茶店等で主流をなしていました。今でもネルにこだわりつづけているコーヒー専門店やコーヒーマニアも結構いますが、その数は年々少なくなっています。

その原因はコーヒーの味にあるのではなく、ネルの管理に手間がかかる事にあると思います。ネルフィルターは使用する前に糊を落とすために湯で煮沸します。使用後は良く水洗いして水の入ったボールなどに浸し冷蔵庫に保管をすること等が求められます。空気と触れるような保管や洗浄が中途半端ですと、コーヒーの味に悪影響を及ぼします。

しかし、充分に管理され種々の条件が整った最良の状態で淹れたネルドリップコーヒーはコーヒー豆が本来持つ味と香りとまろやかさを最も引き出せる方法で、他の抽出器には決して出せない最高のエキスとなります。

但し、豆の状態、豆の粒子、湯の温度、湯の差し方などで微妙に味わいが変わりますので、なれてきて自分の物にすると個性的なコーヒーエキスが出来ますが、安定したコーヒーとなるとなかなか難しいドリップ法といえます。

D紙フィルター式ドリップ
1908年、ドイツ・ドレスデンのメリタ・ベンツ婦人によってそれまでの布等を使った濾し器の代わりに、もっと手軽なペーパー(吸い取り紙)を使ったメリタ式の一つ穴ペーパードリップが考案された。

使い捨ての紙フィルター使用による便利さが受け入れられ、フランネルの布に替わり広まる。
その後、世界的にペーパードリッパーが普及して、いろいろなタイプの「ペーパードリッパー」が開発される。

日本では三つ穴の「カリタ式」が発売、その後、円錐ペーパーを使用した「コーノ式」や「ハリオ式」なども発売される。

ネルドリップの良さを残しながら、手入れの面倒を省いたものが「紙フィルター」です。家庭でハンドドリップコーヒーを淹れる方や近年のコーヒー専門店でもこれらの方式を多く採用しています。

又、使い捨てで安価な為、多くのコーヒーメーカーに採用(メリタ、カリタに限る)されています。
カリタ式とメリタ式は一見ドリップ(透過)式のように見えますが、お湯を溜め置く要素が強く浸漬式の要素が含まれているため、純粋な透過式とはいえません。

メリタ式とカリタ式の方式は名前も形もよく似ています。外見上の違いは、メリタ式のドリッパーは「一つ穴」、カリタ式は「三つ穴」です。

メーカーの推奨する抽出法は、メリタ式では、沸騰した湯をコーヒーの粉全体が湿る程度に注ぎ、30秒程蒸らした後、人数分の目盛りまで一気に湯を注ぐ・・としています。一方のカリタ式では、沸騰したお湯を用い、はじめに蒸らすところまではメリタ式と同じですが、そのあと人数分の湯を5〜6回にわけて注ぐとあります。

両者とも高温の湯を用いるところは同じですが、「湯を一気に注ぐ」のと「5〜6回に分けて注ぐ」という違いがあります。 味の違いはどうかと言いますと、両方式を忠実に実施した場合、メリタ式は湯のなかでコーヒーの粉が一時期浸漬する状態になるので、高温で淹れるサイフォンのように一つの味が突出するが香り高いコーヒーになるように思います。

一方のカリタ式は、透過法的な要素がメリタ式よりはあり、雑実のないすっきりした味わいになるように思われますが、やはり、カリタ式にも浸漬的な部分があるのはい否めません。

一方、円錐式のドリッパーは布フィルターに近く、ネルの透過式に近いと考えられます。しかし、こちらのドリッパーにも一長一短があります。

この4方式とも、穴の数や大きさ、リブの数や深さ、傾斜の角度など様々な違いがありますが、それぞれの特性と特徴を知っていくと、どんなペーパードリッパーがどんなコーヒーに合うかが理解でき、コーヒー抽出の世界が広がり楽しくなっていくことでしょう。

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プロフィール

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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